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なぜ日本人はカウンセリングを使わないのか? 欧米との“心のケア”の文化と制度の違い

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2026年2月13日

カウンセリング利用率が示す、日本と欧米のメンタルヘルス観の違い

皆さんは、人生で一度でもカウンセリングを利用したことがありますか?

実は日本では、生涯でカウンセリングを受けたことがある人は 全体の約6%にとどまると言われています。 これは先進国の中でも、かな〜り低い水準です。

一方、オランダやアメリカといった欧米諸国では、カウンセリングの利用率が高いことが報告されており、オランダでは約55%、アメリカでも約40%前後の人が、人生のどこかでカウンセリングを利用しているとされています。

この数字だけを見ると、 「海外の方がメンタルの不調を抱えている人が多いのでは?」 と思う方もいるかもしれませんが、実際はその逆です。

たとえば、コロナ禍の陽性率を思い出してみてください。 日本は陽性率が高かった時期がありましたが、それは検査体制が整っていて、きちんと検査を受ける人が多かったからという背景がありました。

カウンセリングの利用率もこれとよく似ていて、「心の問題が多いから数値が高い」のではなく、ケアにアクセスしやすく、使うことが当たり前になっているから数値が高くなるのです。

では、なぜ欧米ではカウンセリングの相談率が高いのでしょうか? その理由は、大きく次の2つに分けられると考えています。

①社会的な背景の違い ②医療・制度面の違い

ここからは、日本と欧米を比較しながら、上記について見ていきましょう!(こちらもどうぞ:相談できないのがしんどいあなたへ|頼れない心理と苦しさを軽くする方法

 

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日本のカウンセリング利用率はなぜ低いのか


日本では、専門的な支援を受けることに対して 心理的なハードルや抵抗感が強いことが、複数の調査で指摘されています。

ー他人に弱いところを見せたくない

ー自分でなんとかしなければならない

 

こうした価値観が根強く、結果として 困っていても支援を後回しにしてしまう人が少なくありません。

さらに、日本では 「カウンセリング=弱い人が行く場所」 というイメージが、今なお残っています。これはいわゆる社会的スティグマ(偏見)と言われるものであり、 メンタルヘルス支援へのアクセスを遠ざける大きな要因の一つです。

私自身も精神科で働いていることを伝えると 「薬漬けにされるんでしょ?」と言われたり、 眉間に皺を寄せられたりといったことが、結構な確率でありました笑

昔に比べて理解が進んだとはいえ、まだまだポジティブなイメージとはいえないのが現状だと感じます。

 

欧米では「心のケア」が当たり前に使われる理由


一方、欧米諸国では考え方が大きく異なります。

肩こりがあれば整体に行く。 目が疲れたら眼科に行く。 年に一度、健康診断を受ける。

それと同じ感覚で、 心のケアも「早めに」「定期的に」行うものとして捉えられています。

特にアメリカでは、カウンセリングは 自己理解のため ストレス対処のため メンタルの予防・成長のため に利用されることが一般的です。

そのようなこともあり、有名人や経営者、アスリートが「カウンセリングを受けている」と公言することも珍しくなく、心のケアはセルフケアの一部という価値観が、社会全体に浸透しているそうです。

少し大袈裟に言ってしまいますが、カウンセリングに行く行動一つとっても、日本では「何か問題のある人」と見られる一方で、欧米では「セルフケアがきちんとできている人」という見られ方をするとなると、大きな違いですよね。

この“受け止められ方”の違いが、利用率の差に直結していることが考えられます。

 

医療制度・保険制度が利用率に与える影響


社会的背景に加えて、利用率を大きく左右している要因として、医療・制度面の違いが挙げられます。

日本では「明確な診断がつかない限り、医療や支援の対象にならない/なりにくい」という現状があります。 カウンセリング単体が公的医療保険の適用になる例は非常に限定的ですし、予防医療は原則完全自己負担となります。そのため「病気と診断されてからでないと使いづらい」 「予防のために使うには費用負担が大きい」と感じる人が多いのが現状です。

