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ハラスメント相談窓口義務化にどう対応する?【産業医解説×パワハラ対策】

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2020年5月28日

更新:2020-08-21

ハラスメント相談窓口義務化!改正労働施策総合推進法

企業の皆様、ご存知でしょうか?

2020年6月1日より、セクハラ、マタハラ防止対策に加え、パワハラ防止対策が強化されました(2019年に改正された労働施策総合推進法の施行)。

具体的な法律改正の内容としては、大企業はすでに2020年6月1日から、中小企業においても2022年4月から、ハラスメント相談窓口の設置が義務化されるのです。

*パワハラ防止対策強化であるため、窓口設置の義務化以外にも、パワハラの内容やパワハラを禁止しているという方針の周知や、パワハラ発生後の迅速な対応なども職場において定められています。

相談の対象になるのは、アルバイト、パートタイム、契約社員など全ての労働者です。

これには当然派遣社員も含まれますが、派遣社員の場合は、派遣元、派遣先双方で相談できる体制を作る必要があります。
ご注意ください。

労働施策総合推進法では、労働者がハラスメント相談をしたことや、ハラスメントの事実を話したことを理由に、解雇その他不利益な取扱いをすることが、法律上禁止されます。

 

そもそもパワーハラスメントとは?

まずはパワーハラスメントとは何かについて確認しておきましょう。

厚生労働省はパワハラを以下のように定義しています。

①優越的な関係を背景とした言動
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③労働者の就業環境が害されるもの

①から③までのすべてを満たす場合がパワハラとなります。

①優越的な関係を背景とした言動については、上司部下といった上下関係だけではなく、“相手より知識が豊富で優越関係にある”、“集団での言動であり数の差で優越関係にある”といった場合も当てはまります。

つまり、優越関係が成立すれば、部下から上司への言動もパワハラに該当するという点に注意が必要です。

 

パワハラに該当する言動は下記の通り分類されています。

“身体的・精神的な攻撃”
“人間関係からの切り離し”
“過大・過小な要求”
“個の侵害”(プライバシーの侵害)

過大な要求のみならず、不当に過小な要求もパワハラになりうること、個人の秘密や病歴などのプライバシーを暴露することもパワハラになりうることについては、意識しておくべきポイントだと言えるかもしれません。

なお、厚生労働省は、パワハラはケースバイケースの要素があること、パワハラに該当するかどうか判断に迷うケースにおいても、まずは相談を促すこと、について注意喚起を行っています。

 

相談体制の構築~内部相談窓口の注意点

次に相談体制の構築について説明いたします。

ハラスメント相談窓口を設置するにあたっては、社内に相談窓口を設置する内部相談窓口と、社外の専門企業に委託する外部相談窓口という、2つの方法があります。

それぞれメリットデメリットがあるものなので、どちらが適切かについては、ケースバイケースだと言えますが、内部相談窓口設置をご検討される場合はご注意いただきたいことがあります。

それは、上司、同僚、部下など何らかの関係でつながっている社内の人間が、同じ従業員の話を聞くという関係性の難しさです。
具体的に考えてみましょう。

例えば…

自身の人事評価を行なう上司に対し、部下にあたる社員がフラットな気持ちで何でも相談できるでしょうか?
仲の良い同僚からハラスメント被害の相談を受けたときに、ハラスメントをしている社員(行為者)といつも通りに仕事ができるでしょうか?

これは、カウンセリングの世界において二重関係や多重関係と呼ばれ、倫理的、方法論的に特に強く禁じられている行為です。

つまり、専門的なトレーニングを受けているプロのカウンセラーでも取り扱いが不可能に近い関係性なのです。

そして、そもそも相談を受けるということ自体、かなり負荷の高い作業ですから、相談を担当する社員のメンタルケアは必須だとお考え下さい。

 

日々色んなお悩みを拝聴する我々は、自身のメンタルを健康に保つために様々な工夫を取り入れていますが、それでも心のバランスを崩してしまうときはあります…それくらいタフな作業です。

 

ハラスメント防止対策のまとめ

大企業は2020年6月から、中小企業においても2022年4月から、ハラスメント相談窓口の設置が義務化されます。

中小企業の皆様にあたっては、2022年4月に向けて環境を整えるための措置を講じる必要があるわけです。

会社内に窓口を設置するのであれば、担当者を誰にするのか相談場所をいかに確保するのか、といった整備をすすめていくことが必要になりますし、外部に委託するようであれば、業者の選定が必要になります。

計画性をもって取り組まれることをおすすめします。

ハラスメント問題が発生してしまったときの対策としての相談窓口設置義務化ですが、改正労働施策総合推進法では、ハラスメントが発生しない組織作り(予防)の重要性についても指摘があります。

例えば、ハラスメントに関する研修を実施する、就業規則を通じてハラスメント対策の周知を行うなどです。

*都道府県の労働局ホームページ上にて、ハラスメント対策のアイデアやマニュアルといった情報が提供されています。そちらもご参照ください。

 

パワハラは、企業におけるあらゆる相談のなかで3割を占めており、最も多い相談ごとです。

予防策を講じる優先度の高い課題だと言えます。

参考:

 

予防を含めたハラスメント対策は、そもそも労働者にとって安心できる働きやすい環境作り、つまり魅力的な組織作りだと言えるわけで、コストをかけるべきポイントだと言えるでしょう。

*ちなみに、とある調査によれば、労働者の満足度が高い組織は、労働者のパフォーマンスが向上するそうです。

安心できる魅力的な組織作りは、人口減少の時代における人材確保、流出の防止というポイントを抑えるための現実的且つ効果的な方略だと断言します。

組織のトップにいらっしゃる方、人事担当者の皆様、ハラスメント対策については、『問題が生じないように』といった守りの姿勢ではなく、『選ばれる魅力的な組織作りのために』といった攻めの姿勢で取り組んでいただきたいものです。

 

こちらもご覧ください!

 

参考ホームページ

パワーハラスメントの定義について(厚生労働省)

パワハラに該当する具体例がわかりやすくまとめられています。ご参考になさってください。

厚生労働省サイト:企業が取り組みたいハラスメント対策がわかりやすく紹介されています。

 

執筆:本山真(産業医・精神科医師)

 

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