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【精神科医監修】天気がメンタルヘルスに影響するって知ってました?

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2022年4月22日

最終更新日 2024年9月19日

天気や低気圧がメンタルヘルスに影響する?精神科医監修ブログ

季節の変わり目で、気温も一進一退な気候が続いています。年々、異常気象といわれるような極端な天気の日も増えてきていますね。そんな中、天気によって気分が左右されると感じたことはありませんか?「雨の日は憂鬱になったり、体がだるかったり、痛みを感じやすくなる」「台風がくるとめまいがする」といったお困りごとは、割とポピュラーに耳にする気がします。

 

きっと多くの方が、天気と気分に関連があると感じたご経験があるのではないでしょうか。一方で、不調の原因が天気だと訴えても理解してもらいづらかったり、そもそも天気のせいだと気付いていなかったりするのが日本の現状です。実は1000万人以上の方が天気に関する悩みをもっているのでは?と推定されています。正式な病名ではないのですが、色々な症状をまとめて「天気病」や「気象病」と呼ぶこともあります。多くの人が悩まされている天気病ですが、何が原因で起きているのでしょうか。

こちらもどうぞ:春のストレスを乗り切りましょう!季節の変わり目のメンタル不調対策

 

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天気によるメンタル不調の原因は?低気圧の影響


ー天気に伴うメンタル不調の原因は太陽が出ないこと?気温の上がり下がりが激しいこと?

 

どちらも正解の一つではありますが、最大の原因は『気圧変化』だと言われています。そもそも、気圧とは私達が存在しているこの「大気」が生み出す力です。自覚はありませんが、私達の体は常に大気から力を受けて押されています。その状態で体の中のバランス(いろんな機能がありますが、例えば血流など)を保っています。天気が崩れたり台風が接近したりしているとき、気圧が一時的に低くなります。これが「低気圧」です。低気圧になるということは、バランスが取れていた力の大きさが、急に小さくなるということです。力が変化すれば、それに合わせて体の中のバランスを取り直さねばなりません。

 

 

飛行機に乗ると、お菓子の袋が膨らむのをご覧になったことはありますか?あれを人体に例えると、地上(=ふつうの気圧)で安定していたのに、上空に上がって大気の力が小さくなった(=低気圧)ために袋(=人体)が膨らんでいる(=ストレスがかかっている)状態です。ここで袋(人体)側がすぐに周りの気圧に合わせられれば良いのですが、その力は人それぞれです。

 

気圧の変化がメンタルに影響?


ちなみに、ストレスという言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?

 

誰かとのやり取りの中で起きる「イライラする!」出来事?

気分が沈んでしまうような「悲しくなる」出来事?

緊張して「眠れなくなってしまう」出来事?

 

皆さんの快適な状態に変化を与えてくるもの=ストレスというイメージが多いかもしれません。これは基本的にはその通りなのですが、人はもっとささやかな部分でもストレスを感じて生きています。「人間関係とか、社会で生きていくうえで感じるもの以外でもストレスになるの?」と思われるかもしれません。そうなんです、ストレスはそれ以外でも積み重なっています。例えば「洗剤の詰め替えがうまくいかない、イライラ!」とか、「満員電車、イライラ!」とか、「また雨で洗濯物が部屋干し、イライラ!」とか(イライラばかりですね笑)。

関連項目:臨床心理士が感情的になるメカニズムを解説|怒り・恐怖・嫌悪の対処法

 

誰かとの関係の中で起きるものではなく、自分ひとりで感じているものも立派なストレスです。そして、この些細なストレスは毎日積み重なっていっています。更に言えば、気圧のような大気の変化さえストレスになるのです。温度、湿度、気温、気圧、照明の明るさ等々は『自分にとって本来快適である状態から変化せざるを得ないので負担がかかっている』、つまりストレスがかかっています。受け流すことができたり、そもそも感知しなければ問題にならないのですが、なかなか簡単にはいきません。どんなストレスにもいえますが、敏感に反応する人ほど負担になります。

 