一方、アメリカでは、 病気になってから高額な治療費をかけるよりも、 なる前にケアをした方が、社会全体として合理的という公衆衛生的な考え方があります。そのため、心理カウンセリングが 医療保険制度の中に組み込まれているケースが多く、 費用面のハードルは比較的低くなっています。

また、 欧米では 臨床心理士やライセンスを持つカウンセラーは、 明確な専門職として社会的に位置づけられている点も大きな特徴です。大学には学生相談センターが常設され、 企業にはEAP(従業員支援プログラム)が導入されるなど、 教育・職場と連携した予防的な心理支援が当たり前になっています。

日本でも公認心理師など専門職の制度整備は進んでいるものの、 医療・教育・職場と横断的に連携する仕組みは、 欧米と比べるとまだ発展途上だと言えます。 専門家としての認知度がまだまだ低いということもあり、 これに関しては、専門家がその効果を社会に向けて学術的に示し続けることが非常に重要だと考えています。

 

日本のメンタルヘルス支援は本当に「遅れている」のか


タイトルでは少し煽るような表現をしましたが、 カウンセリング利用率については、日本が一方的に「遅れている」というよりも、それぞれの国の文化や制度の違いが、そのまま数字に表れていると考えた方が自然だと思われます。そして、海外のやり方をそのまま真似るのではなく、「これは日本にも取り入れられそうだ」と思う点を、日本の文化的な背景に合わせて取り入れていくことが大切ではないでしょうか。

個人的な理想としては、カウンセリングは「予防として当たり前に行くもの」という価値観が根付いて欲しいなと思っています。「セルフケアとしてカウンセリングを受けよう!」という社会の雰囲気や、それを実現できる仕組みが整うといいなと思っています。

 

参考文献


  • 厚生労働省(2013)『平成25年 国民生活基礎調査』

    — 日本における精神的支援・相談利用率に関する公的統計

  • Kessler, R. C., Berglund, P., Demler, O., Jin, R., Merikangas, K. R., & Walters, E. E. (2005).Lifetime prevalence and age-of-onset distributions of mental disorders in the World Mental Health Survey Initiative.

    Archives of General Psychiatry, 62(6), 593–602.

  • OECD (2021).Mental Health Care Utilisation Statistics.

    — 各国のメンタルヘルスサービス利用率・制度比較データ

  • Mojaverian, T., Hashimoto, T., & Kim, H. S. (2012).Cultural differences in professional help seeking: Japan and the United States.

    Journal of Cross-Cultural Psychology, 44(7), 1132–1146.

  • World Health Organization (WHO).World Mental Health Survey.

    — 国際的なメンタルヘルス支援利用と予防的介入に関する調査

  • Corrigan, P. W. (2004).How stigma interferes with mental health care.

    American Psychologist, 59(7), 614–625.

  • National Institute of Mental Health (NIMH).Mental Health Services and Insurance Coverage.

    — 米国における心理支援と医療保険制度の位置づけ

 

【解説】

田っちゃん(公認心理師・臨床心理士

コラム内で精神科という話題を出すといい顔をされないという話を出しましたが、 意外と「実は私も通ってるよ」と話が広がる時もあります。 精神科自体に悪いイメージがあるというよりも 「精神科」というワード自体に拒絶反応があるのかもしれないですよね。 名前ってすごく大切だと思うんですよね。

何かいい名前ないかな〜と思って、最近仲良くなったGemini3に聞いてみたんです。 「ストレスケア外来」「ウェルネス外来」「ライフケア外来」 なんか良さそうじゃないですか? 「ちょいケア外来」 なんか可愛いですよね。ちょいケア外来。 このあと、ちょいケア外来行ってくるわ、って言いたいですね。

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【監修】

本山真(代表取締役社長)

精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長

2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

 

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