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タグ : maitake(臨床心理士) , メンタルヘルス
2023年4月14日
ー運の悪いことが続いたとき、とりあえず笑っておこう!
ー背筋を伸ばして前を向いていれば、きっといいことがある!
悲しいことがあったとき、こんな対処を取られたことはありませんか?
実はこれは心理学的にも説明がつく部分があるのです。現在の研究成果では全て説明がつくわけではないのですが一部的を射ていることは確かでしょう。まだ「笑うから楽しい」のか「楽しいから笑う」のかについては、未だどちらが現実に近いのか議論されているところです。
現時点では、その両方の要素と環境が影響し合いながら感情が現れているという説が有力だとされています。今回は、この考え方を踏まえながらリラクゼーションについて考えていきます。
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ーところで、今リラックスしていますか?
ー体の状態はどうでしょう?
ー気持ちは穏やかでしょうか?
まず、リラックスという言葉には大別して①体の緊張が緩んでいる様子、②気持ちが穏やかな様子といった意味があります。やや乱暴ですが、冒頭の2パターンに当てはめると「体がリラックスしているから気持ちもリラックスする」と「気持ちがリラックスしているから体もリラックスする」、そして「その両方」であるという考えに落とし込めそうです。
改めてご自身の今の状態を振り返ってみたとき、どのように感じられるでしょうか?実は、私たちの体は常にある程度の緊張を保っています。立つ姿勢、座る姿勢などを”保つ”ためにどこかの筋肉に力が入っています。完全なるリラックス状態だと生き物は形を保つことができなくなってしまいますね。スライムを想像してみるとイメージしやすいかもしれませんが、緊張という支えがない状態では重力に対抗できず、形にならないことが分かります。更に、歩く、話す、などの”動作”を行うためにも緊張が生じます。普段意識することのないレベルでの緊張ですが、歩くときには脚の筋肉や全身の細かな筋肉にわたり力が入っています。
加えてストレスのかかる状況に置かれると、無意識に体へと力が入ります。体のバランスを整える自律神経のうち、交感神経が活発になるために起こるもののひとつです。人によってストレスに感じる程度や頻度に差があり『すぐ緊張する』『緊張がほどけにくい』と感じる方も。暑い寒い、冬のコートが重い、花粉症だ…といった環境的な要素でも体は緊張を強めています。
この「普段意識することにない」緊張が積み重なり大きくなることが原因です。一方で、自動的にリラックスするような状況はなかなか思いつきません。つまり、私たち生き物は『リラックスするよりも緊張することがたやすい』ものなのです。そう考えてしまうと、私たちは「体がリラックスしているから気持ちもリラックスする」ことはできないのでしょうか?
人体を構成する筋肉には、二種類あります。自分の意思で動かせる筋肉(随意筋)と、意思の及ばない筋肉(不随意筋)です。自分の意思で動かせる筋肉は、骨格筋と呼ばれる腕や脚についている筋肉です。意思と言っても「右手よ、動け!」と思っている訳ではありませんが、少なくとも手が動くのは「スマートフォンを操作しようと思っている」という自分の意向の上に成り立っている行動です。私たちがとる動きのほとんどは、この筋肉の動きによるものです。
一方、意思が及ばない筋肉の代表としては内臓筋が挙げられます。内臓を動かし続けることは、命をキープしつづけるためにとても重要ですね。もし、右手と同じように意思によって内臓を動かしていた場合、どうなるのでしょうか?ボーっと考え事をして、臓器を動かすことを忘れてしまったら…簡単に生命活動が止まってしまいます。おちおち生活していられません。意識を向けなくても動いてくれているこの機能のおかげで、生き物が生きていけるのです。
もうひとつ、生命維持と言えば『呼吸』。呼吸は、意思が及ぶ・及ばないのどちらでしょうか?
ー答えは、両方です。
呼吸は放っておいても止まることはないうえに、意識的に深呼吸のようにタイミングを操作することもできますね。これは、肺を動かす筋肉が、意識によってコントロールできるという特性をもっているために可能になっている例です。つまり、腕や脚などの体の筋肉の緊張感や呼吸は、自分の意思で整えることが出来るということでもあります。意思が及ぶということは、その部分を意識的に動かすことで『緊張した体をリラックスさせることもできる』のです。
とはいえ、自分の体の状態に気付くことは簡単ではありません。よろしければ読みながら下記の方法をとってみてください。
<ストップモーション>
演劇などの演出で『ストップモーション(動作を途中で止めて、一時停止状態を保つ)』というものがあります。動画を一時停止したときのような状態で止まってみます。今スマートフォンを見ている手を止め、指の先、顔の表情、脚にかかる重力もそのままに数秒止まってみましょう。
ーさて、どこに、どんな風に力が入っていますか?
ストップした状態を続けることで、少しずつ疲れてきませんか?
時間がきたら、楽にしてください。
ー今はどんな感覚ですか?
意外にも体の随所に力が入っていたし、それを保つには更に力が必要だったのではないでしょうか。そして、更に今の体はどうでしょうか、緊張していた分力が抜けたのがお分かりでしょうか? 一度緊張状態にしてから一気に力を抜くリラクゼーション方法を漸進的筋弛緩法といいます。本格的な漸進的筋弛緩法では、体の部分に一定時間力をこめてから脱力していきます。緊張-緩和の繰り返しは、手軽かつどのリラクゼーション法においても重要な要素のひとつです。その他にも、以下のようなリラクゼーション法があります。
【自律訓練法】
体の緊張を緩和してくために、6つの公式に則って暗示をかけていきます。効果的な方法として言葉や流れが決まっており、取り組みやすい方法のひとつです。
株式会社サポートメンタルヘルスでは「ホットレ」というオンラインプログラムにて取り組みやすく体系化しています。YouTube動画も作成しておりますので是非ご参照ください!
【臨床心理士によるリラクゼーション】ホットレってなに?編
ZERO 1 ch【株式会社サポートメンタルヘルス公式ch】
【ボディスキャン】
マインドフルネスのワークのひとつとして体系化されています。広くは瞑想のひとつです。横になって、体の隅々まで順に注意を向けながら「観察」と「リラックス」を同時に行います。自分自身の体にどう力が入っているのかに気付き、瞑想の効果も相まって考えもスッキリするといった効果もあります。
弊社ではまいたけあというプログラム内にて、体験いただくことができます。
臨床心理士がわかりやすく解説!マインドフルネス講座解説編
【呼吸法】
呼吸法とは、意図的に呼吸の深さや速度を操作することだと言えるでしょう。様々な方法が確立されていますが、特に、深い息と吐く息を長くすることでストレスが下がるといわれています。
【参考】【精神科医監修】マインドフルネスとは②仕組みとやり方
参考文献
【解説】 maitake(臨床心理士) 「体が重いからやる気が出ない」「焦るから呼吸が浅くなって、もっと焦る」「深呼吸したら気楽になった」。私たちは、こういった小さな繰り返しの積み重ねで生きているのではないでしょうか。 こころのバランスが崩れそうなときは、リラックスする…つまり、休むなど緩んだ状態をつくりだすことも意識してみてはいかがでしょうか。
【監修】 本山真(代表取締役社長) 精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長 2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。 |