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なぜ家にいると無気力になるの?心と空間の関係を整えるメンタルヘルスハック

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2025年11月7日

家にいるとやる気が出ないのはなぜ?その原因と対策を心理学で解説

皆さんは、なぜか家に帰ってくるとやる気が湧かなくなったり、気分が沈んだりすることがありませんか?学校や職場など、外では元気に動けるのに、家に帰ると家事は面倒だし、好きなこともやる気が起きない…なんてことはありませんか?

今回のコラムでは、家で心が休まらない、行動する意欲がなくなる理由、どうすれば家でリラックスでき、活動的になれるのかについて考えていこうと思います。

 

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家で心が休まらない理由とは?


環境的な理由

日当たりが悪い、物が多い、周囲の音やにおいなど、気分が沈む原因は部屋自体にあるかもしれません。

日を浴びるが短いとうつ状態になりやすい、というのはご存知でしょうか(関連項目:精神科医監修:冬季うつ病とは?症状、原因、治療法と対策法を解説)。

例えば朝日を浴びない生活が続いていると生活リズムが徐々に崩れて気分も落ちていったり、うつ病の人だと冬は気分がより沈みやすかったりすることがあります。綺麗にしている部屋でも、窓の位置的に日の光が入りにくいと、それだけでも気持ちが沈みやすい可能性があります。

また、物が多すぎたり片付いていなかったりすると、「あれはどこにあるんだろう」「次はどれを片付ければいいんだろう」と考えやすくなり、脳が疲れてしまいます。

他にも、自分では気にしていない些細な音やにおいなどによって気分が影響を受けていることがあります。

心理的、習慣的な理由

環境以外だと、家や部屋の存在が「休まらない場所」と認識されてしまっていることが考えられます。

例えば、家事は避けられないものですが、洗濯して、取り込んで、ご飯作って、洗い物して…、片付けができていなかったらそれもやって…、と意外とタスクだらけの場所になっているのかもしれません。

また、在宅ワークが増えると、休憩と仕事の切り替えが難しくなり、家=仕事場、つまり休まらない場所になってしまう可能性があります(参考:【精神科医監修】テレワークうつ・リモートワークうつを対策!)。逆に、外でバリバリに働いている人で、家や部屋ではダラダラすることが習慣になっていると、家でやるべきこと、やりたいことが出てきたときにできないかもしれません。

 

なぜ意欲が湧かなくなるのか?


心が休まらない理由で挙げたように、部屋が片付いていなかったり、家事が溜まっていたりすると、やることが多すぎて「何から手を付ければ良いのか…」と脳がフリーズしてしまいます。すると、一旦休憩!と動画を見始めたりして、結局何も手に付かずに1日が終わってしまった…なんとことありませんか?(私はあります)

他にも、例えば窓がなかったり、窓があっても小さかったり、壁が棚で囲まれていたり…、日当たり的にも気分が落ちやすいですが、部屋自体に閉塞感があると無気力になっていく可能性があります。

 

家でリラックス&行動的になるためのヒント


そもそも学校や仕事で疲れていて、さらに部屋を片付けたり模様替えしたりするのは大変だと思いますが、少し環境や行動を変えるだけで気分に変化が生じることもあります。

例えば、朝起きてカーテンを開けるようにする、なんとなく気分が沈んでいたら窓を開けて空気を入れ替えてみる、これだけでも空間に変化が生じます。

また、ワンルームに住んでいて、普段ベッドをソファ代わりにしている人は、別の座る場所を作って座ってみると、それだけでも見える風景や部屋の感じ方が変わって気分転換になります。

 

まずは「一か所」から変えてみる


意欲が出ない時は、棚一つ、どこか一か所だけでも片づけたり掃除したりしてみると、「今日はこれをやれた」と達成感が得られます。「じゃあこっちも片づけてみようかな」と少し意欲が戻るかもしれません。

行動活性化療法

【画像引用】認知行動療法とは?認知再構成法と行動活性化【精神科医監修✕公認心理師解説】

 

他にも、“色”は私たちの気持ちに様々な影響を与えます。これは年齢による違いや個人の好みも影響するようですが、松田ら(2018)の研究では緑やピンク、赤紫等の色がついた環境では作業がはかどるといった結果が見られています。

また、加藤ら(2019)では、観葉植物が空間の印象を整えたり、気分がポジティブになったりすることが示されています(関連項目:精神科医監修|植物はメンタルヘルスに良い?3つの効果と3つの理由!)。

どんな色・ものが私たちの気持ちを落ち着かせたり、意欲を湧かせるかは人それぞれなところもありますが、意識的に色・ものを取り入れてみると気分にも変化が現れるかもしれません。

 

参考文献


  • 加藤祥子・松原斎樹(2019)自室に設置された室内植物が学生の心理に及ぼす影響 日本インテリア学会論文報告集(29)
  • 松田博子・名取和幸・破田野智美(2018)作業時の心理評価に及ぼす壁面の色の影響 高齢者と若年者との比較 日本色彩学会誌(42)3

 

【監修】

本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

執筆】

ぶち(臨床心理士・公認心理師)

今回紹介した改善策はもちろん人によって合う合わないがあります。

好きな色、気分が上がるもの、部屋が片付いていると落ち着く人、落ち着かない人、様々だと思うので、自分の気持ちが落ち着いたり、ポジティブになれる環境作りをしてみてください。

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