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エンパスとは?特徴は?HSPとの違いは?うつ病になりやすいって本当?

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2023年5月26日

最終更新日 2024年1月22日

エンパスとは何なのか?特徴やHSPとの違い、うつ病になりやすいって本当か解説します

 

『繊細さん』という言葉をよく耳にするようになりました。『繊細さん』は“HSP(Highly Sensitive Person)”のムーブメントの中で生まれた言葉です。HSP自体、まだまだ議論が必要な概念であり、中には発達障害の特性で説明する方が妥当なケースもあり、混沌としているのが現状です。

*HSPについてはこちらの記事で解説しています

【精神科医監修】HSPは病院に行くべきか??診断問題を解説

 

発達障害(特にASD)やHSPに近しい概念としてエンパスというものがあるそうです。なかなか聞き馴染みのない言葉だったので調べてみたところ、大変興味深かったので今回ご紹介します!

 

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【執筆】

若丸(公認心理師・臨床心理士・健康経営エキスパートアドバイザー)

HSPやエンパス。自分の困りごとや生きづらさに名前がつくことでほっとする感覚わかります。一方で、自分の困り感や生きづらさに名前がついてしまい一般化してしまうことの寂しさも感じます。

ブログ内でも触れていますが、HSPやエンパスはほっとするにも寂しく感じるにも拠り所にするのにまだまだ発展途上の概念。更なる研究報告を待ちましょう!

若丸記事一覧

 

【監修】

本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長)

 

エンパスとは?


エンパス(empath)とは共感力の高い人のことを指します。人の感情に敏感なタイプで、人の感情を自分のものとして感じることもあるようです。意識的に共感しているわけではなく、無意識的に相手の感情、思考などを感じ取る傾向があるんだとか。

 

Aron(2012)は、感情的なものなどの刺激を非常に敏感に認識し、それを強く受け取りやすい傾向を持つ人のことを“高い敏感性を持つ人”と表現しました。また、このような敏感性の持ち主は15~20%存在するそうです(Aron,2002)。串崎(2018)によれば、エンパスの傾向を持つ方が感じ取る微細なエネルギーは、東洋の治療文化でいう生命力であると言います。エンパスはそれを極度に深く体験してしまうことから、人の不快感と自分の不快感を区別するのが難しいこともあるようです。

 

刺激に対して鋭敏で環境から影響を受けやすい点についてはHSPと重複する部分がありますね。また、どちらも疾患概念として取り扱われるものではないため、医療機関で診断することはできないという点も同様です。それではエンパスとHSPにはどのような違いがあるのでしょうか?

 

エンパスとHSPの違いは?


多くの共通点を持つエンパスとHSP。串崎(2019)は、エンパスは情動吸収と気疲れという特徴を持つ点がHSPと異なるというJudith Orlofの主張を紹介しています。

 

情動吸収とは自分と他者との間のフィルターが希薄な特徴を指すようで、相手の気持ちやストレス、痛みを取り込んでしまう傾向を指すようです。気疲れとは人が多いところで疲れやすい特徴を指すようです。

 

 

HSPとは環境や感覚に敏感な傾向、エンパスとはHSP傾向に加えフィルターが希薄且つ気疲れしやすいタイプと言えるかもしれません。

 

エンパスの特徴


HSPと重複する部分の多いエンパスですが、一体どのような特徴を持っているとまとめられているのでしょうか。

 

  • 相手の感情を敏感に感じ取りやすい

エンパスの傾向を持っていない人でも、コミュニケーションを取る中で『今この人機嫌が悪そうだな』とか『なんだか嬉しそうだな』とか、相手に対して感じることはありますよね。エンパスの傾向を持っている人の場合、リアルタイムなコミュニケーションの有無に関わらず相手の感情やエネルギーを鋭敏に感じ取ると言います。

 

  • 気分の波が生じやすい

人や周囲の環境から強い刺激を受けることで、気持ちが不安定になりやすい人も多いようです。エンパスの傾向を持つ人が感じ取った相手の感情をダイレクトに受け、そのエネルギーに引きずられてしまうのかもしれません。自分の感情だけでなく、周囲にいる人の感情に振り回される結果、気分の波が生じやすいと考えられます。

