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タグ : オタク臨床心理士・公認心理師は語る。 , 籔(公認心理師・臨床心理士) , 精神科医監修ライフハック心理学
2022年12月16日
最終更新日 2023年3月6日
目次
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【執筆】 籔(公認心理師・臨床心理士) 実行機能とは簡単に言えば『生き様』なのではないでしょうか?どれだけ理屈でわかっていてもそれを選択するかどうかは別問題です。決してブログを書き上げるにあたっては不要である情報を抑制できなかったわけでも、アップデーティングの途中でブログのことをが抜け落ちてしまっていたわけでもないんですよ。私は刹那を生きていたいんです。聞いていますか上司!(以上、今月も締め切りに間に合わなかった言い訳でした)
【監修】 本山真 株式会社サポートメンタルヘルス代表|精神科医師|精神保健指定医|医療法人ラック理事長 |
効率よく何かをする。何でも簡単にスマートこなせるとカッコいい…。そんな風に思ったことはありませんか?一方で“効率よく”とか“スマートに”とか、具体的に何のことだかわからない…と感じることもあったりしませんか?効率よく物事をこなすと何がいいのでしょう?
仕事であれば簡単に成果をあげられる、仕事が早く終わるなど…割とイメージしやすいかもしれません。仕事を離れたプライベートな日常生活における「効率」や「スマートさ」とは一体何なのか?プライベートにおいてまで効率性やスマートさを重視するのは窮屈に感じる?
心底同意します!!!
筆者は惰眠を貪って日がな一日ゲームをする…という至高の生活を送りたいと常日頃考えています。
しかしながら、現実問題生きているだけでやらなければならないことは山積しています。何なら好きなことの中に苦手な要素が混じっていたりもします。自分が興味関心を持てるものと生活上で必要とされることとのマッチングにもよりますが、純度100%、楽しいことだけで生活していくのはなかなかに難しい…。
そんな時に役立つ発想が実は「効率」だったりします。生活上やらなければならないことや、そこにかかる負担や時間を圧縮して、最小限の労力で最大限の結果が出ると「ラクになる」ものです。最小限の力でやりたくないことを全部片付けて全力で楽しいことを満喫する。そんな生活は理想的です(なかなかできませんが)。
逆に、休日の生活も充実させてどんどん活動したい!色々なことを経験したい!学びたい!という方もいらっしゃるでしょう。休日をアクティブに過ごしたいというケースにおいても、自分のしたい活動の純度を高めたり、活動によって得ることのできる事・学ぶことのできるものを増やすためには「効率」がキーワードになるかもしれません。最適化された行動によって、生活上で簡単により多くの体験や活動ができる。加えて簡単に得られる物が増える、受け取りやすくなるなんてワクワクしませんか?
どんな生活スタイルを希望されるか、どんな価値観をお持ちかによって使い方は異なりますが、「効率」は生活をより快適に、楽しく送るための一手段としてみてもいいのかもしれません。
今回はそんな「効率」を「実行機能/遂行機能」という観点でひも解いてみようと思います。知っているだけで、何となく賢くなった気持ちになれるかもしれません。それも素敵です。日常生活をより楽しく過ごすための豆知識としてぜひご一読ください。公認心理師・臨床心理士が実行機能をできる限りわかりやすく簡単に解説します。
実行機能。
ビジネスシーンで耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。教育分野にて取り上げられることの多い用語なので教育関係者の方は身近なタームかもしれません。またADHDやASDといった発達障害の困りごとや支援を解説するときの仮説の一つとして援用されています。耳なじみのない方ももちろんいらっしゃるでしょう。
わかりやすく簡単に言えば、実行機能とは「効率よく物をこなす力」のことを指します。
※ちなみに本ブログでは実行機能で統一しますが、中には遂行機能と表現されている媒体もあります。実行機能と遂行機能どちらも同じ意味で用いられる言葉です。
さて『効率よく物をこなす力』と言われても分かったような分からないような感じですよね…。ぼんやりしているからこそ「だから効率って何だよ…」という冒頭の問いに戻ってくるわけです。このぼんやりにも理由があるのです。
実はこの実行機能、実行機能という特定の能力を指しているのではなく、わかりやすく言えば複数の能力を効果的に使うスキルと表現した方が正確なんです。「自分の脳の機能を駆使して、よりよく目的を達成する力」という感じが近いでしょうか。そのため、目的や対象によって使う力のバランスが異なってくる、つまり「必要な行動が変わる」んです。
当たり前かもしれませんが、皆さん一人一人がお持ちの能力バランスは生まれつき違いますから、実行機能の観点で考えても「やりやすいこと」と「やりにくいこと」が一人一人違った形で出てくるわけです。そして、自分にとって「最適なやり方」は他の人とは違う場合もあります。 個々の力の連動といった話なので、単に「実行機能を高めろ!」と言われても「具体的に何をしたらいいのか全然わからん…」となってしまうわけです。そういう感覚をお持ちの場合は「実行機能=すべてに共通する定まった形があるわけではない」という本質を無意識にとらえられているのかもしれません。
とは言え、駆使される個々の力が何なのかが分かっていないと、どうにもなりません。ゲームキャラのパラメーターだって、STRとかDEXとかVITが何を表しているのかが分からないと戦略を考えようがありません。
実行機能を支える能力の種類については、研究によって分け方が所説ありますが、Miyakeら(2000)が示した以下の3つが有名です。
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※③のアップデーティングは、元の状況と今の状況を常に置いたまま考える力であることからworking memory(ワーキングメモリ)と言われたりもします。アップデーティングとワーキングメモリは同じ力のことを指します。
