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【産業医監修】フリーランス新法対応|エージェントのためのハラスメント対策ガイド

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2024年9月23日

フリーランスエージェントのためのハラスメント対策ガイド

2020年改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)施行によるハラスメント対策義務化を受けて、多くの企業がハラスメント対策に取り組んでいますが、効果的な対策として外部相談窓口の導入が注目されています(関連項目:ハラスメント相談窓口義務化にどう対応する?【産業医解説×パワハラ対策】)。2024年11月フリーランス新法により、フリーランスに対してもハラスメント対策を導入することが義務化されます(参考:人事担当者必見!中小企業が押さえるべきフリーランス新法のポイントと義務要件)。フリーランスには特有の不安定さや立場や権利の守りにくさが存在するため、ハラスメントのリスクは見過ごすことのできない問題です。

フリーランスエージェントを介した場合、フリーランスへのハラスメント対策義務責任は、基本的にはフリーランスエージェントに対して発生します※。エージェントの皆さまには、パワハラ防止法にて蓄積されたハラスメント対策としての外部相談窓口のメリットを是非活用いただきたいと思います。本コラムでは、外部相談窓口の必要性を具体的に解説し、その導入によって得られるメリットを解説します。

※フリーランスエージェント(仲介事業者)が特定業務委託事業者(フリーランス新法の対象)に該当するかについては、公正取引委員会パンフレットにて下記の通り説明されています。

単に仲介をしている場合には該当しませんが、フリーランスに対して再委託をしている場合や実質的にフリーランスに業務委託をしているといえる場合には該当します。
実質的にフリーランスに業務委託をしているといえるかは、委託の内容(物品、情報成果物または役務の内容、相手方事業者の選定、報酬の額の決定等)への関与の状況等、契約および取引実態を総合的に考慮した上で判断します。

【引用】特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)パンフレット

 

 

ハラスメントのリスクとエージェントの責任


フリーランス新法の施行によりフリーランスに対するハラスメント対策が一層重要になります(参考:フリーランス新法とハラスメント対策義務化|中小企業が知っておくべき重要ポイント)。2024年11月施行のフリーランス新法は、エージェントに対してフリーランスの権利をきちんと守ることを求めています。

 

フリーランスエージェントには、フリーランスとクライアント企業との間に立つ仲介企業としての責任があります。クライアントがフリーランスに対して不当な要求や差別的な扱いを行った場合、結果として発生するトラブルがエージェントに波及することも少なくありません。こうした事態に対処するために、エージェントはハラスメント防止策の強化を図る必要がありますが、社内での対応だけでは限界があるのが現実です。そこで、外部相談窓口が重要な役割を果たします。

 

外部相談窓口の役割


外部相談窓口は、内部相談窓口対応のみでは解決が難しいハラスメント問題に対処できる効果的な手段の一つです。外部相談窓口の設置事例とその効果を見ても、第三者としての立場・役割が非常に有効であることがわかります。

透明性の確保

企業や組織内における体制が不十分である場合、ハラスメント被害者が報復を恐れ、声を上げづらいというケースもあります。特にフリーランスの立場において『仕事の継続を左右するクライアントやエージェントに対して直接声を上げること』はハードルが高い行為だと言わざるを得ません。外部相談窓口の導入は、上記のような心理的ハードルを下げ、安心して相談できる機会を提供します。外部機関であれば、エージェントやクライアントのプレッシャーを受けることなく、公平な立場から相談を受けることができます。フリーランスは報復を恐れることなく自分の権利を守るために行動できるため、ハラスメントの早期発見や迅速な対応が可能になります。

専門的な対応

ハラスメント問題は非常にセンシティブであり、特に初動において適切な対応を怠ると、事態の悪化につながる可能性が高まります。多くの外部相談窓口サービスは、専門的な知識を持つ相談員を配置しているため、相談者に対して適切な対応が期待できます。専門職によって正確な情報収集が行われるため、法的な側面から考えた場合においても、トラブルを未然に防ぐための具体的なアクションプランへとつなげることが可能になるでしょう。

 フリーランスの信頼と安心感の向上

外部相談窓口の設置は、フリーランスに対するエージェントのブランディングにつながります。エージェントがきちんと対策を講じているという事実が、フリーランスからの信頼を獲得する大きな要因となるわけですね。また、フリーランス専用の外部相談窓口設置という対応によって、フリーランスとしては自分の立場が守られているという安心感が醸成されます。結果として、良好な契約関係を築きやすくなり、エージェントとフリーランスの信頼関係が強化されます。エージェントはフリーランスとの長期的且つ良好なパートナーシップを築きやすくなり、双方にとってビジネスチャンスが拡大します。

 

外部相談窓口の設置によるメリット


外部相談窓口の設置は、法的なトラブル対策、企業ブランディング、トラブルの早期発見と解決、フリーランスとの良好且つ長期的な関係構築へとプラスに働きます。外部相談窓口を設置した企業の事例とその成果を見ても、その有効性は明らかです。

