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精神科医監修|PMS・PMDDのトリセツ|解説から対処法まで

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2022年6月17日

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PMS・PMDDの解説、対処法に関する精神科医監修ブログです!

今回は月経のある女性特有の疾患,PMS・PMDDについて解説していきます。

 

「月経前どうも気持ちが不安定になる…」

「生理前は毎月パートナーと喧嘩してしまう…」

「月経前になるとしんどい…でも仕方ない」

 

このような方(そうでない方も!),PMS・PMDDの対処法も解説していますので,ぜひ読んでいただけたらと思います。

 

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PMS,PMDDとは?

〇PMSって何?

正式名称は月経前症候群(premenstrual syndrome)です。頭文字を取ってPreMenstrual Syndrome(ピーエムエス)と呼ばれています。ちなみに読み方は『げっけいぜんしょうこうぐん』ではなく『げっけいまえしょうこうぐん』です。

 

月経前の3~10日間に精神的,身体的症状として現れ,月経が始まると症状が軽くなったり治まったりするものを指します。なんとなく調子が上がらない,という方もいれば,明らかに具合が悪い,情緒不安定になるという方もいるかと思います。「無性にごはんやお菓子を食べたくなる!」「体重が増えた…」という話もよく聞きます。ちなみに,女性の8割に何らかの症状が認められるという調査もあるほどポピュラーな困りごとです。

【参考】

月経調査とその実態・リスク、対策案|働く女性の健康応援サイト(厚生労働省)

 

では,具体的にどのような症状があるのでしょうか。PMSの主な症状は以下の通りです。

 

  • 身体的症状

腹痛,頭痛,腰痛,吐き気,動悸,微熱,不眠,むくみ,お腹の張り,乳房の張りや緊張感,体重増加

  • 情緒的症状

抑うつ,怒りの爆発,イライラ,不安,混乱,悲しくなる,社会的引きこもり

 

 

 

続いて,PMSの診断基準は以下の通りです。PMSのチェックリスト的にご確認ください。

 

PMS(月経前症候群)の診断基準
  • 過去3回の連続した月経周期のそれぞれにおける月経前5日間に,上記の症状のうち1つ以上が存在する
  • 月経開始後4日以内に症状がなくなり,少なくとも13日目まで再発しない
  • 症状の発症が薬物療法やアルコールの使用,ホルモン摂取によるものではない
  • その後,2回の月経周期にわたって繰り返し起こる
  • 学業,仕事などの社会生活に明らかに支障がある

 

いかがでしたか?

 

「確かにしんどい時期がある…」「チェックしてみたら当てはまるかも…」という方は,もしかしたらその症状はPMSによるものかもしれません。

 

〇PMDDって何?

こちらは,PMSと比較するとあまり聞いたことがない方も多いかもしれません。正式名称は月経前不快気分障害(PreMenstrual Dysphoric Disorder)です。PMSの症状のうち,気持ちの不安定さ,イライラ,不安,落ち込み等の症状が著しく現れる疾患です。米国精神医学会のDSM‐5では抑うつ症候群の1つとされています。

 

PMDDの診断基準は以下の通りです。少し読みづらいかもしれませんがチェックリスト的にお使いください。

 

PMDD(月経前不快気分障害)の診断基準(DSM-5)
A.月経開始前最終週に少なくとも5つの症状が認められ,月経開始後数日以内に症状が軽くなり,月経終了後の週には症状がほぼなくなる

B.以下の症状のうち,1つまたはそれ以上が存在する

  1. 突然悲しくなる,とても涙もろくなる,人から拒絶されることに敏感になる,などの著しい感情の不安定性
  2. 著しいいらだたしさ,怒り,対人関係の摩擦の増加
  3. 著しい抑うつ気分,絶望感,自分自身を否定したり批判したりする思考
  4. 著しい不安,緊張,“高ぶっている”“いらだっている”という感覚

C.以下の症状のうち,1つまたはそれ以上が存在し,Bの症状と合わせて5つ以上になる

  1. 通常の活動(仕事,学校,趣味など)への興味が低下する
  2. 集中することが難しいと感じる
  3. 倦怠感,疲れやすい,気力が著しく欠如する
  4. 食欲が著しく変化する(過食,特定の食べ物への渇望)
  5. 寝すぎる,または眠れない
  6. 圧倒される感覚や自分自身が制御不能であるという感覚がある
  7. 他の身体症状がある(関節痛,乳房の張り,体重増加など)

