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【精神科医監修】ルーティンワークを解説!【ライフハック心理学#1】

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2021年7月30日

最終更新日 2021年8月23日

【ライフハック心理学】精神科医監修でルーティンワークを解説!

精神科医監修のライフハック心理学シリーズ。第一弾は【ルーティンワーク】を取り上げます!

『ルーティンワークの仕事に飽きた』、『ルーティンワークのバイトは苦手』。そんな声を耳にすることがあります。さて、そもそもルーティンワークって何なんでしょう?

本ブログでは、ルーチンワークの意味や定義、ルーティンワークのメリット、ルーティンワークに向いてる人、ルーティンワークのデメリットなど心理学に基づき解説します。

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ルーティンの意味・ルーティンの定義

ルーチンワーク(ルーティン)。辞書的には下記のように定義されます。

手順・手続きが決まりきった作業。日課。創意工夫の必要ない業務

【引用】Webio辞書『ルーチンワーク』

 

英語表記はroutine。道を意味するrouteからきています。ルーティンは『日常的に行う作業や日課になっているような作業』を意味し、“ルーチン作業”、“ルーチン業務”、“ルーチン化”と表現されます。『日課』『習慣』と言い換える事もできます。

 

ルーティンは用いられる場面で、固有の意味を持つ場合があります。

 

例えば…

コンピュータ・プログラムでは、特定の処理を行う一連のコマンドの集合体を意味します。ダンスでは決まった一連の振り付けを踊ること、そしてアーティスティック・スイミングという競技では、音楽に合わせて演技し、技術・同調性・演技構成などを競うことを「ルーティン競技」と表現します。

 

また、スポーツ選手が行うルーティンは、メンタルコントロールの手段として知られています。

【こちらもどうぞ!】

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ルーティンワークの対義語

ルーティンワークの対義語は、習慣、常用の反対になりますから、“決まっていない”、“常用でない”となりますね。使用される文脈によって多少ニュアンスが変わるので、具体例としていくつかあげてみます。

<非定型業務(スポット・イレギュラー)>

業務内容が決まっておらず、経験や知識、その場の判断力や思考力などをつかって取り組む業務のことを指します。また、臨時で取り組まなくてはいけない業務などを『スポット』、『イレギュラー』と言うこともあります。

 

アドホック>

臨機応変に対応する、その場に応じた対策をとる、といった意味でつかわれます。

 

ルーティンワークの種類

ルーティンワークにはどんな種類があるのでしょうか。求人情報に特化した検索エンジン『Indeed』で検索してみると、事務、データ集計、清掃、部品の組み立て、業務、営業、コールセンターといった仕事の募集欄が出てきます。業種で言えば、運送業、製造業の仕事もルーティンワークが多いようです。こうしてみると、毎日必ず行う必要がある作業で、言い換えれば基盤の部分を担っている業務とも言えますね。

 

ルーティンワークのメリット

ルーティンワークのメリットは『ワーキングメモリ』という記憶の仕組みから説明することが出来ます。私たちは日常において、絶えずワーキングメモリという記憶機能を使いながら生活をしています。

 

ワーキングメモリとは、一時的に保存される記憶のことです。いわゆる頭の中のメモ帳のようなもの。わかりやすい例でいえば、口頭で頼まれた仕事や買い物リストなど、一時的に覚えておく際に使われる記憶です。また、人と会話する際も話した言葉や内容が記憶されることで、話が展開していきます。本を読むときも前の文章を記憶して文脈を理解します。こうした際にもワーキングメモリが使われています。

 

一方で、自宅の住所や自分の電話番号、自宅から最寄り駅までの道順など、長期的に覚えている記憶は長期記憶として保存された情報です。長く記憶にとどめておくには、長期記憶として保存される必要があるのです。普段やりなれた作業なども、大きく分けると長期記憶に分類されます。

 

ワーキングメモリの要領には限りがあり、覚えていられる事象の数は『7±2』、マジカルナンバーセブンと呼ばれます(近年の研究を概観すると、この容量については諸説あります)。ワーキングメモリの容量。これは“注意を払える数”だと言うこともできます。

 

先ほどの『口頭で頼まれた仕事』の例を用いてみましょう。

 

たった今、Aさんは上司に突然

1.先方へメールの返信しといて

2.この資料コピーして、▼▼にも共有しておいて

3.○○社にアポイントとっておいて

4.予定変更の件、周知しておいて

と普段はやらない仕事を頼まれました。

 

Aさんは、突然の指示に内容を覚えておくのに、ワーキングメモリ容量の7±2のうち、すでに4つを使ってしまっています。残りの容量=注意を払える数だと考えれば、かなり余裕がない状態です。

 

