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現役心理職が解説|心の資格【公認心理師・臨床心理士】を紹介

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2022年7月29日

現役心理職が心の資格、公認心理師・臨床心理士について解説

 

公認心理師、臨床心理士。いずれも心の資格の名称です。一般的には聞き慣れない資格名かもしれません。今回は、公認心理師と臨床心理士について、資格の概要や取得方法などをご紹介したいと思います。

 

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心の国家資格【公認心理師】とは?

 

まず公認心理師ですが、2015年に公認心理師法が成立し2017年に施行された心理職の国家資格です。国家資格なのですが、試験の回数からも分かるようにまだ新しい資格および制度です。

 

「公認心理師とは、公認心理師登録簿への登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者のこと」

【引用】公認心理師|厚生労働省

 

であり、法令で定められている公認心理師の業務とは下記4つです。

 

1.心理に関する支援を要する者の心理状態の観察、その結果の分析

=心理査定(アセスメント)

2.心理に関する支援を要する者に対する、その心理に関する相談及び助言、指導その他の援助

=心理面接(カウンセリング)

3.心理に関する支援を要する者の関係者に対する相談及び助言、指導その他の援助

=関係者への面接

4.心の健康に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供

=心の健康に関する教育・情報提供活動

 

公認心理師は、精神面に生じる障害や不適応行動などの回復、またそれらを予防する分野である「臨床心理学」に偏りすぎず、心理学全体に関わることのできる専門家としての活躍が期待されています。

 

そのような背景もあり、公認心理師になるためには大学4年間と大学院修士課程2年間の合計6年間、または大学4年間と指定された機関での実務経験2年間の合計6年間、指定カリキュラムに沿った内容を学習して修了することが必須条件となっています。大学、大学院在学中には現場での実習も受けることになっており、実践的な経験を積む機会も設けられています。

 

6年間の教育を修了すると晴れて資格試験を受験できるわけですが、合格しただけでは公認心理師として活動することはできず、公認心理師登録簿への登録を受けることにより「公認心理師」と名乗って先ほど述べた業務を行うことができるようになるのです。合格から登録までの期間に期限はないため、すぐに公認心理師として仕事をする場合でなければ、ゆっくり登録手続きをしても問題ないということです。

 

また、公認心理師は一度資格を取得すると更新する必要がありません。その点においては更新し忘れて失効するという心配がなく安心です。

 

歴史ある心の資格【臨床心理士】とは?

 

続いて臨床心理士ですが、こちらは1988年に資格認定が開始された民間資格です。民間資格ではありますが、公認心理師制度が開始されるまで実質的には公的資格のようなものでした。1995 年に文部科学省(当時は文部省)で「スクールカウンセラー 活用調査研究委託事業」が開始されて以降、多くのスクールカウンセラーは臨床心理士資格を持った方々が担っています。

 

「臨床心理士とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の“こころ”の問題にアプローチする“心の専門家”」

【引用】公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会

 

臨床心理士に求められる専門行為は下記4つです。

 

1.種々の心理テスト等を用いての心理査定技法や面接査定に精通していること

=臨床心理査定(アセスメント)

2.一定の水準で臨床心理学的にかかわる面接援助技法を適用して、その的確な対応・処置能力を持っていること

=臨床心理面接(カウンセリング)

3.地域の心の健康活動にかかわる人的援助システムのコーディネーティングやコンサルテーションにかかわる能力を保持していること

=地域援助

4.自らの援助技法や査定技法を含めた多様な心理臨床実践に関する研究・調査とその発表等についての資質の涵養が要請されること

=調査、研究

 

公認心理師同様、4つの業務内容が掲げられていますが、両者の一番の違いは臨床心理士の業務内容に「調査、研究」が含まれている部分です。これは、臨床心理士として技術的な手法や知識を確実なものにするために求められる専門業務として位置づけられています。

 

臨床心理士になるためには、指定大学院の修士課程または専門職大学院で専門的な知識や技術を学び修了することが必須条件となっています。公認心理師同様、大学院在学中には現場での実習も受けることになっており、実践的な経験を積む機会も設けられています。

 

修士課程2年間の教育を修了すると資格試験を受験できるのですが、指定大学院には2種類あるので進学する際に注意が必要です。第1種指定大学院であれば修了後すぐに受験可能ですが、第2種指定大学院の場合は修了後1年以上の臨床心理経験(例:教育相談機関、医療施設などにおける相談員、カウンセラーとしての勤務経験)がないと受験は不可能です。

 

これから心理の道へ進むことを考えている方は、入学を検討している大学院や日本臨床心理士資格認定協会のホームページなどでどちらに該当するのかを確認されると良いかもしれませんね。

【参考】

臨床心理士受験資格に関する指定大学院・専門職大学院一覧

 

臨床心理士は一次試験(筆記)に合格すると二次試験(面接)を受験することができ、二次試験の結果が合格だった場合、決められた期限内に手続きを済ませることで臨床心理士として認定され、活動ができるようになります。公認心理師と違って手続きに期限が設けられているので、せっかくの合格が無駄にならないように気を付けなければなりません。

 

また、臨床心理士資格取得後は5年ごとの更新が必要であり、更新のためには5年の間に研修会への参加や論文の発表を行う必要があります。新型コロナウイルス感染症が拡大している昨今ではオンラインでの研修会も更新の対象となっているケースがあるようです。

 

現役心理職による【心の資格】解説まとめ

 

公認心理師・臨床心理士比較

 

心の資格の代表的な2資格の特徴を見てみましたが、他にも、精神科ソーシャルワーカー(PSW)と呼ばれる福祉の国家資格である精神保健福祉士、人の発達・成長・加齢に寄り添い、必要とされる援助を提供する臨床発達心理士など、心理に関する業務を担う資格や職種は多岐にわたります。それぞれ資格の特徴、取得方法、働ける場所などに違いがありますので、ご興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。

【参考】

精神保健福祉士について|厚生労働省

一般社団法人臨床発達心理士認定運営機構

 

【解説】

ふ~みん(公認心理師)

何の資格においても共通していることだと思いますが、資格を保有していること、すなわち、資格に求められる最低限の知識技術を有しているということです。知識技術は日進月歩。ライフワークとして研鑽してまいります!

ふ~みん記事一覧

 

【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

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