D.症状によって,社会活動を避ける,仕事や学校,家庭での生産性や能率が下がる

 

A,B,Cの状態が,過去1年間ほとんどの月経前の周期に現れており,Dの状況に当てはまる場合は,PMDDの可能性があります。なお,この障害は,例えばうつ病,パニック障害,気分変調症,パーソナリティ障害などの他の障害の症状の増悪ではないことも基準に含まれています。

 

PMS・PMDDになる要因

PMS発病の要因について,様々な研究がなされていますが詳細は不明とされています。月経前に症状が現れ,月経が始まると症状が落ち着いていくため,エストロゲン・プロゲステロンといった月経前の女性ホルモンの分泌の変化が要因ではないかと言われています。

 

PMDDについては,米国精神医学学会(DSM‐5)によると,

  • ストレス
  • 対人関係での大きな傷つき体験
  • 季節の変化
  • 女性の社会的役割など一般に女性的にふるまうことへの社会文化的側面

以上を発病に関連する要因として挙げています。PMDDは複合的な要因によって現れる疾患といえます。

 

ここまでPMS・PMDDの症状や要因について解説しました。ここからはPMS・PMDDの症状にどう対処するか,病院・クリニック編と日常編に分けて解説します。

 

PMS・PMDDの対処法は?~病院・クリニック編~

学校生活や仕事など日常生活に何らかの支障が出ているのであれば,一度病院やクリニック受診を検討してもよいかもしれません。とは言え、何科を受診すればよいのか迷いますよね…。PMS、PMDDの治療を受けられる診療科は産婦人科・婦人科・レディースクリニック,精神症状が特に目立つ場合は精神科やメンタルクリニックになります。

 

問診では,身体症状,情緒的症状,症状が出る時期などを確認します。あらかじめ,自分の症状や月経周期などを整理しておくと伝えやすいと思います。

 

その後,診断と症状や個々に合わせた治療を行っていきます。症状によっては精神科よりも産婦人科や婦人科での治療の方が適している(逆も然り)という場合もあります。

 

ちなみに日本ではPMS・PMDD適応のお薬はほとんどないため,前面に強く出ている症状に合わせてお薬が処方されます。例えばうつ症状や不安感が強く出ていれば,半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)といううつや不安に用いる漢方や抗うつ薬(SSRIなど)が処方されたりするわけです。

 

ちなみに,やや低いレベルではありますが,PMSに対するSSRI投与の効果についてはエビデンスがあります。通常よりも低用量にて効果が期待できる点,月経前から月経が始まる期間のみの服用においても効果が期待できる点が特徴的だと言えます。

【参考】

Selective serotonin reuptake inhibitors for premenstrual syndrome. Cochrane Library

 

月経に関する困りごとという観点で,月経不順や月経困難といった不調に適応のある加味逍遙散(かみしょうようさん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん),女神散(にょしんさん)などの漢方が処方されることもあります。

 

 

ちなみにPMDDにおいては,SSRIをはじめとした抗うつ薬による治療が推奨されています。抗うつ薬は,数週間続けて服用することが一般的ですが,PMDDに対しては,排卵が終わってから月経が始まるまでの間(黄体期)のみ服用するという方法もあります(黄体期のみの服用と継続の服用とでほぼ同じ効果が認められるという比較的高いレベルのエビデンスがあります)。抗うつ薬によるアプローチで効果が不十分な場合,経口避妊薬や光療法,認知行動療法を試すこともあります。

【参考】

認知行動療法|e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

PMS・PMDDともにお薬の効果が認められるということは,『気のせい』でもありませんし『性格やキャラクター』の問題でもないことは確かです。国際疾病分類(ICD)にも記載されているくらいですからね。月経前の不調に翻弄されてらっしゃる方は,ご自身を責める前に病院やクリニックといった医療機関受診を是非ご検討くださいませ。

 

精神科医本山より注意点!

