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【精神科医監修】マインドフルネスとは②仕組みとやり方

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2021年4月16日

最終更新日 2021年5月6日

マインドフルネスの仕組み、やり方を解説します

Google、Yahoo!など大企業が取り入れているマインドフルネス。目にしたり耳にしたりする機会多いですよね。弊社ブログでも解説として取り上げました。本ブログではもう一歩踏み込んでマインドフルネスの仕組み、やり方を解説いたします。

【精神科医監修】マインドフルネスシリーズ

マインドフルネスとは①定義と潮流

【スタッフ体験談】マインドフルネスを公認心理師・臨床心理士が受けてみた!

 

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マインドフルネスと認知行動療法

マインドフルネスの技法を習得する前に、認知行動療法(CBT:Cognitive behavioral therapy)の仕組みについて簡単に理解しておきましょう。認知行動療法とは、ストレスに対するセルフケア促進を目的としたツールです。ストレスを感じると心身(心と身体ですね)に様々な反応が生じます。落ち込んだり、イライラしたり、心臓がドキドキしたり、お腹が痛くなったり。これらは個人の内側で起こっていることです。

 

認知行動療法では、個人の外側の要因(ストレスを感じる状況、環境など)にも注目し、バランス良く観察していきます。

【参考】認知行動療法(厚生労働省 e-ヘルスネット[情報提供])

 

架空事例でご説明します。

日曜日の夜、ゆったりとバラエティー番組を楽しんでいた高校生のAさん。

ふとした瞬間、明日提出の宿題があることを思い出して大慌てです。

しかも苦手な数学…。

すぐに取り掛かりますが、いろいろな考えが頭をよぎります。

 

 

これはプレッシャーがかかる状況ですね。『TV見たい…』というような考えも出てきていますが、Aさんはこの日なんとか宿題を終わらせました。やることをうっかり忘れてしまうことは多くの方が経験されていると思いますが、それが繰り返されると『やっぱり自分は駄目だ…』とネガティブな認知が根づいたり、頭痛や腹痛などからだの症状として現れてきたりする場合があります。まさに悪循環ですね。

 

私たちは生活している中で、環境から影響を受け、環境に対し何らかの反応をしています。認知行動療法では個人要因(感情・認知・からだの反応・行動)と環境要因(状況から受ける影響)を併せてモニタリングしていきます。

 

まずは“環境で何が起こっているのか”について考えてみるのがコツです。『自分はどんな気持ちだったんだ?どんな考えだったんだ?』と個人要因について考えた結果、煮詰まってゴールを見失ってしまうこともあります。

 

状況・環境のアセスメントができたら、今度は個人要因のモニタリングに取り掛かりましょう。

 

Aさんの個人要因を整理してみましょう。

 

まず“認知”に注目してみましょう。『間に合わないかも…』という認知、これは果たして真実でしょうか?

 

もしかすると、Aさんは“提出直前なのに宿題に手をつけていない”という状況や、“苦手意識のある数学だから終わらないかもしれない”といった認知によって、大慌てをしたのかもしれませんね。一旦落ち着いて考えてみると、宿題の量がそれほど多くなかったり内容が以前やったことの復習だったりして、案外すんなり終わるものだった可能性もあります。

 

自分を取り巻く環境や自分の内側で何が起こっているのかモニタリングすることは、ストレスのもとを発見する大きなヒントになります。悪循環が生じるメカニズムに気づき、自分や環境を観察し続けることで、自分の認知や行動に変化を引き起こしていきます。

 

このプロセスを続けることで、自分自身で問題を解決していくスキルがぐっと上がるのです。認知行動療法の仕組みは、マインドフルネスの考え方に活用できます。両者の共通点は、どちらもストレスやそれに対する自分の反応に“リアルタイムで気づく”点です。

 

マインドフルネスでは、自分の体験にリアルタイムで気づいて、受け止めて、じっくり観察して、最終的には手放します。体験にはあなた自身が感じたこと、考えたことも含まれますし、あなたが生活している環境のことも含みます。

 

ここで先ほどお伝えした個人要因、環境要因の相互作用の考え方が出てくるわけですね。マインドフルネスは、自分の体験をコントロールしようとするものではありません。とにかく気づいて、受け止めて、観察して、だんだん消えていくのを感じます(諸行無常ですな)。

 

マインドフルネス自体ぼんやりした定義なので、なかなかイメージしづらいかもしれません。でも、ちょっとしたコツさえ掴めると、生活に取り入れやすいものでもあります。

 

マインドフルネスと自律訓練法

生活への取り入れやすさという共通点で言えば自律訓練法というアプローチがあります。どちらもストレス対処の文脈で取り上げられることの多いアプローチ。似ているところもあれば違いもあります。解説しておきましょう。

【自律訓練法】についてはこちらもどうぞ!

