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予定が近づくと億劫になるのはなぜ?脳の「予測誤差」で読み解く心理メカニズム

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2026年6月12日

予定は楽しみだったのに行きたくない理由|脳の予測システムから解説

ー皆さんは、遊びや旅行の計画を立てている時は楽しいのに、いざ準備をしようとすると「面倒だな」と感じることはありませんか?

ー友人と会う約束をした時は嬉しくて楽しかったのに、予定が近づくにつれて「やめたいかも」と思うことはありませんか?

これは怠け癖や気分の問題だけではなく、脳の“予測の仕組み”が関係しています。

今回のブログでは、予定が近づくと億劫になる理由を脳の仕組みから考えていきます。

 

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脳は「未来を予測する装置」|予測符号化とは何か


人の脳は、常に「この後何が起こるか」を予測しながら情報を処理しています。このような考え方は“予測符号化(predictive coding)”と呼ばれる理論で説明されることがあります。実際の出来事とその予測が食い違ったときには“予測誤差”が生じます。脳はこの誤差を小さくするように働き、行動を修正したり、予測そのものを更新したりしているのです。

 

 

例えば、脳はカーナビのようなものだと考えると分かりやすいかもしれません。

目的に向かって走る途中で道が混んでいたり、通行止めがあったりすると、カーナビは「ルートを再計算しています」と言って、より今の状況に合ったルートを探してくれます。脳も同じように、予測と現実のズレ(=予測誤差)を見つけると、思考や感情、行動のルートを調整して「次はどうすればうまくいくのか」を更新しています。

では、予定を立てている時の楽しさと、実際にその日を迎える時の億劫さはどうして生じるのか、考えていきます。

 

予定を立てると楽しい理由― ドーパミンと“報酬予測”の働き


予定を立てる時は、“快の予測”が勝っている

予定を立てている段階では、準備、移動、人と会う緊張感など、実際の負担をまだ体験していません。そのため、脳の中では「楽しそう」「達成感があるはず」という快の予測が優勢になります。これはドーパミン系の活動と関係しており、特に「報酬が得られそうだ」という予測や、そのズレ(報酬予測誤差)によって意欲が高まる状態です。

つまり、予定を立てている時点では「楽しい未来のシミュレーション」がメインで、身体的・心理的なコストの予測は軽視されているのです。

近づくにつれて、“現実的な誤差”が増える

ところが、予定の日が近づくと、脳はより具体的なシミュレーションを始めます。「朝早く起きなきゃ」「人に気を使うかも」「電車が混んでいそう」など、実際の感覚に基づく負担の予測が強まってきます。

すると、当初の「楽しいはず!」という快の予測と、「面倒かも」という現実的な予測の間に予測誤差が生じます。脳はこの誤差を減らすために、行動を調整したり(実行・回避)、あるいは予測そのものを更新したりします。

結果として、「行きたくない」「なんだか怠い」といった感覚が生じ、「行きたくない」「なんだか怠い」という気持ちに至るのです。

 

億劫さを軽くする3つの対処法― 予測の精度を上げる実践アプローチ


予定が近づくにつれて“億劫”という感覚になるのは脳の防衛反応でもあります。予測誤差を減らし、身体的・心理的な負荷を最小限にするための自然な調整機能です。だからこそ、「怠けている」と責めるよりも、「脳がバランスを取ろうとしているんだ」と理解することが大切です。

楽しみにしていた予定だし、相手に断りの連絡を入れるしんどさもあると思います。そこで対処法について考えていこうと思います。

①誤差を小さくする予行演習をする

当日の行動を軽くイメージしたり、準備を事前に済ませておいたりすることで、現実で生じうる大変さを解消させ、予測している大変さとのズレを減らすことが出来ます。

②小さく動いてみる

ざっくりした予測だとズレが生じやすくなるため、“出発”や“準備”など、行動を細分化して、「まず服を選ぶ」などの小さな行動に分けて予測、実行していきます。そうすると予測の範囲が狭まり、予測と現実のズレが生じにくくなり、実行しやすくなります。

③「行きたくない」も一つの情報として扱う

「行きたくない」「億劫になった」と感じた時は体調や心の状態を見直すチャンスです。

忙しかったり、気持ちに余裕がないこともあるかもしれないので、無理に抑え込まず、必要であれば調整をしていくと良いでしょう。

 

参考文献


  • Clark, A. (2013). Whatever next? Predictive brains, situated agents, and the future of cognitive science. Behavioral and Brain Sciences, 36(3), 181–204.
  • Sharot, T. (2011). The optimism bias. Current Biology, 21(23), R941–R945.

 

【監修】

本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

執筆】

ぶち(臨床心理士・公認心理師)

予定を立てる時のワクワクと当日の億劫さは、脳の予測システムが「理想」と「現実」の間で調整をしている証拠です。

“億劫”という感情も、皆さんを守るための自然な働きなので、自分を責めるのではなく、そのサインを理解し、上手に付き合っていくことが大切です。

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