この3つの力を連携させて、目的に対して適切な対応を作っていくのが実行機能という力の正体というわけです。こう考えると、やること(目標や目的、行動)によって、完成系の形が異なるのがイメージしやすいかと思います。
例えば、1週間分の家計簿をまとめてつけるなど、同じ作業を続ける場合には、気が散らないように①の抑制の力が大きく必要とされます。料理でわかりやすく例えれば、お鍋から目を離してはいけないタイミングでは①抑制機能が、「あれを作りながらこっちも作る」という作業では②切り替えが、状況に応じて「次はこれ」を切りかえていく場合には③情報更新が…といった感じで総合的に3つの力を使う作業だったりします。
実行機能を支える機能から考えると「なるべく色々な目標・目的に対して適切に力の配分を変えられる」ことが「実行機能が高い人」、つまり「効率よくものごとをこなしやすい人」ということになりそうですね。
【精神科医が実行機能を簡単に解説】今回のブログテーマは『実行機能』。精神科的には、ADHDのTriple pathway modelにおける実行機能障害や、認知症における実行機能障害(認知症を理解する|厚生労働省)という文脈で使うことの多いタームです。固い言葉なので『簡単に言うと~』という説明が肝になる概念であり、診察場面では毎回様々な例え話をして解説しています。 ※Triple path way modelについてはこちらで解説しています 運転を例に簡単にわかりやすく解説するならば、よそ見しない=抑制、スピード・信号・交通規則に気を配る=切り替え、混雑状況でルートを変える=情報更新、といった感じでしょうか。
実行機能に関する新しい知見を解説しておきましょう。Miyake, A.& Friedman, N.P(2012)は抑制、切り替え、情報更新といった実行機能の3要素を更に発展させ、抑制機能に代わり「共通実行機能(Common-FE)」という要素で実行機能を説明しています。さて、このCommon-FEですが、少し複雑な概念でして、簡単に言うと~が難しいのですよね…。端的に言えば『実行機能を統合するための力』です。
抑制機能は実行機能概念において重要度が下がったのかと言うと、実は逆で、実行機能において抑制機能は独立した力として使われるのではなく、全体のベースとなる重要な役割を担っていると整理されています。Common-FEの概念では、抑制機能は「切り替え」と「情報更新」双方に深くかかわる機能とされています。
簡単にわかりやすく解説という主旨から逸れ、難解な解説になってしまっているので笑、今回はこの辺りで。ブログ後半もわかりやすく・簡単に実行機能を解説します。お楽しみください。 |
では、生活上で実行機能を活用していくためには具体的にどうしたらいいでしょうか?実行機能を構成する力を分類すれば上記、抑制機能・切り替え・情報更新の3種類となりますが具体的なイメージがしづらいと思います。実際に3種類の力を活用する場合には、具体的な行動を指標にしてみるとよりわかりやすく・簡単に活用しやすくなるでしょう。
「実行機能をアップする37のワーク」では、実行機能を①起動(やる気スイッチ)、②計画立案、③時間の管理、④空間や情報の管理、⑤お金の管理、⑥切り替え、⑦ワーキングメモリ、⑧集中と抑制、という8項目に分けて、日常生活にてよりイメージしやすい形に分解したうえで、簡単にわかりやすく解説されています。
このように整理すると、自分はどこが苦手なのか、やりやすい部分はどこなのかがわかりやすくなってきます。
いかがでしょう?実行機能とは何なのか、どのように活用していくとよいのか、わかりやすくなってきませんか?ご自身がどの項目でつまづきがちなのかに分析してみたり、もう一歩踏み込んで「なぜ得意か」「なぜ苦手か」という視点で考えてみるとより良いかもしれません。
こんなときには『実行機能』という考え方が役立つかもしれません。
再三になりますが、重要なポイントは「自分が楽しく過ごせるように実行機能という考え方を活用する」ことです。『実行機能を使うために~』と考えることで逆にしんどくなってしまう場合や『実行機能を駆使してでもやらねばならない』といった気持ちが強くなってしまう場合には、別の角度からのアプローチが有効かもしれません。こんなブログを書いておいてなんですが、自分で完結する趣味において楽しさが減ってしまうくらいなら実行機能を持ち込む必要はないと思います。 関連項目:オタク臨床心理士・公認心理師は語る。趣味とストレスの関係とは?
日常生活の中で上手くやれたらいいなあという事柄に対してご自身の実行機能に基づき、できるところからアプローチをかけてみると意外と上手くいったり、最初は上手くいかなくても改善策が見えてきたりします。『仕事で効率を求められる、厳しく言われるけど…』という方は生活のちょっとしたことで実行機能の活用を試してみるのもいいかもしれません。
人間、効率ばかりでは疲れてしまいます。効率を度外視してのんびりと好きな時間を過ごすことも時には大切でしょう。あくまでも、やりたい活動に精力的に取り組んだり、何か目標がある場合に活用してみようかな?ついでに、自分を取り扱う練習になったらいいかもな?くらいのお気持ちで導入してみるのがいいと思います。
【参考文献・書籍】
『やる気スイッチをON!実行機能をアップする37のワーク』高山恵子著 合同出版(2019)
【 #発達障害啓発週間 】『実行機能をアップする37のワーク』(高山恵子、2019年)10歳からはじめるゲーム依存予防、お金管理のサポートブック。ワークを通して自分の特性を理解し対処していくノウハウを学びます。工夫しながら「やる気スイッチ」ON! https://t.co/nw2SHFB9R3 pic.twitter.com/rEImZgNeqM
— 合同出版 (@godo_shuppan) April 6, 2021
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#2:【精神科医監修】散歩でメンタルケア!ストレス発散効果は? |