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精神科医監修|植物はメンタルヘルスに良い?3つの効果と3つの理由!

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2023年9月1日

最終更新日 2024年1月19日

植物によるメンタルヘルスへの3つの効果と3つの理由を精神科医監修で解説

 

皆さん、最後に植物に触れたのはいつですか?

 

「そういえばいつだったかな…」と思い出せない方は少なくないのではないでしょうか。花を買ってみたり、ベランダで家庭菜園をしたり、植物のある生活って、なんとなく「良さそう」だけど、なかなかハードルが高いですよね。

 

でも実際に、植物は人間に良い影響をもたらしてくれることが分かっています。園芸療法やガーデンセラピーというものもありますし、オフィスに緑を取り入れると、職場の生産性がアップするとも言われているのです!今回は、植物がメンタルヘルスに与える影響についてご紹介します。無理せず、効果的に、日常生活に植物を取り入れていく方法も一緒に考えてきましょう!

 

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植物がメンタルヘルスに及ぼす3つの効果


身の回りに植物があると、メンタルヘルスにどんなことが起こるのか。まず、研究で検証されていることをご紹介します。

 

 

効果① ストレス緩和

日本で行われたある研究(※1)では、観葉植物を置いた机と何も置かない机で、調査協力者に10分間の計算問題をやってもらいました。すると、ストレス状況で分泌が増えるホルモン「コルチゾール」が、植物のある机では75%、植物の無い机では230%増えたのです。

 

さらに計算問題から20分経過した時点で、もう一度コルチゾールを測定すると、観葉植物のある机では特に変化がなかった一方、ない机では約600%まで増加していたそうです(!)。ちなみに、この実験で使われた観葉植物はポトス・ライムと、スパティフィラム・マウナ・ロアという品種でした。

 

ストレス緩和、そして緩和の維持というメンタルヘルス効果のポイントとしては、観葉植物を視界に入るように設置していたことです。植物を置かなかった机も、実は植物の置かれた机と同じ部屋にありましたが、反対向きだったため視界には緑が入っていませんでした。植物にストレス緩和効果を期待するなら、視界に入る場所に置くことがおススメです。

 

効果② 幸福度、生産性、創造性の向上

世界16カ国のオフィスで行われた国際的な調査(※2)では、植物や日光など自然の要素がある環境で働く人は、自然の要素がない環境で働く人よりも、幸福度は15%、生産性は6%、創造性は15%高いことが示されました。

 

またこの研究では、職場に足を踏み入れる時のメンタルヘルスの状態についても調査しています。自然が取り入れられたオフィスでは、そうでないオフィスに比べて、ポジティブな気持ちを答えた人の割合が高く、一方ネガティブな気持ちを答えた人の割合は低かったようです。

 

皆さんのオフィスには、どんな景色が広がっていますか?無機質になりがちなオフィスですが、一日何時間も過ごす場所ですから、緑を少しでも取り入れてみたら、ご自身のメンタルヘルスや職場のメンタルヘルスに変化が生まれるかもしれませんね。

 

効果③ 目の疲労感、眠気の緩和

日本のオフィスで、デスクを仕切るパーティションの上に栽培棚を設置して行われた研究(※3)もあります。この検証では、色や形、香りが異なる様々な植物が用いられました。観葉植物だけでなく、花、レタスや水菜、ミントやバジルも置かれたようです。結果、目の疲労感が緩和される効果、そして眠気の自覚が緩和される効果が見られました。

 

目の疲れや眠気は、一見メンタルヘルスに関係のないことですが、健康的に職場で過ごせることは、効率的に仕事を進められることに繋がると考えられます。結果として、仕事の質が上がったり、残業が減ってプライベートの時間が充実したり…。仕事に向かう気持ちが前向きになっていくかもしれませんね。

【参考】

 

植物がメンタルヘルスに良い3つの理由


ここまで見てきたように、植物は、メンタルヘルスを維持・向上させるために様々な良い影響をもたらしてくれますが、それはなぜでしょうか。考えられる理由をいくつかご紹介します。

 

理由① 五感を刺激してくれるから

身の回りに植物があると、葉っぱがこすれる音が聞こえたり、花や土の香りが感じられたりします。また触ってみて葉や花びらの質感を確かめたりするかもしれませんね。そうしている間、ほんの数秒の出来事かもしれませんが、「植物の近くにいる今の自分」に意識が向いています。

 

日ごろ仕事や勉強で頭がいっぱいな方は、その瞬間はあくせくとした感じから離れられることになります。過去に起きたことや、将来起きるかもしれないことに囚われがちな方も、そこから距離を置いてみることができます。メンタルヘルス領域において”脳の筋トレ”とも呼ばれるマインドフルネスの”今ここに意識を向ける”という効果が期待できるのかもしれません。

 

理由② 環境を整えることになるから

植物を育てようとすると当然、水をやったり、日光にあてたりする必要がでてきます。机の上に観葉植物を置くのであれば、そのスペースも必要ですね。つまり、毎日ある程度決まった時間に起きたり、カーテンを開けたり、窓を開けたり、片付けをしたりすることになり、生活リズムや生活環境が整っていきます。

 

特に太陽の光を浴びることは、人間にとって大変重要です。体内時計が調整されるうえに、メンタルヘルスにも良い影響があるとされています。植物が育ちやすい環境というのは、人間が過ごしやすい環境でもあるのです。

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理由③ 日々の変化が見られるから

今日も仕事、明日も仕事、明後日も仕事…。今日も学校、明日も学校、明後日も学校…。毎日が同じことの繰り返しのように感じられると、自分には何の力もなく、ただ時間に流されていると思ってしまいがちです。

 

でも実際そんなことはありません。日々変化していく植物が身近にあると、毎日が違う一日であることが感じられます。それに、植物は世話をすれば確実に成長していくので、ひそかな達成感を毎日感じることができます。

 

メンタルヘルスのために「植物のある生活」を始めるには?


メンタルヘルスの維持・向上のためにも、植物を日常生活に取り入れるにはどうしたらいいのしょうか。

 

まず、今の生活で精一杯という方は、すでに身の回りにある植物を見つけることから始めてみましょう。見つけたら、ぜひ観察してみてください。どんな色、形ですか?香り、触感、音はするでしょうか?緑は「見る」だけでも効果があるとされています。

 

植物を育ててみよう!という方は、初心者向けのものを購入してみることをおススメします。植物の世話がストレスになってしまったり、枯れてしまって落ち込んでしまったりでは、元も子もありません。あまり手間のかからないものからやってみましょう。

 

また植物を置く場所ですが、先ほどご紹介した通り、視界に入る場所がおすすめです。ただ植物が大きすぎると圧迫感が出てしまうので、普段ご自分の過ごされている場所に合った大きさのものを選んでみてください。

 

参考文献


  • ※1 岩崎寛・山本聡・権孝姃・渡邊幹夫(2006)屋内空間における植物のストレス緩和効果に関する実験 日本緑化工学会誌32(1), 247 – 249.
  • ※2 ロバートソン・クーパー社による調査「The Global Impact of Biophilic Design in the Workplace」
  • ※3 源城かほり・松本博・緒方伸昭・中野卓立(2018) オフィス空間への植物設置によるメンタルヘルスケア効果に関する実証研究 日本建築学会環境系論文集83 (743), 1 – 10.

 

【解説】

chico(公認心理師)

実は私、最近コットン(綿花)を育て始めました!芽が出ないかもと不安に思っていたら、一晩で一斉に芽が出て、テンションが上がりました。その後も日々成長が見られるので楽しいですよ♪

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

 

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