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【臨床心理士執筆】大切な人のメンタル不調に気づいた時の基本対応ガイド

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2024年11月8日

大切な人のメンタル不調に気づいた時の基本対応を解説

ストレスにあふれる現代、誰でもメンタル不調になる可能性があります。ご家族やパートナー、ご友人など、身近な人がまさに今、精神的に辛い時期を過ごしているという方もいらっしゃるでしょう。身体的な病気と異なり、精神的な病気の場合は、どのように本人に対応したらいいのか周囲の人には分かりづらいものです。「これをやってあげたら余計ストレスかな?」などと慎重になるものの、何もしないわけにはいきませんよね…。

今回は大切な人のメンタル不調に気づいた時の基本的な対応方法をご紹介します。

※ご本人の状態やご本人が置かれている環境には個人差があり、必ずしも下記の対応方法が良いとは限りません。すでにご本人が医療機関を受診しているようであれば、主治医の方針を優先してください。

 

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本人の話に耳を傾ける


本人が話してくれる際は、うなずきながら話を遮らず、最後まで聞くことが大切です。集中力が低下し、話がまとまらないこともありますが、じっくりと耳を傾けましょう(参考:【精神科医監修】認知機能とは?認知機能が関連する困りごと)。また、本人が極端にネガティブな考えに陥っているとき「そんなことないよ」と励ましたくなるかもしれませんが、本人は「自分の苦しみは他人には理解できない」と感じていることが多いため、注意が必要です。

Point 話してくれない場合

精神的に不調なとき、人と話すには多くのエネルギーや勇気が必要です。無理に話をさせようとせず、本人が話し始めるのを待ちましょう。反応がない場合でも、短い言葉で優しく声をかけることができます。また、身近な人に話すことが難しい場合は、学校や会社の相談窓口を紹介するのも一つの方法です。

例)「何かしてほしいことはある?」

例)「話したくなったらいつでも聞くね」

 

「休んでも大丈夫」と思える環境を整える


メンタル不調の回復には休養が重要です。仕事や勉強、家事などの負担を思い切って減らし、周囲のサポートが必要となります。しかし、本人がストレスなくできることは続けても問題ありません。すべてを周囲が代わりにやる必要はないのです。

Point 無理に気分転換をさせない

普段なら楽しめることでも、心が疲れているときにはストレスになることがあります。本人から「~したい」という気持ちが出てくるまで、何かしてあげたい気持ちを抑えて見守りましょう。

 

医療機関につながる


身体の不調と同様に、メンタルの不調も早期治療にはメリットがあります。精神科や心療内科の受診には、ご家族等が付き添えることもありますので、医療機関に問い合わせてみてください。

Point 本人が受診を拒否する時は…

本人がメンタル不調を受け入れられない場合、受診に抵抗感を示すことがあります。無理に説得するのは避け、客観的な症状に基づいて提案することが効果的です。


「眠れていないみたいで心配だから、睡眠のことだけでも病院で相談してみない?」
「疲れが抜けないように見えるから、一度先生に相談してみない?」

Point 治療の継続を支援する

薬の効果がすぐに出ない場合や副作用があると、本人が服用をやめてしまうことがあります。まずは薬を飲みたくない理由を聞き、その上で医師に相談することを提案しましょう。薬の種類を変える、副作用を抑える薬を追加するなどの方法があります。

 

外部機関につながる


ご家族や近しい方々だけでは、行えるサポートに限界があります。医療機関だけでなく、専門的な支援が受けられる外部機関も検討してみてください。病院やクリニックのソーシャルワーカー、市区町村の障害者福祉の担当課、保健所、精神保健福祉センターなどが相談に乗ってくれます。

例)ひきこもりがちなとき…復学や復職の準備の場として、デイケア、就労支援、地域活動支援センターなどを活用できます。

例)暴言や暴力があるとき…ご本人の専門的な治療と、周囲の方々の安全確保が必要になるため、複数の機関が連携して支援を行います。(速やかに地域の窓口へご相談下さい。)

※全国精神保健福祉会連合会「精神障がい者と家族に役立つ社会資源ハンドブック」も参考になります。

 

最も大切かもしれない基本対応『支える人こそ自分自身を大切にする』


実際に、メンタル不調の方をサポートする側がストレスを抱え、疲弊するケースは少なくありません。自分をケアする余裕がなければ、相手のサポートは難しくなります。リラックスすることに罪悪感を抱かず、自分自身を大切にしてください。

Point 家族会の利用

心の不調を抱える人のご家族向けコミュニティが全国各地にあります。悩みを話し合ったり、情報を交換したりできる場があることも大切です。

※全国精神保健福祉会連合会「みんなねっと」では、都道府県ごとに家族会を紹介しています。https://seishinhoken.jp/

※「みんなねっとサロン」は、オンライン家族会です。https://minnanet-salon.net/service

 

代表的な精神疾患と対応ガイド


うつ病

重大な決断(退職や離婚など)をしようとすることがありますが、休養を優先し、判断を先延ばしできる環境を整えましょう。

例)「今は休むことに集中して、良くなったら一緒にまた考えよう。」

【参考】精神科医監修|うつ病で休職を検討するサインとは?

 

双極症(双極性障害)

起床時間、食事時間、就寝時間などを決めて、規則正しい生活を維持することがプラスに働きます。特に徹夜には注意が必要です。

例)「徹夜すると後々疲れてしまいそうで心配。今日も〇時には寝てほしいな。」

【参考】精神科医監修|感情の波に飲み込まれるな!激しい怒りを乗りこなせ!

 

統合失調症

幻覚や妄想を訴えるとき、それが非現実的であると説得するのは困難です。幻覚や妄想によって引き起こされる不安や恐怖を受けとめましょう。

例)「そんなことが聞こえるのは怖いね。でも私がいるから大丈夫。」

【参考】精神科医監修|音が気になる…これって病気なの?聴覚過敏の世界

 

パニック症(パニック障害)

パニック状態になると、ご本人は「死んでしまう」とまで思ってしまうことがあります。周囲の方は、冷静に優しく声をかけながら対応しましょう。

例)「苦しいのは必ず落ち着くから大丈夫。それまで近くにいるからね。」

【参考】【ぞわぞわ…】精神科医監修パニック障害対策ブログ【そわそわ…】

 

強迫症(強迫性障害)

身近な人に、強迫的な行動(確認や掃除など)を手伝うよう依頼することがありますが、手伝うと症状が悪化してしまうリスクがあります。対応には注意が必要です。

例)「繰り返したくなるくらい心配なんだね。でも疲れてしまうようだから、一旦、一緒にここを離れてみない?」

【参考】オタク臨床心理士・公認心理師は語る。収集癖は趣味なのか病気なのか

 

参考文献


 

【執筆】

chico(公認心理師・臨床心理士)

メンタル不調は、ご本人も周囲の方もなかなか気づきにくいものです。「心配をかけたくない」「弱いと思われたくない」とご本人が不調を隠してしまうケースもあります。つまり、異変に気づいている人がいること自体が実はとても重要なんです。皆さんの気づきが、すでに、ご本人の回復に向かう第一歩となっています。

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