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【医師監修】なぜ人は比べてしまうのか?ー比較を乗りこなす心理学ー

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2026年7月24日

人はなぜ比較してしまうのか心理学の知見を紹介

「人と比べても意味がない、過去の自分と比べないと。」

そう言われたことがある人は多いのではないでしょうか?

そのときは納得しても、SNSをひらけば同期の昇進、友人の結婚、マイホームの購入など、充実した日常生活の一コマが流れてきます。

人と比較しても意味がない、ということは分かりつつも、目に入るとどうしても比較してしまいますし、自分の現状に思いを馳せ、劣等感を感じたり、不安な気持ちになったりしますよね。

人と比べること、さらには落ち込むことをやめるにはどうしたらいいのでしょうか?今回はそんなテーマでお送りしたいと思います。

 

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心理学の知見では「人と比べないのはおそらく難しい」


いきなり出鼻を挫くようですが、結論としては「人と比べないのはおそらく難しい」です。それは、人間は人と比べるのが当然の生き物だと考えられているからです。

心理学者の Leon Festinger は1954年に「社会的比較理論」を提唱しました。この理論によると、人には自分自身を評価したいという基本的な欲求があります。しかし、自分は十分成功しているのか、自分は魅力的なのか、自分は幸せなのか、といった問いには明確な物差しがありません。

そこで私たちは無意識のうちに他者を基準にし、「他人と比較して自分を理解しようとする」のです。

北極星を目印に現在の方角を確認するように、どこかに基準となる対象を設定しない限りは、自分の立ち位置を同定することはできません。他者と比べてしまうこと自体を異常なことだと捉えず、自分のことを評価するための人間の認知システムの一部として捉えましょう。

そして、もしこの理論が正しいなら、「比較しない人になる」よりも「比較とうまく付き合える人になる」方が現実的だと考えられます。

 

そもそも「比較そのもの」が苦しみを産んでいるわけではない


上記の話からもわかるように、比較行動そのものはただ自己理解のために行っている行為であって、直接的に苦しみを産んでいるわけではありません。

多くの方が人との比較で「それに比べてなんで自分はこんなにダメなんだろう」などと自分を責めたりする中で、人によっては、「すごいな、自分も自分もそうなりたい」と思う人もいますよね。

前者はネガティブな感情になっていますが、後者はむしろ人と比較することをポジティブなエネルギーに変換することができています。

このように同じ場面を見ても落ち込む人もいれば憧れる人もいることから、あなたを苦しめているのは比較行動自体ではなく、比較した後の解釈や認知、つまり比較した後に自分を責める行為だということが分かると思います。

 

比較した後に自分を責めないようにするにはどうしたいいの?


では、比較した後に自分を責めないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。そのヒントになるのが、私たちの認知にはさまざまな「バイアス(思考の偏り)」が存在するという事実です。

認知バイアスについてはこちら▶オタク臨床心理士・公認心理師は語る。日常に潜む4つの認知バイアス

 

私たちは普段、自分の判断を客観的なものだと思いがちです。しかし、心理学の研究では、人間の評価は思っている以上にバイアスの影響を受けることが知られています。特に他者と比較する場面では、その傾向が強く現れます。

例えば、人はポジティブな情報よりもネガティブな情報に強く反応しやすいことが知られており、自分の失敗に対してもそのような認知が働きます。

この働きがあることで、できていることや自分の努力よりも、失敗したことや足りない部分に意識が向いた結果、現実を正しく認識できずに過度に自分を攻撃してしまうのです。

さらに、他者との比較では「見えている情報の量」がそもそも違います。自分については失敗や不安、迷い、後悔なども含めて知っていますが、他人について知っているのはごく一部です。

私たちは自分の人生全てを知っていますが、他人の人生については見えている部分しか知ることができません。それにもかかわらず、自分の見せていない部分と他人の見えている部分を比較してしまうのです。

例えば、友人の昇進報告を見たとします。SNSだと特にそうですが、私たちに見えているのは「昇進した」という結果だけです。しかし、その人がどれだけ努力したのか、どれだけ失敗したのか、どれだけ不安を抱えていたのかまでは分かりません。

それなのに、「自分は遅れている」とか「自分だけ成果が出ていない」と結論づけてしまうことがあります。

しかし、これは事実ではなく解釈です。

事実は「友人が昇進した」といういことだけで、そこに「だから自分は劣っている」という意味づけを加えているのは私たち自身なのです。

比較して落ち込んだときには、下記のように事実と解釈、そして悲観的な予測を分けて考えてみてください。

  • あの人は成功している → 事実(かもしれない)
  • 自分は価値がない → 解釈
  • 自分は劣っている → 解釈
  • 将来もうまくいかない → 未来への悲観的な予測

このように整理してみると、意外と事実よりも解釈の方が多いことに気づきます。比較して落ち込んだときに大切なのは、自分を無理に励ますことではありません。

まずは自分が見ているものが本当に現実そのものなのか、それとも認知のフィルターを通した解釈なのかを確認することです。

人の認識する情報にはバイアスがかかっていることを意識して現実を改めて見直してみる、これが自分を責めないようにするための第一歩です。

 

おわりに


改めて、「人と比べるのをやめるにはどうしたらいい?」という問いに対しては、「完全にやめるのは難しい」という少し身も蓋もない答えとさせていただきます。

人は自分を理解するために比較します。それは仕方のないことです。その中で目指すべきなのは、比較しない人になることではなく、比較の中にあるバイアスに気付き、客観的な事実を見つめて必要以上に自分を攻撃しないようにすることです。

比較したあと無理にポジティブに考えるよりも、比較している事柄が妥当に評価されているかを考え直すという方がハードルが低いと思いませんか?

ぜひ人と比較して落ち込みそうになったときは、比較している事柄や自分の気持ちを見つめ直してみてくださいね。

 

【解説】

田っちゃん(公認心理師・臨床心理士

他人の芝生は青いという言葉がありますが、遠くから眺めているとやはり人の芝生は青々として粗がなく見えるものです。しかし本当に粗がないのでしょうか?

芝生というのは遠目でみれば見るほど青々と見えるものです。

本当に自分の家の芝生は美しくないのでしょうか?

形は不器用でも丹生込めて整えてきた芝生です。

他人の芝生を見た時に、自暴自棄になって自分の芝生を踏み荒らしてしまうのではなく、水を与え続けられるような人間になりたいなと思います。

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【監修】

本山真(代表取締役社長)

精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長

2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

 

参考文献


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