自律訓練法とは|公認心理師がリラックス法を解説!

自律訓練法(厚生労働省e-[ヘルスネット])

 

自律訓練法では、推奨される姿勢が提示されています。決まった公式を繰り返し、最後は解除動作と呼ばれる動きをします。自律訓練法はスタートからゴールまでの過程が決まっています。一方、マインドフルネスはその方法が1つではありません。エクササイズそれぞれにカラーがあり、自分にフィットするものを選んで行うことができます。

 

また、自律訓練法は主にからだの感覚に注目します。自律神経に働きかけているため、からだの感覚に変化が生じてきます。それに伴って感情にも変化が現れる仕組みなんですね。マインドフルネスの場合は、そのときその場所に存在しているすべてに注目します。

寒い中、駅で友達を待っている場面を想像してみましょう。

そのとき、頭の中にはどのような認知があるでしょうか。

『楽しみだなぁ』、『まだかなぁ』、『何かあったのかなぁ』…

自動的に出てきている考え(認知)を捕まえたら、そのときの感情や行動にも意識を向けます。

わくわくした気持ちかもしれませんし、不安そうに待っているのかもしれません。

しきりに時計やスマートフォンを見ていたり、からだが冷えている感覚があるので暖かい場所を探そうとしているかもしれません。

その場面で起こっていることすべてに意識を向けて、『へぇ、そうなんだ』と気づいて受け入れるのがマインドフルネスです。

 

マインドフルネスのやり方

マインドフルネスのやり方として、今回は有名なエクササイズを4つご紹介します。エクササイズでは、実際に自分のからだやこころ、思考の反応に意識を向けていきます。その間、どんな考えが出てくるでしょうか?五感にどんな感覚があるでしょうか?どんな気分?どんな感情?どんな動きがあるでしょうか?そのあたりに意識を向けつつ、エクササイズに取り組みましょう。

 

1.レーズンエクササイズ

五感を最大限に働かせて、レーズンをじっくり感じてみましょう。

 

【準備するもの】

・レーズン1粒

 

【やり方】

①レーズンを手のひらに乗せます。

②それを、五感をフルに使ってじっくり観察します。

 

小さなレーズンをあえて細分化する作業です。どんなことに気づくでしょうか?色合い、しわ、香り、手のひらに乗せたときの感触、口に入れて下で転がしたときに感触、味…。レーズンを観察し始めてから飲みこむまでに『レーズンって○○なんだ!』と気づくことがあるかもしれませんね。気づいたことを受け止めて、五感でじっくり味わって、それが消えていくのを感じていくことがマインドフルネスのトレーニングになります。

 

【応用編】

お食事やおやつをマインドフルに味わってみるのも良いトレーニングになります。コツは“一口だけ”やってみることです!

 

2.呼吸のワーク

【準備するもの】

・特になし

 

【やり方】

①目を閉じて、自然に呼吸をします。

②入ってくる空気、出ていく空気の流れに静かに意識を向けます。

 

空気の流れに意識を向けているうちに、ふと関係ない考えが浮かんでくることもあります(これが自動思考と呼ばれるものです)。そのときは、『今○○のことを考えていたなぁ』と気づき、改めて呼吸に意識を向けてみましょう。

 

【若丸小話:呼吸法とは?】

呼吸法は、もともと座禅やヨガに取り入れられていました。

呼吸は自律神経によってコントロールされています。

全力疾走した直後を思い浮かべてみてください。

息が上がって、動悸や発汗といった反応もありますね。

その中でも、呼吸って比較的自分でもコントロールが効きやすいのです。

息が上がっているとき、深呼吸をしてみるとだんだん落ち着いてきますね。

効率よく落ち着くためのポイントは、“腹式呼吸”です。

呼吸法では、息を吸ったときにおなかが膨らみ(横隔膜が緊張します)、息を吐くときにその緊張感がとれることを感じて、リラックス状態を作り出します。

【参考】健康のためのリラクゼーション法(厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』eJIM)

 

3.葉っぱのワーク

ここまでは身体の感覚に意識を向けるエクササイズでしたが、ここからは感情や思考に意識を向けるエクササイズを紹介します。

 