忘れないように指示の内容をメモに書き写したとしましょう。メモに則れば、一旦は余裕を稼ぐことができるかもしれません。慣れない作業に取りかかるとなると、一つ一つの作業を進める際に、ミスが起こりうる状況を予測しながら、注意しながら取り組みます。

 

メールの返信であれば、

  • 「メールの文章に誤字・脱字はないか」
  • 「宛先に間違いはないか」
  • 「送るタイミングは問題ないか」etc…

 

慣れない作業のため、その都度ワーキングメモリはフル回転!あらゆる点に注意を払いながら取り組みます。慎重に作業をすすめますし、労力も時間もかかります。

 

一方、普段からやり慣れている作業であればどうでしょう?やり方、手順などは分かっていて、長期記憶として保存されているため、ワーキングメモリを使う必要がありません。その分、余裕があり、別の事に注意を向けることが出来ます。また勝手がわかっているため、優先順位をつけやすく、見通しを立てることが出来ます。

 

例えば、仕事でもアルバイトでも、はじめたての頃は常に気を張っていて、それ以外のことに注意を払う余裕もないような状態。でも慣れてくると、難なくこなせるようになったり、同時進行で別の業務も行うことが出来るようなった経験はありませんか?

 

慣れてくると、作業そのものにそれほど注意を割かなくてもよくなるため、その分、別のことに注意を向けることが出来るようになります。そのため、余裕も生まれます。ルーティンワークにおいても同様で、作業が決まっているため効率よく処理することが出来たり、余裕が生まれたりするわけです。

 

【ルーティンワークの具体例】

  • 効率よく進められる

やるべき作業があらかじめ決まっているため、先が見通せますし計画も立てやすくなります。時間配分も予測できるため、仕事を計画的に進めることが出来ます。

  • 余裕が生まれる

所作が体に馴染んでくると、注意を払わずに物事を進めることが出来るようになります。その分他のことに注意を向けることが出来ます。

  • ミスを減らせる

慣れることでミスを減らすことができます。また、見通しが立つためミスが起こりうる状況を想定し未然に防ぐことができます。

 

実は、ルーティン化された動作そのものに効果があることをご存じでしょうか。ルーティン動作のメリットとしては、特にアスリートがプレイの直前におこなう『プレ・パフォーマンス・ルーティン』の研究がさかんに行われてきました(参考)。「演技の直前に、自分を最適な感情、高い自己期待、自信、集中力のある状態にし、演技中もその状態を維持すること」を目的とし、「集中力を高める」、「生理的・心理的状態と整える」、「雑念の影響を軽減する」といった効果が期待されています。

 

野球のイチロー選手がバッターボックスに入った際にバットを立てる動作や、ラグビーの五郎丸選手がキック前の独特な手の動作はとても有名ですよね。

 

【参考】

Cotterill, S. (2010). Pre-performance routines in sport: Currentunderstanding and future directions. International Review of Sport and Exercise Psychology,3,132-153

 

さらに近年の研究では、アスリートに関わらず、ルーティン動作がパフォーマンの向上に寄与することが報告されています。

ルーティン動作が集中力と作業精度に及ぼす効果を調べた研究では、ルーティン動作によってリラックスした状態で意識が集中しているときに出現すα2波と、α2波よりも緊張した状態で意識が集中している時に出現するα3波の増加が示唆されました。つまり、 ルーティン動作によって、リラックスしつつ適度に緊張していて、意識が集中している状態が導出できるということが示唆されたのです。

 

ルーティン動作には、コンディションを整える効果があるんですね。ルーティンワークの中でもごく単純な作業であれば、いつもの自分のペースを取り戻し、コンディションを整える効果もあるかもしれませんね。

 

ルーティンワークの向き・不向き

ここまでルーティンワークのメリットを紹介しましたが、『ルーティンワークはつまらない』、『ルーティンワークはどうも苦手』、『すでにルーティンワークは飽きた』という方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

確かにルーティンワークは向いてる人、向いていない人がいます。もう少し厳密に言えば、ルーティンワークに親和性のあるタイプ、ルーティンワークを苦手とするタイプがあるんです。

 

継次処理タイプと同時処理タイプ

ルーティンワークに親和性のあるタイプとそうでないタイプを知る手がかりの一つは認知処理のスタイルです。認知処理。硬い表現ですが、つまりは外界情報をどのように処理するかということです(つまっていない)。

 

ポピュラーな例え話で理解していただきましょう。

 

 

同時処理タイプ 継次処理タイプ
物事を全体的に把握し、複数の情報から関係性や因果性を導き出したりして理解するタイプ 物事を段階的に理解するタイプ
特徴

  • 規則性を見出すことが得意
  • 目的が分かると理解が早い
  • 複数の物事を同時にすすめることができる
  • 曖昧な指示でも動くことが出来る
  • 言語による説明より、図など視覚的に説明される方が理解しやすい
特徴