【引用】【精神科医監修】HSPは病院に行くべきか??診断問題を解説

 

つまり、天気病に関しては、気圧変化を敏感に察知する方が、不調になりやすいのです。その上で、その変化に自分を合わせていく力の高低が、症状のが出る・出ないの理由です。ちなみに、低気圧は確かに天気病を引き起こしやすいですが、ただ「低い」ことよりも、上がったり下がったりの激しい変化が問題だと言われています。これは、気圧が変化する度に体に負担がかかるためです。

 

天気・気圧のせいで起こるメンタル不調


不調としては、めまい、耳鳴り、頭痛、肩こり、古傷が痛む、気分の落ち込みなどが多いと言われます。これらは、自律神経失調症の症状と重なっています。つまり不調の原因は「自律神経の乱れ」にあるのです。

【自律神経についての解説はこちらをどうぞ】

自律訓練法とは|公認心理師がリラックス法を解説!

【ホットレ】自律訓練法ベースのリラクゼーションプログラム

 

 

先ほどの「力が変化すれば、それに合わせて体の中のバランスを取り直さねば」のバランスを取るということが自律神経を整えるということです。”自律神経がすぐに整う”のならば、もしくは”そもそも変化に影響を受けなければ”よいのですがスムーズにいかない場合があります。自律神経のバランスが崩れると、体の様々な機能が低下し、自律神経失調症のような不調に繋がっていきます。その結果、血流が滞りだるさを感じたり、めまい・耳鳴りが生じたりします。

 

天気が影響するメンタル不調の対処方法は?


天気が影響するメンタル不調にはいくつか対処法がありますが、基本的にはリラックスして自律神経を整えることが一番の対処法です。リラックスによって自律神経を整えるための具体的な方法をご紹介します。

ストレッチ

強すぎないストレッチは、リラックス効果や、血流を良くする効果が期待できます。

ストレッチングの効果|e-ヘルスネット(厚生労働省)

筋肉をつける

血流が滞りにくくなります。女性に首に痛みを感じる方が多いのは、筋肉量が少ないためとも言われています(関連項目:【精神科医監修】筋トレで自己肯定感を高める!?メンタルとフィジカルの関係)。

自分なりのストレス発散法

ストレスにより、自律神経のバランスが崩れやすくなります。気圧に負けないためにも、日頃からストレスをためず元気な状態に整えておくとよいでしょう(関連項目:臨床心理士執筆|自律神経を整える○○は本当に自律神経を整えるのか?)。

天気と体調を予測する

天気予報から、体調に影響が出る日を予測することで、心の準備ができます。「いつ起こるか分からないし、なぜか不調になる」を「時期も体調も予測できる」に昇格させるだけで、不安感や気分の落ち込みが改善することもあります。全てのストレスに言えることですが、自分でストレス反応をコントロールできている感覚がとても重要です。天気による体調変化について管理できるようなアプリケーションもあるようですのでご検討いただいてはいかがでしょうか?(発想としては)

無理をしない

天気病の真最中に頑張って活動しようとはせず、ゆっくり過ごしましょう。ストレスがかかると、より自律神経が整いにくくなります。症状が長く続く・つらい場合は精神科・心療内科・メンタルクリニックなどに受診し相談してみてください。

 

ちなみに、日光を浴びると分泌されるセロトニンというホルモンは、気持ちを安定させる効果があります。晴れた日には、日の光を浴びるなどして日頃からケアしていけると良いですね。セロトニン分泌には散歩もおすすめですよ!

【参考】

【解説】

maitake(臨床心理士)

メンタル不調と聞くと、即『○○がストレスなのかも?』と考えてしまいがちですが、天気や気圧という人間の力が及ばないものによって気分が左右されたり、コンディションに影響が出たりします。つまりメンタル不調とは、あらゆる環境へと心身が適応しようとする種々の反応でもあるわけですよね。人間の体ってすごい!

maitake記事一覧

 

【監修】

本山真(精神科医師)

精神保健指定医、日本医師会認定産業医、医療法人ラック理事長

株式会社サポートメンタルヘルス代表

 

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