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タグ : メンタルヘルス対策 , 健康経営® , 産業精神保健 , 若丸(公認心理師・臨床心理士・健康経営エキスパートアドバイザー)
2023年3月31日
最終更新日 2024年1月23日
目次
以前健康経営の観点より、女性特有の健康課題によるプレゼンティーズムを取り上げました。女性の健康課題に伴うプレゼンティーズム対策は企業ごと課題に応じて考えていくことが効果的です。今回の精神科産業医監修ブログは女性特有の健康課題によるプレゼンティーズム対策の具体案を紹介します。
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女性従業員が月経関連の症状や更年期症状による不調であるか否かはセンシティブな話題であり、企業側が把握するのは難しい場合がほとんどなのではないかと思います。一方『いつも通りのパフォーマンスを発揮できていないのかも?』という姿は一緒に働いていると何となくわかるものかもしれません。女性特有の健康課題によって明確にプレゼンティーズムが生じている場合対象の従業員に対し職場としてどう対応すると良いのか検討できる機会を作ることを推奨します。衛生委員会が設置されている企業においては、上記を議題として取り上げることにより次のアクションに繋がりやすくなります。
衛生委員会とは?
労働安全衛生法は衛生管理体制の整備について定められた法律です。労働安全衛生法では、50名以上の事業場において産業医や衛生管理者の選任、衛生委員会の設置義務があります。10名以上50名未満の事業場であれば、衛生推進者等の選任義務があります。衛生委員会の役割は、従業員の健康障害や労働災害を防止すること、健康の保持増進や健康教育を行うことです。
衛生委員会の役割を100%解放するためには、事業者からの一方的な指示のみならず従業員側の協力も必要です。衛生委員会は“労使一体”となって取り組むための協議の場として活用されます。ちなみに『衛生委員会の活用』は健康経営推進においても推奨されているメソッドです。女性特有の健康課題対策においても相性の良いアプローチだと言えますね。
若い世代は種々の不調で欠勤する”アブセンティーズム”は少ない一方、”プレゼンティーズム”による損失が高い傾向にあります。若さゆえに無理がきくこともあるのかもしれませんが健康的に働くためには見通しを持って自分自身の健康維持・増進に目を向けてもらうことも必要です。特に女性特有の健康課題については『休むほどではないけど…』と無理をしてしまう女性が多いようです。結果として月経関連の症状や片頭痛、子宮内膜症など見過ごされやすいんですよね…。
『休むほどではない』と無理をしてしまう従業員が確認できた場合は、企業内の制度の確立や見直しが有効です。例えば”厚生労働省が発行している『労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト』において一定の点数を超えた場合は産業医や保健師と面談を行う”、”福利厚生として女性専門家が担当する相談窓口を設置し利用を推奨する”など専門家を活用する対策は様々あるでしょう。
【参考】
働く世代が抱える見過ごされている健康課題への対応の必要性|株式会社日本総合研究所
上記は一例ですが、このような対策を有効に実施するためにはヘルスリテラシーの向上を図り、有用なリソースを知ることが大切です。
女性の健康の一層の増進を図るために、女性の健康をライフステージに合わせて支援することを目的とする研究の一部として運営されている情報サイトです。小児期・思春期から老年期まで、ライフステージごとに生じやすい困りごとや疾患について包括的にまとめられています。女性特有の病気の早期発見・対応ができるように、検診やワクチンに関する情報提供をしていたり、病気のセルフチェックが行えたりします。また健康増進にかかせない食事にも着目しており、『女子力アップレシピ』として栄養価の高い食事が紹介されています。
女性が働きながら安心して妊娠・出産・子育てができるように、職場における母性健康管理を推進するための情報を提供しているサイトです。そもそも母性健康管理とは?という解説から、企業及び該当する女性従業員がどのように対応すると良いか具体的に紹介されています。専門家による動画配信やコラムの投稿、母性健康管理に関する研修会のオンデマンド配信なども行っているため企業側の負荷は比較的少なく情報を得られるのではないでしょうか。
フェムテック|新しい当たり前をつくり女性が働きやすい社会を|経済産業省
フェムテックは、月経や出産、不妊、更年期など女性特有の健康課題をサポートするツールとして注目されています。フェムテック事業によって、①正確な情報や知識を持つ(=ヘルスリテラシーを高める)、②フェムテック事業と企業、自治体の連携を強める、③女性の健康課題をきっかけとして働き方の多様性を考え、誰もが働きやすい環境づくりを可能にする、といった効果が期待できます。こちらWebサイトでは、経済産業省のフェムテック等サポートサービス実証事業について紹介されています。健康課題ごとにカテゴリーが分けられ各事業の取り組みを知ることができます。
【参考】
上記の通り、有益な情報を提供してくれるリソースは複数存在します。正しい知識を得たうえで次に取るべきアプローチは社内周知です。
社内周知の方法として思いつくのは…
こんな感じでしょうか?
社内周知に限らず、あらゆる対策を行う際のコツは“できることから始める”ことです。ハードルの高くない取り組みから始める方が実際に取り組む方々の不安や負担は少なく、より受け入れられやすくなるでしょう。また、従業員の健康維持・増進のための取り組みはコストゼロから始めることが可能です。先ほどご紹介したWebサイトはどれも無料で閲覧できます。従業員の健康づくりのためにコストのかかるシステムの導入や、外部の専門家の雇い入れが必須なわけではありません。例えば、先ほどのWebサイトの情報を従業員向けの普及啓発資料として活用する、従業員同士で健康管理について話し合う機会を設けるなどコストをかけずにできる取り組みもあります。
どんな対策を施すにしても大切なことは継続することです!できることからはじめてみましょう!
【執筆】 若丸(公認心理師・臨床心理士・健康経営エキスパートアドバイザー) 女性特有の健康課題を支援することは、企業にとって長期的な人材の確保やプレゼンティーズム予防による生産性の向上と言ったメリットだけでなく、人材定着によるキャリアアップ、管理職登用など組織のレベルアップに繋がることでしょう。
【監修】 本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長) |