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タグ : ハラスメント対策 , フリーランス新法 , 中小企業 , 産業精神保健
2024年9月2日
最終更新日 2024年10月24日
目次
2024年11月施行のフリーランス新法。”従業員を使用していてフリーランスへの業務委託を行なっている企業”は、従前の従業員へのハラスメント対策義務化に加え、フリーランスに対してもハラスメント対策が義務となります。業務委託を活用している中小企業が知っておくべきポイントについて解説します(関連項目:人事担当者必見!中小企業が押さえるべきフリーランス新法のポイントと義務要件)。
あらゆる働く人を応援する医療法人が母体だからこそ、弊社はフリーランス、フリーランスエージェントを応援します。2024年11月フリーランス新法対応のため、フリーランス対象のハラスメント外部相談窓口サービス『ハラスメントコンサルティングデスク for Free lance』を取り扱っております。月額料金に加え、契約発生月にワンコインの料金設定。業務委託契約期間は問いません。契約満了後1年間はアフターフォローとして窓口サービスを継続して提供いたします。外部相談窓口サービスをお探しのフリーランスエージェント様、フリーランスを活用している中小企業様、お気軽にお問い合わせください。
2024年11月施行のフリーランス新法。まずは、なぜフリーランス新法が導入されることになったのか、その背景と目的を解説します。フリーランス新法導入の背景として大きなトピックは”ワークライフインテグレーション(フリーランス新法の理解が中小企業成長の鍵ーワークライフインテグレーション推進ー)”、”多様性と包摂(Diversity & Inclusion)”だと言えるでしょう。予てより指摘されている通り、日本の労働力人口は下降トレンドに突入しています。
『労働力人口不足』という時流においては、種々の理由により『働きたくても働くことのできない』人たちに生じているギャップを、多様性と包摂を以て充足していくという発想が必要となります。従前の働き方においては、雇用という枠組みから外れることの多かった”育児・介護中の方”であったり、”シニア世代の方”の持つスキル・ノウハウを労働力として社会に活かすために、あらゆる人のあらゆる事情背景(多様性)を前提として、社会として包摂していくことが有効なわけです。
多様性を前提として社会として包摂していく具体的な在り方の一つがフリーランスという働き方です。他方、フリーランスは法的保護の不十分さや、報酬の支払いに関するトラブルの頻発といった問題を抱えており、正規雇用と比較して若干心許ない働き方の一つであったのは事実です。
労働力人口不足という社会課題のソリューションの1つが、この度のフリーランス新法施行です。フリーランス新法においては取引適正化と就業環境整備が義務化されています。2つの義務化によってフリーランスが法的に保護されることで、フリーランスに対する安心感が高まり、フリーランスという働き方を選択する人が増加するでしょう。
フリーランス新法に備えるために中小企業が今すぐ始めるべき準備を整理しておきましょう。フリーランス新法の目的はフリーランスとの取引適正化、フリーランスの就業環境整備とに2分できます。本コラムにおいては後者の就業環境整備について解説します。
画像:人事担当者必見!中小企業が押さえるべきフリーランス新法のポイントと義務要件より
フリーランスの就業環境整備として義務化されているのは、育児介護等と業務の両⽴に対する配慮とハラスメント対策に係る体制整備です。育児介護等と業務の両立に対する配慮義務は、業務委託期間が6か月以上であるフリーランスが、妊娠、出産、育児、介護と業務委託に係る業務とを両立するために必要な配慮をしなければいけない、というものであり、フリーランスより申出があった場合について義務が発生するというのがポイントです。
フリーランスを活用している中小企業、フリーランス仲介事業者が今すぐ始めるべき準備は、フリーランスからの申出を確実に拾い上げることのできる窓口設置です。担当者を置く、申出用のメールアドレスを伝える、など様々なアプローチが想定されますが、フリーランスより申出があった場合については、両立のための配慮を検討し、可否を含めフリーランスに伝える必要があります。フリーランスとの連絡窓口が形骸化しないよう注意しましょう。
フリーランスの就業環境整備としてもう1点義務化されているのが、ハラスメント対策に係る体制整備です。育児介護等と業務の両立に対する配慮義務は業務委託期間が6か月以上、という条件がありましたが、ハラスメント対策に係る体制整備は単発の業務委託においても義務化されています。特に注意すべきポイントは、ハラスメントに関する相談窓口をフリーランスが実際に利用できる状態にする、ということです。在宅勤務のみ業務が完結するフリーランスも多く存在するため、ハラスメント窓口・窓口の利用方法が、就業規則にしか記載されていない、社内にしか掲示されていないといった場合は、ハラスメント窓口が機能しているとは言えません。出社しないフリーランスに対しても確実に相談窓口を周知し、実際に相談できるような仕組みを整理しておきましょう。
2024年11月施行のフリーランス新法により、従業員を使用していてフリーランスへの業務委託を行なっている企業は、フリーランスに対するハラスメント対策が義務となります。
