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【精神科産業医監修】健康経営のはじめ方|導入と継続のポイントを解説

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2023年6月2日

最終更新日 2024年8月2日

健康経営のはじめ方や導入・継続のポイントを精神科産業医監修で解説

従業員に長く・健康的に・モチベーションを持って働いてもらうための有用な取り組みとして、近年‟健康経営“が話題になっています。今回は企業をより成長させていく大切な視点として、健康経営についてご紹介します!

 

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健康経営に関する情報はこちらにもあります!ご活用ください。

 

健康経営とは?


健康経営とは従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践することを指します。経営理念に基づいて従業員の健康の維持・増進に取り組むことで、組織の活性化や生産性アップ、企業価値アップなどの効果が期待されます。健康経営として取り組むべき課題は企業によって様々だと思いますが、健康経営優良法人認定制度で定められている項目を基準にすると課題が明確に見えやすいかもしれません。

 

【引用】【産業医監修】健康経営とハラスメント対策の意外な関係

 

*健康経営優良法人認定制度とは、職場の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に健康経営を実践している優良な法人を認定する制度です。

【参考】

健康経営優良法人認定制度【認定基準】|経済産業省

 

健康経営優良法人認定制度の項目を見ると、定期健診や医療機関受診の勧奨、ストレスチェックの実施、コミュニケーションの促進に向けた取り組みなどいろいろな項目があります。自社の健康課題を考える際、どこから始めたら良いか迷うこともあるかもしれません。その際はこういった項目から考えていくことをお勧めします。

 

企業が健康経営を導入するメリット


企業にとっても、従業員にとっても、大きな意味を成す健康経営。メリットも沢山あるんです!

 

 

  • 生産性アップ!

従業員の心身の健康を維持・増進できると従業員自身のストレス軽減が見込めます。その結果として、仕事に対するモチベーションが維持・増進でき、パフォーマンスアップに繋がります。

 

  • 従業員の定着率アップ!

健康経営は、いわば従業員を大切にする取り組みです。従業員が『良い企業だ!』と思うためには、企業にとって従業員ひとりひとりが大切な存在であることを経営者の言葉で伝えることが有用でしょう。その結果として『この企業に長く勤めたい』と感じる従業員が増加し、定着率向上に繋がる見込みがあります。

 

  • 企業の魅力アップ!

上記と併せて、社外周知にも力を入れましょう。健康経営へ取り組んでいることを社外にもアピールできると、将来的に人材採用率は高まると考えます。

 

  • 医療費ダウン!

従業員の健康が維持・増進できると、医療機関にかかったり薬を服用したりする機会が減少するはずです。多くの企業が健康に関する問題意識を持って健康課題の解決に取り組むことで、国民医療費と健康保険料の上昇に歯止めをかけられる可能性が高まります。

 

上記のメリット、積極的に取りにいきませんか?次に健康経営を導入するときに必要な手続きなどについてお伝えします。

 

健康経営の導入方法ー健康経営をはじめるために必要なことー


健康経営を始めよう!と思い立ったら実際の行動に移しましょう。具体的には以下の準備が必要です。

 

【引用】産業医監修|地方創生につながる健康経営ー中小企業こそ健康経営をー

 

  • 経営者の健康づくりから始めましょう!

健康経営に取り組む際、まずは経営者自身が健康づくりに取り組むことが必要です。定期健康診断は受けていますか?もし定期的に受けていないようであれば、まずは経営者から行動に移しましょう。併せて、‟なぜ自社に健康経営が必要なのか“整理しておきましょう。健康経営の取り組みを始めるにあたり、このあたりは非常に重要な土台になります。

 

  • 健康経営を推進するためのチームを作りましょう!

経営者はもちろんのこと、健康づくり担当者など取りまとめの役割を担う部署・人物を選出し、チームを作ることが必要です。担当者として専門資格を持つ従業員を配置したり、担当者に研修を行って健康経営をスムーズに進められるようにしたりします。また、事業所が複数ある場合、事業所ごとに担当部署・担当者を決めておきましょう。チームの中に産業医や保健師など外部のリソースを活用することも多々あります。

 

  • “健康宣言”をしましょう!

