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【精神科医師監修】寝たはずなのに疲れてる?睡眠障害4つのポイント

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2022年2月21日

最終更新日 2022年7月28日

寝たはずなのに疲れている…睡眠障害4つのポイントを解説

誰にも毎日やってくる睡眠。嫌なことや不安なことが夢に出てきたり夢の中で仕事をしていたりといった経験はないでしょうか?せっかく寝たのに疲れている。なんとなく損をした気がしてしまいますよね…。

 

 

起床時に『スッキリした』と思えるときと『なんか疲れた』と感じるときの違いは何によるのでしょうか。今回は睡眠に伴う『なんか疲れた』の原因になり得る【睡眠障害】について精神科医が監修、4つのポイントを臨床心理士が解説します。

 

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ポイント1|レム睡眠とノンレム睡眠

まず、睡眠には二種類あります。レム睡眠とノンレム睡眠です。このうち一つ目のレム睡眠のときに夢を見ているというのが、現在の通説です。レム睡眠の時に夢を見るとは言われていますが、研究によっては深いノンレム睡眠中にも夢を見ていることを示しているものもあります。

 

レムとはREMと書き、Rapid Eye Movement(日本語にすると、急速眼球運動。分かりやすい。)の略です。寝ている時にまぶたの下で眼球が動いている状態がこれです。寝ているお子さんやペットなどの眼が動いている!と思われたことがあったらこれです。いたって健康的な現象であって、この時、体は休まっている状態だと言われています。

 

そして、このレム睡眠は、眼球が動いていないもう一つの睡眠、つまりノンレム睡眠と交互に現れます。諸説ありますが、レム睡眠は体が休まっていて、ノンレム睡眠は頭が休まっているというイメージで読んでいただけると分かりやすいかもしれません。

【参考】

レム睡眠| e-ヘルスネット(厚生労働省)

ノンレム睡眠| e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

ポイント2|その疲れ【睡眠時遊行症】かも

寝たはずなのに疲れている。そんな状態を引き起こし得る睡眠障害として一つ目にご紹介したいのが、寝ているはずなのに歩いていたという現象です。これはノンレム睡眠の時に起こります。体験したことのない方の方が多いのでピンときづらいかもしれませんが、睡眠時遊行症といって、夢遊病という名前でよく知られる状態です。

 

寝ている状態で歩き回るけれど、起きたときには本人の記憶にはない、そんな状態を指します。少なくとも、じっくり眠れていない感じは伝わってきますよね…。この行動は、眠り始めて数時間の間に起きやすいといわれています。

 

通常心身ともに成長中の子どもに起きやすいと言われる現象ですが、大人でも稀に生じます。この場合、現実世界でのストレスの影響も考えられるので、精神科や心療内科を受診して相談してみるのも良いかもしれません。お子さんの場合も、強いストレスが考えられるようであれば、医療機関へのご相談もご検討いただいてもいいかもしれません。

関連項目:【ストレスってなに?】ストレスとの上手な付き合い方

 

 

余談ですが、この行動は遺伝の影響もあると言われています。同じように、睡眠に関することは遺伝によるという結果を示す研究は多く、短時間睡眠でも平気、というショートスリーパーも遺伝によって決まっている説があります。朝型や夜型のタイプも人によって様々だと言われており、睡眠に関しては生まれもった気質的な要因が大きいのかもしれませんね。

【参考】

睡眠時随伴症| e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

ポイント3|体が寝ていない【レム睡眠行動障害】

寝ているのに動いているという状態で、もう一つご紹介いたします。さきほどの睡眠時遊行症と似てはいるのですが、その原因が少し違っています。ということで、その原因であるレム睡眠に注目しましょう。夢をみる量は、午前2時頃にスタートして、8時から9時をピークに段階的に増えていきます。

 

つまり、朝方起きる時間に向かって夢を見やすくなっているということです。朝、二度寝をしたときの方が夢を見る確率が上がっているように感じたことはありませんか?

 

基本的にレム睡眠時には、体は休まっている状態で夢をみているので、夢を見ながら動くことはないはずです。しかし、体を休めるシステムが上手く作動しなかった場合、どうなってしまうでしょうか。見ている夢のまま、同じような動きを、寝ながらにしてしまいます。

 

当然、現実の状況と夢で起きていることは違うので、その通りに行動すると危険です。自分自身の怪我や、一緒にいたご家族の怪我につながりかねません。こういった状態を、レム睡眠行動障害といいます。

 

朝起きたときの疲労感はもちろんですが、それだけでなく危険も伴うことがある点が特徴的です。また、睡眠時遊行症が寝入りばなに起きやすいことに比べ、レム睡眠行動障害は夢を見ている時間帯に起こりやすいと言えます。

【参考】

レム睡眠行動障害| e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

ポイント4|呼吸が止まる【睡眠時無呼吸症候群】

最後に、一番身近と言える睡眠時無呼吸症候群をご紹介します。今ではメジャーになったこの言葉ですが、その名の通り寝ている間の呼吸が一時停止している状態です。簡単にまとめると、呼吸が止まることで眠りの質が下がってしまいます。その結果、様々な健康被害が生じてしまう可能性をはらんだ状態のことです。厚生労働省による説明を引用します。

 

「深い睡眠がまったくとれなくなり、日中に強い眠気が出現します。酸素濃度が下がるため、これを補うために心臓の働きが強まり、高血圧となります。酸素濃度の低下により動脈硬化も進み、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。さらに睡眠不足によるストレスにより、血糖値やコレステロール値が高くなり、さまざまな生活習慣病やメタボリック・シンドロームがひきおこされます。」

【引用】睡眠時無呼吸症候群 / SAS | e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

一般的には、肥満と関係があるというイメージが強いでしょう。他にも、顎が小さい方でも起こり得ます。上記の場合は、物理的に気道が確保できないために起こる状態ですが、脳から呼吸の指令が止まってしまって生じる場合もあります。

 

それぞれ原因が異なるため治療法も違ってきますが、いずれにせよ、ご自身では呼吸が止まってしまい十分に眠れていないことに気付かず、様々な不調に繋がっていることもあり得ます。寝たのにスッキリしない、日中眠い、等の訴えとして表現される方もいらっしゃいますので、気になる方は専門の医療機関へご受診いただくのもよいでしょう。睡眠時無呼吸症候群の治療については、精神科や心療内科ではなく、内科や耳鼻咽喉科が専門としています。

 

 

【解説】

maitake(臨床心理士)

心理系大学院修了後、精神科・心療内科クリニックにて勤務。

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

 

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