※フリーランス新法におけるフリーランスとは、個人か法人かは問わず、従業員を使用していないフリーランスとなります。フリーランス新法には”従業員を使用している/いない”という基準が頻出しますが、基本的には”1週間に20時間以上かつ31⽇以上の雇用見込み(雇用保険加入要件)を満たす従業員”を使用しているかどうかと整理するとよいでしょう。
まずはハラスメント対策義務化についておさらいしておきましょう。2022年4月より、中小企業含め全ての企業に対し職場ハラスメント対策が義務化されています。2024年に発表された『令和5年度 厚生労働省委託事業 職場のハラスメントに関する実態調査報告書』によれば、およそ95%の企業が何らかのハラスメント対策を導入しています。
なお、企業に課されているハラスメント対策の義務とは下記5つです。
1.事業主の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に対してその方針を周知・啓発すること
2.相談、苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること
3.相談があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者及び行為者に対して適正に対処するとともに、再発防止に向けた措置を講ずること
4.相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
5.業務体制の整備など、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するために必要な措置を講ずること
引用:厚生労働省|職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)
2024年現在、ハラスメント対策義務化の対象であるハラスメントとは、パワーハラスメント(パワハラ)、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント(マタニティハラスメント:マタハラ)の3種類です。フリーランス新法において対策が義務化されているハラスメントもこの3種であるという理解でよいでしょう(参考:メンタル産業医監修|ハラスメントとは何か?定義や種類、対策について解説)。
フリーランス新法において義務化されたフリーランスに対するハラスメント対策ですが、特別な対策が必要なわけではないようです。基本的には従業員に対して導入しているハラスメント対策の対応範囲をフリーランスに拡大する、という発想で問題はありません。つまりは①ハラスメントを⾏ってはならない旨の⽅針の明確化、⽅針の周知・啓発、②相談や苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、③ハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応などです。
一点注意すべきなのは、先述のとおり、従業員を使用している企業がフリーランスに業務委託をした場合、業務委託契約の期間を問わずハラスメント対策が義務化されていることです。究極、契約日数が1日のみであってもハラスメント対策は義務です。フリーランスを多用している企業は、対応漏れの無いよう適切な管理を心がけましょう。
2024年11月施行のフリーランス新法にあたり、中小企業が押さえておくべきポイントは、『組織に属していないフリーランスの環境整備』であり、具体的には、①フリーランスと発注事業者との取引の適正化と、②フリーランスの就業環境の整備です。いずれも義務化されていること、違反行為については罰則があること、に注意しましょう。
なお、義務化の要件については、以下2つに整理できます。まず、中小企業が直接フリーランスに業務委託を行なう場合について。この場合は、中小企業がフリーランスに対して環境整備の義務を負います。もう1つは、中小企業がフリーランスエージェント(フリーランス仲介事業者)へとフリーランスを探してもらう場合です。この場合、単なる仲介の場合は中小企業に義務が発生しますが、再委託である場合、フリーランスエージェントが実質業務委託をしている場合は、フリーランスエージェントがフリーランスに対して環境整備の義務を負います(参考:【産業医監修】フリーランス新法対応|エージェントのためのハラスメント対策ガイド)。
下記引用します。
実質的にフリーランスに業務委託をしているといえるかは、委託の内容(物品、情報成果物または役務の内容、相手方事業者の選定、報酬の額の決定等)への関与の状況等、契約および取引実態を総合的に考慮した上で判断します。
フリーランスに対する義務について企業が負うのかフリーランスエージェントが負うのか、契約ごとに整理しておく必要がありますね。
【監修】 本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長) 2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に”働く人を応援する心療内科”をコンセプトとして宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。医療の垣根を超えて日本の中小企業を応援するため、2019年株式会社サポートメンタルヘルスを設立。
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