DSM-5の除外要因にて指摘されていますが,問診により他の精神疾患が疑われる場合は,そちらの治療が優先されます。双極性障害(躁うつ病)に対し安易に抗うつ薬を使用すると,症状の悪化を招くため特に鑑別が重要な疾患です。また,PMS・PMDDプラス精神疾患という重複例も存在し得ます。くれぐれも自己判断をしないようお気をつけください!

関連項目:精神科医監修|感情の波に飲み込まれるな!激しい怒りを乗りこなせ!

 

PMS・PMDDの対処法は?~日常編~

それでは日常生活の中でできる対処法をご紹介しましょう。

 

  • 自分用の月経前トリセツ(取扱説明書)を作ってみる

トリセツというとやや大げさですが…要は,いつ頃PMS・PMDDのどんな症状が出るのか,どんな時症状が重くなるのか,いつ頃に月経が来るのか,など,自分のパターンを知るということです。症状の内容や出現するタイミングには個人差があります。体温の測定,月経開始日を記録することで,自分の月経前のパターンを捉えやすくなります。

 

また,その日に感じた違和感や不調,関係する出来事なども併せて記録していくことで,月経の何日前にどんな不調が出やすいのか把握しやすくなります。月経周期や月経にまつわる身体・精神の変調を把握できるようになると,調子に合わせた過ごし方を選びやすくなります。体温やその日の調子を記録できるアプリもあるので,簡単で続けやすい方法で取り組めるとよいと思います。

 

  • スケジュールをゆるめにする

自分のパターンが分かったら,月経前は普段の生活よりゆとりをもたせたスケジュールにしてみるのはいかがでしょうか。お仕事,勉強,趣味,家事などなど…,“やらなきゃいけないこと”だけでなく“やりたいこと”も場合によっては負荷になり得ます。取り組む時間を短めにする,内容を軽めにする,この時間は休む,など月経周期合わせて意識的に調整をすることで,PMS・PMDDの症状からくる負担の軽減が期待できます。

 

困りごとについて『自身のパターンを知り対策を施す』というのは認知行動療法の基本戦略でもあります。PMS・PMDDに限らず,より良い生活のためにおすすめの方法です。

 

  • 身近な人に症状を伝えて知ってもらう

この記事を読んでくださっている方の中には,「こんなにしんどいのに分かってくれない…」という経験をした方もいるのではないでしょうか。

 

PMS・PMDDは,月経のある女性特有の疾患でかつ個人差があります。女性の中でも症状がない人もいれば症状が重い人もいます。極論,“自分の辛さは自分にしか分からない”,というわけですね。だからどうしようもない,というわけではなく,家族やパートナー(特にパートナーが夫や彼氏など異性である場合),日々よく関わる人に,症状について伝えることで,周囲の人は「そうだったのか」と,ぐっと理解しやすくなります。

 

 

症状がない時期に,身近な人に伝えて,お互いが無理なく過ごせるような方法を一緒に考えるのも一つです。先ほど紹介したトリセツを伝えてみてもよいかもしれませんね。これは,PMS・PMDD含めメンタル不調の際に導入する『環境調整』というアプローチです。環境と聞くと,職場や学校といった『場』を思い浮かべる方が多いかもしれませんが,結局『場』は人が作るものです。

 

PMS・PMDDの解説・対処法まとめ

PMSの症状は150~200種類(!)あるとも言われており,症状の出方や重症度も人それぞれです。“自分が抱えている症状≠相手が抱えている症状”というわけです。

 

「周りの女性は何ともなさそうなのに…」,「イライラして自分をコントロールできていない…」と自信をなくしたり,自分を責めたりする方もいらっしゃるかもしれませんが,それはPMS・PMDDの症状のせいかもしれません。

 

約1か月に1回やってくる月経。どうせなら月経前の時期も,より楽に,自分らしく過ごしていきたいものですね。

 

【参考】

月経前症候群(PMS)に悩まされて|厚生労働省こころの耳

 

【執筆】

盛光(公認心理師・臨床心理士)

今回は,PMS・PMDDに関するトリセツ作成をおすすめしましたが,例えばうつ病であったりパニック障害であったり,発達障害であったり,自分で自分のことを知っておくこと,周りの方にそれを知ってもらうこと,大切なことだと思います。

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

 

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