  • 順序だてて取り組む
  • 順番に説明されると理解が早い
  • 物事は一つずつ処理する
  • 例や見本があると取り組みやすい
  • エピソード記憶(○○した、▲から▲があった、など出来事に関する記憶)をよく覚えている
全体をおおまかにとらえることが得意である一方で、順序だてる作業や目的が不明慮な物事への取り組みは苦手な傾向があります。 順序だてて理解したり取り組んだりすることが得意な一方で、全体的な情報だけ示されたり、目的だけを伝えられた作業は苦手な傾向があります。

 

ルーティンワークとの親和性

同時処理タイプと継次処理タイプのうち、ルーティンワークに親和性があるタイプは継次処理タイプです。ルーティンワークは、上記で述べたように手順の決まった作業です。

 

そのため、順序だてて物事に取り組む方が得意とする継次処理タイプの方が、親和性が高いといえます。一方の同時処理タイプは、目的に沿って自分で工夫しながら取り組む方が得意であるため、順序まで決まったルーティンワークは窮屈に感じてしまうかもしれません。

 

ルーティンワークのデメリット

ルーティンワークのデメリットは、作業の変更が難しい点です。業務内容や手順が固定しているため変更が難しく、作業内容ややり方が合わなかった場合でもそれらを変えることが出来ません。

 

先ほども説明した通り、ルーティンワークを苦手とするタイプ、更に言えばルーティンワークができない人は存在するわけです。ルーティンワークを苦手とするタイプからすれば、つまらない、飽きる、耐えられないほど苦痛など、ポジティブな感情が伴いづらいですよね。苦手な仕事に伴いやすい感情としてこれは一般的な話です。そのため、ルーティンワークが合わなかった場合、負担が大きく、さらに調整ができないとなれば心身の不調につながることもあります。

 

例えば、ストレスに対する不調のひとつとして、『適応障害』があります。適応障害の治療では、ストレス因を避けることが重視されますが、ストレス因がルーティンワークを求められるお仕事である場合、ルーティンワークを避けるのは困難であることが想定されます。適応障害の状態が続くと、うつ病へ移行することもあります。現状、ルーティンワークに負担を感じていて、その状況が難しい場合は、ルーティンワークとの相性が悪いのかもしれません。その場合は、転職を検討することも懸命な判断といえます。

 

適応障害とは、端的に言えばストレスに対するこころとからだの反応です。

ストレスを感じると、『気分が落ち込む』、『眠れない』、『食べられない』、頭痛や腹痛、動悸がするなど、様々な反応が生じます。そういった様々な反応が適応障害の症状だと言えます。休日は調子が落ち着いたり、回復したりするため『適応障害は甘えではないか』と言われてしまうこともありますが、そもそもがストレスに対する生体の正常な反応であることから、ストレスがない環境下においては当然反応は軽くなるか、生じなくなるのが通常です。未治療のまま経過することでうつ病に移行するという指摘もあるため、適切な対処、治療が必要となります。

【引用】:【精神科医監修】適応障害とは?|綾瀬メンタルクリニック

ルーティンワークは、簡単な仕事といったイメージを持たれやすく、負担を軽減するためにルーティンワークメインの仕事を希望する方もいるようです。ですが、さきほども述べたようにルーティンワークには向き・不向きがあります。向いている人にとっては負担の軽減につながるかもしれませんが、向いていなかった場合はむしろ負担が大きい可能性があります。

 

仕事探しのポイントは人それぞれですが、まずは自分の特徴や傾向を知り、適正を見極めたうえで、仕事のスタイルを選択することも重要です。

 

【ライフハック心理学】ルーティンワークまとめ

いかがでしたか?

 

ルーティンワークは、どうしても単調な仕事、つまらない、やりがいがないなどといったデメリットが協調されがちです。ですが、手順が決まっている、決まった作業という特徴故に、メリットも多くあります。

 

また、デメリットとして挙げたポイントは、ルーティンワークそのもののデメリットというよりも、相性の悪さからくるものかもしれません。やはり適材適所って大事ですね。

 

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【監修】

本山真(精神科医師/医療法人ラック理事長)

 

【執筆】

ayano(公認心理師・臨床心理士)

今回ルーティンワークをまとめてみましたが、実は私、仕事に限るとルーティンワークと相性が悪いんです…。あれこれ考えたりやってみたりすることが好きなので同じことをずっとし続けるって苦手なんですよね。『適材適所が大切!』と言うのは自分に言い聞かせていることなんです。次から次に生まれるアイデアで私は社会に貢献します!

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