経営者からメッセージを社内外に発信することを指します。“健康宣言”をすることの意義は以下の4つです。

  1. 経営者が先頭に立って健康経営を進めていくというコミットメント(約束)の役割を担う
  2. 健康宣言を社内外に公表することにより、従業員を大切にしている企業だとアピールできる
  3. 従業員が健康で生き生きと働ける環境を整えられる
  4. 健康問題による損失を最小限にし、経営上のリスクを回避する

 

ちなみに、‟健康宣言“はそれぞれの健康保険組合等により呼び方が異なります。健康宣言の手続きは協会けんぽや健康保険組合によって異なりますが、多くは現状をチェックしたうえで取り組むテーマを見出し、応募する流れになります。

 

  • 社内外に周知しましょう!

健康経営の取り組みを行うためには、従業員の協力も必要です。せっかく健康宣言をしたのに取り組みが社内に浸透しない…という状況は避けたいですよね。新しい取り組みを始めるときは一時的に負荷が高まるため、あまり積極的になれない従業員もいるかと思います。そのような人にも‟自分ごと“として考えてもらえるよう、発信する際は工夫すると良いでしょう。工夫の仕方の1つとして、経営者の生の言葉で、なるべく具体的に、わかりやすい用語をつかうことをお勧めします。従業員を大切にすることで、将来的には人材の定着にも繋がるでしょう。

 

また、社外への周知も大きな意味があります。従業員を大切にしている企業であることをアピールすることで、就職先として選ばれやすくなり、結果的により優秀な人材を採用できる可能性が高まります。

 

  • 企業の健康課題を整理し、具体的な目標に落としましょう!

職場全体で取り組むために、皆が納得できる理由が必要になります。そのため、健康経営における健康課題はなんとなく決めるのではなく、必ず根拠に基づいて抽出します。例えば、『定期健診受診率50%』というデータ(根拠)があれば、『定期健診受診率が低い』ことが健康課題として抽出され、『定期健診受診率100%を目指そう』という具体的な目標設定に至る、というわけです。

 

健康課題の抽出は、日常的なコミュニケーションからヒントを得ることも大いにあります。『今日も残業だ~』と言う従業員がいたと仮定すると、従業員個人または部署によっては過負荷な状況が生じているのかもしれません。その分析をしたうえで、健康課題を見出し、適切な目標設定をしていく流れになります。

 

健康経営を継続するためのポイント


せっかく上記のように準備したにもかかわらず健康経営の取り組みが続かない…となるともったいないですよね。取り組みを継続するために必要なのは、定期的な効果測定やモニタリングです。

 

効果測定の方法は、社内の衛生委員会を定期開催する、従業員に対して調査を行う、外部のリソース(産業医、保健師、健康経営エキスパートアドバイザーなど)を活用するなど複数存在します。定期的なモニタリングでは、目標の達成度はどの程度か、今必要な取り組み・手段は今のままで適切なのか、など1つ1つ検討していきます。そのときの状況に最適化した手段を選択するために、初めの目標設定が具体的であることがとても重要なのです。

 

【執筆】

若丸(公認心理師・臨床心理士・健康経営エキスパートアドバイザー)

今回は健康経営の導入、それを続けていくために必要なことについてご紹介しました。相手が1人であろうと大勢であろうと、人を動かすというのは難しいことです。健康経営を導入する段階で最も大切なのは、従業員が‟いかに納得して自分ごとにできるか“だと思います。

 

また、健康経営はすべてが新しい取り組みとは限りません。これまで意識してなかった身近なことに気づいて取り組み始めることもあれば、これまでに個人が行っていた取り組みを全体に広げる場合も含まれていると思います。日々のちょっとしたコミュニケーションが企業の健康経営を支えています。経営者の思いを中心に、従業員の声を反映していく意識が大切なのだと考えています。

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【監修】

本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長)

 

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