【準備するもの】

・特になし

 

【やり方】

①目を閉じて、自然に呼吸をします。

②目の前に川がゆったりと流れていることを想像します。

③川の流れに沿って、ゆったりと葉っぱが1枚流れていきます。1枚、また1枚と、葉っぱが流れていきます。それをただただ眺めます。

④このイメージを続けながら、自分の考えや感情にも意識を向けてみます。

⑤自動思考に気づいたら、それを捕まえて流れてくる葉っぱの上に置きます。これをしばらく続けていきます。

 

4.壺のワーク

【準備するもの】

・特になし

 

【やり方】

①目を閉じて、自然に呼吸をします。

②素敵な壺を1つイメージします。色、形、大きさ、模様は自由です。

③壺のイメージを続けたまま、自分の考えや感情にも意識を向けてみます。

④自動思考を捕まえたら、それを壺に入れていきます。これをしばらく続けていきます。

 

葉っぱのエクササイズではそのとき浮かんだ考えや感情は自然の流れに任せて流していましたが、このエクササイズでは壺に入れた考えや感情は大切に保管されています。

 

5.エクササイズ総論

ご紹介した各種エクササイズ。やりやすさは個人の好みによります。好みに合ったものを選んで、できるだけ毎日やることを目標にしましょう。『エクササイズは○○でなくては!』、『エクササイズは毎日やらなくては!』こうなってしまってはマインドレスネス…。マインドフルネスは即効性のあるアプローチではありませんが、毎日トレーニングを重ねることで自分をより大切にすることに繋がっていきます。

 

練習するタイミングは、いつでもOK!生活に1番取り入れやすいタイミングはどの時間ですか?おすすめは夜寝る前です(私はよく横になって葉っぱのエクササイズをしています🍃)。慣れてくるとそのまま寝てしまうこともあるかもしれませんが、リラックスしている証拠なので問題ありません。

 

マインドフルネスのススメ

マインドフルネスとは、自分の体験を“ありのまま”見つめて受け止められるようになることです。そうすることで、強いネガティブな考えやそれに伴う反応に対し、ある程度の距離をとって生活ができるようになります。

 

このスキルはうつ病、不安症といった精神疾患を持つ方はもちろん、精神的な困りごとが特にない方にもご活用いただけるものです。子どもから大人まで、ストレス社会に生きる私たちには有用なスキルと言えますね。

 

あるビジネスパーソン(Bさん)の例を挙げます。

Bさんは、『もっと効率よく仕事ができたら良いのに』、『もっと皆と円滑にコミュニケーションがとれたら良いのに』ともやもや考えながら働いています。

これはBさんの自動思考ですね。

自動思考に巻き込まれている分仕事に集中できないため、もともとのBさんのパフォーマンスは出しきれていない状態と言えます。

こういった状況のとき、ランチを一口だけマインドフルに食べてみたり、休憩中に目を閉じてエクササイズをやってみたりするとどうでしょう。

少しの間でも、自動思考と距離がとれそうですね。

自動思考に巻き込まれていることに気づけると、悪循環を断つきっかけになりそうです。

 

ビジネスパーソンだけでなく、お子さんにも同じことが言えます。

例えば、中学生くらいの年齢を想定しましょう。

思春期は多感な時期と言われており、お悩みも多種多様です。

『友達とうまく関われないなぁ』、『勉強したくないなぁ』、『家族に酷いことを言っちゃったなぁ』…いろいろな自動思考があると思います。

そのときにもエクササイズを挟んでみることで、一時的に冷静な思考を取り戻せるでしょう。

 

 

個人で行うことも良いトレーニングになりますが、トレーナーをつけてみることもおすすめです!フィットネスクラブのパーソナルトレーナーに近い感覚でご活用いただくイメージですね。【正しいマインドフルネス】にとらわれるのもマインドレスネスですが、これで合っているのかなと不安になったら本末転倒です…。

自分に合ったマインドフルネスライフを!

ちなみに弊社ではマインドフルネストレーニングをオンラインで提供していますよ(宣伝でした)。

 

【監修】

本山真(精神科医師/産業医/医療法人ラック理事長)

【執筆】

若丸(公認心理師・臨床心理士)

こちらの記事『○○日までに書かなくては!!』と締め切りに追われるうちに、焦りに翻弄されていました…。マインドフルネスの記事を書き上げるためにマインドレスネスになるとは何とも。こういう時こそマインドフルネス!『締め切り』を手放す(違う)。

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