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タグ : ぶち(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス , 産業精神保健
2026年9月4日

目次
みなさんは「やることはたくさんあるのに、何から手をつければいいのかわからない。」「気づけば時間だけが過ぎて、ますます焦ってしまう。」という経験をしたことはありませんか?
この状態は、意志が弱いからでも、怠けているからでもありません。実は、脳の働きと感情の反応が重なって起きている自然な現象なんです。
今回のコラムでは、タスクが重なったときに私たちの脳では何が起きているのか、どう捉えて対処したらいいのかを考えていきます。
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私たちが物事の順番を決めたり、行動を始めたりするときには、前頭前野を中心とした「実行機能」と呼ばれる働きが関わっています。
実行機能は、
といった役割をまとめて担っています。
しかし、この仕組みには容量の限界があります。やるべきことが増えすぎると、頭の中で比較や整理ができなくなり、結果として「何も決められない」「動けない」という状態が起こります。
止まってしまうのは、能力が足りないからではなく、処理しきれないほど負荷が高いサインとも言えるのです。
複数のことをこなすためには、何から取り組むか優先順位を決めなければなりません。優先順位を決めるということは、ある意味で「どれを後回しにするか」を選ぶことでもあります。
そこには、「失敗したらどうしよう」「間違った順番かもしれない」「どれも大事に思える」といった不安が入り込みやすくなります。人の心は、不安を感じるほどその課題を避けようとします。その結果、簡単なことに逃げたり、何も始められなくなったりしてしまいます。
いわゆる「先延ばし」も、単なる怠けではなく、不安な感情や脳への負荷から一時的に距離を取ろうとする反応として理解できる場合があります。
先延ばしについてはこちら▶癖なの?病気なの?【先延ばしの科学】精神科医監修ライフハック心理学#3
脳は常に、「なににどれだけ力を使うべきか」を無意識に計算しています。
もしすべてが重く、大変に見えてしまうと、エネルギーを無駄に消耗しないために、あえて動きを止めることがあります。これは、フリーズに似た状態で、心や体を守るためのブレーキのようなものと考えると分かりやすいかもしれません。
傍から見ると何もできない状態になってしまったように思われるかもしれませんが、動けない時間は前に進んでいないようでいて、実はこれ以上傷つかないように保とうとしている時間でもあります。
この状態は、特定の人だけに起きるものではありませんが、いくつか起きやすい傾向というものもあります。
例えば…
このような特徴や考え方が強いと、脳の処理能力自体が早く正確でも、物事を進めるのに時間がかかることがあります。
こうした特徴は、弱さというよりも、物事を真剣に考える意志の裏返しでもあります。
では、優先順位がつけられないとき、どうすれば少しでも楽になれるのでしょうか。
大切なのは、完璧な順番を決めようとしないことです。
完璧を求めると、中々動き出せなくなってしまいます。
代わりに…
ということを試してみてください。
こうした方法は、実行機能の負担を減らし、止まっていた流れをゆっくり動かしてくれます。前に進む力は、大きな決断よりも、小さな開始から生まれることが多いのです。
こちらもどうぞ▶回避はデメリットだけではない!メリットを活かすうつの行動活性化療法
とは言え…お仕事では止まっていられないことも多いと思います。自分の特徴を理解した上で、例えばやることリストを作って優先順位を考えてみたり、上司や仲間に相談してみることも大切です。
参考文献
【監修】 本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医) 東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。 【執筆】 ぶち(臨床心理士・公認心理師) 優先順位がつけられないとき、心の中では
が同時に起きています。 それは意志の弱さではなく、脳と心が頑張りすぎているサインかもしれません。もし今、動けずに止まっているとしても、それは後退ではなく、これから進むための準備時間とも言えます。 ほんの小さな一歩からでも、順番が完璧でなくても大丈夫です。 進め方は人それぞれなので、まずは心を整えること、ひとまず手を付けてみること等から始めてみてはいかがでしょうか。 |