 

  • 強い刺激を受けるニュース・映像などにも敏感

戦争映画、事件や事故のニュースなど、暴力的であったり切迫感があったりするものが苦手な傾向があるようです。そういったシーンに対する恐怖心もあるのでしょうが、感情に敏感なエンパスの特徴を考えると、想定以上に負の感情やエネルギーを察知してしまうのかもしれません。また、自分以外の人が怒られているシーンに居合わせた際、まるで自分が怒られているかのように感じて居心地が悪くなる人もいるようです。

 

エンパスはうつ病になりやすい?


上記のような特徴を持っているとすると、(それがエンパスであろうと無かろうと)社会生活を送る中でどっと疲れる場面は多そうだな、疲れが溜まってしまいそうだなと思いました。

 

平野(2012)は繊細な側面を『心理的敏感さ』として調査し(使用している尺度はまさにHSP尺度だったりするのですが…)、心理的敏感さが高いほど『毎日が孤独でさびしい』、『やる気が出ず、憂鬱な毎日を過ごしている』、『味気ない毎日を送っている』といった項目と関連していると示しました。また、日本人大学生を対象としたYano・Oishi(2018)によれば、敏感であるほど運動習慣が少なくなり、結果的に気分の落ち込みの程度を高めていると述べています。確かに、いろいろな人の感情や周囲のエネルギーに翻弄されやすい傾向がベースにあると、二次的にうつっぽい状態になるのも納得です。

 

うつっぽいかな?と思ったときに出てきやすい心身のサインとして代表的なものを挙げます。

  • 気分が落ち込んだ状態が続いている
  • 楽しめない
  • 食欲がない
  • 眠れない、または寝すぎてしまう
  • 体がだるい、疲れやすい
  • その他、身体症状(頭痛、肩こり、動悸、胃腸症状、めまいなど)

エンパスの傾向の有無にかかわらず、このような症状が見え隠れするようになったら医療機関受診など自分をケアする手段を検討することをおすすめします。

【参考】もしメンタルの病気になったら? |公認心理師が疑問にお答えします!

 

エンパスとは?まとめ


エンパスは性格特性の一種として考案され、検証が進められている概念の一つです。

 

エンパスの現状を例えると…『こんな考え方どうでしょう?』と企画を立案し、試作品を以て市場調査をしている段階です。市場調査の過程で、既に市場に流通している商品の方が優れていることが発覚したり、既製品で事足りることがわかり開発を中断することもありますよね。開発過程においても市場流通後においても安全性に問題が見つかり商品が回収されることもあるでしょう。

 

HSPやエンパスは商品開発が始まったばかり。市場流通より全然手前の段階です。発達障害(特にASD)感覚過敏のようなリサーチ結果に支えられた概念があるのであれば、そちらを先行して用いる方が安心安全です。エンパスやHSPが独立した概念として取り扱うのに耐えうる概念なのか、今後の推移を見守りましょう。

 

参考文献


  • Aron, E. N., Aron, A., &Jagiellowicz, J.(2012)Sensory processing sensitivity; A review in the light of the evolution of biological responsivity., Personality and social Psychology Review, 16, 262-282.
  • 平野真理(2012)心理的敏感さに対するレジリエンスの緩衝効果の検討―もともとの「弱さ」を後天的に補えるか―.教育心理学研究, 60, 343-354.
  • 串崎真志(2019)エンパス尺度(Empath Scale)の作成 : 高い敏感性をもつ人(Highly Sensitive Person)の理解.関西大学人権問題研究室紀要, 77, 37-54.
  • 串崎真志(2018)高い敏感性をもつ子ども(Highly Sensitive Child)の理解:自閉症・高敏感者・エンパス・不登校. 関西大学人権問題研究室紀要, 76, 27-55.
  • Yano, K., & Oishi, K.(2018)The relationship among daily exercise, sensory processing sensitivity, and depressive tendency in Japanese university students., Personality and individual Differences, 127, 49-53.

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