法的なトラブル対策

フリーランス新法施行により、フリーランスへのハラスメント対策は義務化されています。つまりフリーランスとの法的なトラブル発生リスクは高まっているわけです。外部相談窓口は法的なトラブル対策としての機能を果たします。ハラスメントの問題が発生した際、適切な相談体制が整備されていれば、早期解決が期待でき、法的なトラブルに発展するリスクを大幅に軽減することが可能です。また、外部相談窓口を設置することで、エージェントはフリーランスに対して適切なハラスメント対策を講じていることを示し、法的な責任をきちんと果たしていると認められる可能性が高くなります。訴訟リスクや罰則(罰金や行政指導)を回避することにつながるわけです。

企業ブランディング

ハラスメントに対する取り組みが不十分な企業やエージェントは、企業イメージを著しく低下させるリスクを抱えています。外部相談窓口設置をはじめとしたハラスメント対策をきちんと施すことは『フリーランスの権利を守るために積極的に取り組む組織である』というブランディングにつながり、組織の信頼性や社会的評価の向上に寄与します。企業の評判は、ビジネスの成功において非常に重要な要素です。フリーランスやクライアントは、社会的に信頼できるエージェントと仕事をしたいと考えるでしょう。外部相談窓口を導入することは、競合他社との差別化を図ることにつながります。特に、ハラスメント問題が取り沙汰される現代において、法律に則りハラスメント対策を導入することは企業のブランド価値を高めることでしょう。

トラブルの早期発見と解決

ハラスメント問題は、初動で適切に対処することで大きなトラブルに発展することを防ぐことができます。外部相談窓口では、問題が深刻化する前に相談を受けることができるため、早期の対応が可能となります。フリーランスやエージェントが長期間にわたる問題解決に翻弄されることなく、スムーズに本来業務を遂行することができます。トラブルの早期発見は、結果的にエージェントの業務効率を向上させ、付加コストや時間の削減につながります。また、未然の問題解決は、フリーランス離れを低下させるため、長期的なビジネス関係を維持することができるようになるでしょう。

フリーランスとの良好且つ長期的な関係構築

フリーランスエージェントがフリーランスのために外部相談窓口を設置することは、フリーランスの安心感を生み出します。結果、フリーランスは安心して業務に取り組むことができるため、エージェントとの良好な信頼関係が更に強化されます。信頼関係の醸成によって、フリーランスの満足度が向上し、エージェントとの協力を長期的に継続しようという気持ちが高まります。フリーランスの流動性は低下し、エージェントとして安定した契約関係を維持できるようになります。

 

外部相談窓口導入の具体的手順


外部相談窓口を導入するにあたっては、以下の手順を踏むことをおすすめします。

 

 

信頼できる外部機関の選定

外部相談窓口サービスを選定するにあたっては、専門的な知識と経験を持つ第三者機関を対象にしましょう。特にハラスメントに関する法的な理解が深い機関や、相談対応に長けた専門職がいる機関を選定するとよいでしょう。フリーランス特有の問題に精通している機関であると更に安心ですね。

フリーランスへの周知と教育

外部相談窓口設置後は、フリーランスに窓口の利用方法をきちんと周知しましょう。外部相談窓口設置、周知というプロセスを経て、フリーランスがいつでも安心して相談できる環境が整います。エージェントとして、フリーランスに対し、定期的にハラスメント対策方針や外部相談窓口の利用方法に関する教育研修や説明を行うことで、問題発生時に迅速な対応が可能となります。

定期的なフィードバックと改善

外部相談窓口は『設置して終わり』ではなく、運営機関より定期的にフィードバックを受け、ハラスメント対策の効果を検証するサイクルを回すことが重要です。相談内容やトラブルの傾向を分析し、ハラスメント対策の改善や強化を蓄積することで、より効果的な体制を構築できるでしょう。機関選定にあたっては、定期的なフィードバックをサービスに内包しているか、確認しておくと安心です。

 

フリーランスエージェントのためのハラスメント対策ガイドまとめ


フリーランス新法施行に伴い、ハラスメント対策強化が求められる中、外部相談窓口サービスはフリーランスエージェントにとって非常に有効な手段となり得ます。法的なトラブル対策や企業ブランディング、トラブルの早期解決など、外部相談窓口導入によって得られるメリットは多岐にわたります。

 

外部相談窓口の導入は、エージェントがフリーランスとの信頼関係を深め、良好且つ長期的な協力関係を築くために重要な1ステップです。現代社会においてハラスメント問題はますます重要視されるでしょう。外部相談窓口設置をはじめとする積極的な対策導入は、フリーランスエージェントの競争力を高め、社会的責任を果たす上でも欠かせない要素となります。

 

 

あらゆる働く人を応援する医療法人が母体だからこそ、弊社はフリーランス、フリーランスエージェントを応援します。2024年11月フリーランス新法対応のため、フリーランス対象のハラスメント外部相談窓口サービス『ハラスメントコンサルティングデスク for Free lance』を取り扱っております。月額料金に加え、契約発生月にワンコインの料金設定。業務委託契約期間は問いません。契約満了後1年間はアフターフォローとして窓口サービスを継続して提供いたします。外部相談窓口サービスをお探しのフリーランスエージェント様、お気軽にお問い合わせください。

 

【監修】

本山真(医師)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2005年日本医師会認定産業医取得。2008年精神保健指定医取得。

『働く人を応援する精神科・心療内科クリニック』2件を運営する医療法人ラック理事長。

メンタルヘルスサービス全般に対する心理的なハードルを解消するため、2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

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