ブログ

年始が辛いのは気合の問題じゃない ─冬休み明けの心を整えるメンタルヘルス・ハック

タグ :

2026年1月2日

最終更新日 2026年1月3日

年始がつらいのは「気合」のせいじゃない。冬休み明けの心を整えるメンタルヘルス・ハック

1月2日。

カレンダーの上ではまだお正月ですが、スマホの通知やSNSの空気感から、ふとした瞬間に『もうすぐ日常が始まるな』という予感がよぎり始める頃ではないでしょうか。冬休みが終わりに近づくと、こんな感覚に襲われることがあります。

  • 理由はよくわからないけれど、どんよりとした重さが抜けない
  • 明日の朝を想像するだけで、胃のあたりがきゅっと縮こまる。
  • タイムラインに流れてくる「新年の抱負」を見て、何も決めていない自分に、少し焦ったり、置いていかれたような気持ちになったりする

 

こうした反応は、あなたのメンタルが弱いからでも、甘えているからでもありません。メンタルヘルス専門職の立場から考えると、年始のタイミングに心が重くなるのは、むしろ心と体がきちんと反応している証拠だと言えます。

 

株式会社サポートメンタルヘルス公式LINE ID

メンタルヘルス情報配信中!友だち登録どうぞ!

 

なぜ、1月の心はこれほどまでに「重い」のか?


年始に気分が揺らぎやすくなることは、所謂”メンタル”の問題だけでは説明しきれない理由があります。

一つ目は、非日常から日常への切り替えです。

お正月という、現実から少し距離を置いていられる状況から、再び役割や責任のある日常へ戻る。この切り替えは、思っている以上にエネルギーを使います。急に高度を下げる飛行機のようなもので、体も心もついていくのに時間がかかります。

二つ目は、冬という季節の影響です。

1月は日照時間が短く、気分の安定に関わる脳内の働きが落ちやすい時期だと言えます(関連項目:精神科医監修:冬季うつ病とは?症状、原因、治療法と対策法を解説)。生物レベルで不安定になりやすいタイミングに、長期休み特有の”生活リズムの乱れ”が重なることで、不安定さに拍車がかかります。

三つ目は、『新年』が生む独特のプレッシャーです。

メディアやSNSを見れば、”心機一転””今年こそは”という前向きな言葉ばかり。”今の自分のままではいけないのでは”という感覚が知らない内に強まってしまいやすいタイミングだと言えます。

1人の人間がコントロールできる範囲を超えた変化の生じるこの時期。一番避けたいことのは、『気合で何とかしよう』とすることです。

冬休み明けをやり過ごすための、3つの小さなハック


① 生活リズムは「6〜7割」で十分

休み明けに向けて”生活リズムをきちんと元に戻さなくては”と自分を追い込む必要はありません。いきなり100点を目指すと、うまくいかなかった時に、必要以上に自分を責めてしまいがちです。

目標設定は、下記で十分です。

  • 起床時間を、いつもより30分だけ早める
  • 昼寝を15分くらいで切り上げる
  • 寝る前のスマホを、10分だけ置いて目を休める

少しでもいいんです。”できた”という感覚を着実に積み重ねることが、結果的に一番の近道になります(スモールステップについてはこちらもどうぞ:精神科医監修|心身ともに健康的なダイエットを成功させる秘訣!)。

② 不安をどうにかしようとせず、「そのまま言葉にする」

専門的に反すうと呼んだりしますが、人間は憂うつなときほど、”なぜこんな気分なんだろう””どうすれば前向きになれるんだろう”とグルグル考え続けてしまうものです。こうした感情を理屈で押さえ込もうとすると、かえって根強く居座ることが少なくありません。

不安をそのまま言葉にしてみればいいんです。

「ああ、今すごく学校(仕事)に行きたくないな」

「休みが終わるのが怖くて、焦っている自分がいるな」

それだけで構いません。

感情を一歩引いたところから眺めるだけで、気持ちは少し落ち着きやすくなります。不安を消す必要はありません。「隣に置いておく」くらいの距離感をイメージしましょう(関連項目:【スタッフ体験談】マインドフルネスを公認心理師・臨床心理士が受けてみた!)。

認知再構成法

【画像】認知行動療法とは?認知再構成法と行動活性化【精神科医監修✕公認心理師解説】

③ 初日のゴールは、思いきって低くする

長期休み明けの登校や出社の初日は、誰にとってもリハビリのようなものです。仮に久々の運動をするのであれば、念入りにストレッチや準備運動をしますよね?登校や出社も同様です。”休み前のコンディションに戻さなくては”と、過剰に焦ったり、頑張ろうとするのは却って悪手かもしれません。ストレッチ・準備運動に相当するものは何かを整理しておくことです。

初日に完遂することは、あらかじめ『3つだけ』に絞っておくことをおすすめします。ポイントは、初日からパフォーマンス勝負を目標に据えるのではなく、休み前のパフォーマンスを発揮するために日常を取り戻すこと、を目標に据えることです。

あなたが学生であれば…

「教室に行って席に着く」

「必要な連絡や指示を確認する」

「一日を終えて帰宅する」

あなたが社会人であれば…

「出社(または業務開始)し、環境を整える」

「初日で取り扱うべき業務や連絡事項を把握する」

「業務を一区切りさせる」

これで十分です。
初日の目標は、成果を最大化することではなく、翌日以降に安定して力を発揮できる状態に戻るだと心得ましょう。

※注記:管理者・教育担当の方へ

本コラムにおける”初日の目標設定”は、業務放棄や成果軽視を推奨するものではありません。平時であればまったく問題ない成果の要求も、休暇明け初日のコンディションにおいては、想像以上に高い成果要求となる可能性があります。過剰な成果要求は翌日以降のパフォーマンス低下や欠勤リスクを高めるという知見を踏まえ、初日は『業務の把握・環境調整・再始動』をメインの目的と据えて、2日目以降に平時のアウトプットを求めるという中長期を見据えたスケジューリングを提案するものです。

注意しておきたい『見過ごすべきではないサイン』


年始の初動において『どうも振るわない』という実感は、多くの場合、一時的なものだと考えて差し支えありません。次のような状態が2週間~1か月続く場合は、見過ごすべきではないサインです。医療機関をはじめとした専門機関の活用を検討しましょう。

  • 体が鉛のように重く、何日も起き上がれない
  • 好きだったことに、ほとんど興味が湧かない。
  • 「消えてしまいたい」「どこか遠くへ行きたい」という考えが頭から離れない

誰かに助けを求めることは、決して弱さではありません。自分を守るための、ごく自然で大切な選択です(関連項目:精神科医監修|うつ病で休職を検討するサインとは?)。

SNSの「抱負」は、少し距離を置いて見ましょう


この時期にタイムラインを埋め尽くす『意識の高い抱負』や『前向きな言葉』は、あくまでその人の人生の”ハイライト”を切り取ったものに過ぎません。裏側では、同じように不安を抱えながらベッドの中でため息をついているのかもしれません。

無理に前向きにならなくても構いません。

完璧なスタートを切ることに縛られる必要もありません。

休み明けしばらくすれば、以前の日常を取り戻せるかもしれません。

季節が進み、日照時間が増加してくることで、新しい目標が浮かんでくるかもしれません。

人生は短距離走ではなくマラソンです。中長期的な視点を持ったうえで、自分のペースで進んでいきましょう。

関連記事