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2023年9月8日
最終更新日 2023年9月8日
前回ご説明した通り、交感神経と副交感神経は本来シーソーのようにバランスを取りつつ、私達の健康を保っています。心身ともに健康な状態にある時、シーソーの触れ具合は緩やかです。
例えば、仕事にてプレゼンや発表の担当に選ばれた際、ほとんどの人が緊張して交感神経が高まり「戦う・逃げるモード」に入ります。そこで「少し水を飲んだり、深呼吸をしてみよう」と自ら神経を「休息・消化モード(背側迷走神経)」に入れてみたり、誰かと他愛の無い会話をして「つながりモード(腹側迷走神経)」に切り替えることで、交感神経を落ち着かせることができます。
自律神経を理解して自分を大切にする|ポリヴェーガル理論とは何か?
ストレスを過剰に感じ取ることなく、ちょうど良いラインで穏やかに自律神経の波を繰り返すことが理想的です。
自分に発生した出来事を過剰に重く捉え、周囲からの僅かな指摘に激しく反応することで、交感神経の「戦う・逃げるモード」にいることが常態化し、「凍りつきモード」を行き来してしまうことも。戦う・逃げるモードと凍りつきモードが長期間続いてしまうと、エネルギーや免疫反応自体がひどく低下してしまいまい、強い疲労感や無気力状態、うつ、ひきこもり等につながる可能性もあります。
交感神経・副交感神経それぞれが優位になることを問題視しているわけではありません。大切なポイントは『双方がどう振れているか』であり『双方がバランスよく振れるため』に副交感神経の土台を安定させることが重要です。
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私達人間にとって適度なストレスは必要です。ストレスがあるからこそ、ストレスを解決しようと努力をしますし、ほどよい緊張は良いパフォーマンスにもつながります。
ちなみに、同じ出来事であっても発生するストレスの耐性領域には個人差があります。
例えばプレゼンを依頼されるという出来事一つとっても、Aさんは成長のチャンスになる出来事と感じるかもしれませんし、Bさんは潰れてしまうほど苦しい出来事だと感じるかもしれません。
少し負荷をかけては休む、つまり交感神経が圧倒されない程度で適度に刺激を行い副交感神経の土台モードを繰り返すことで、ストレスの耐性領域は少しずつ広がります。様々なストレスに対して「私は、ここまでなら大丈夫」という予測がつくようになり、安心にもつながります。
前回ブログでは、ポリヴェーガル理論を紹介しながら、交感神経と背側迷走神経(バッグスイッチ)と腹側迷走神経(フロントスイッチ)のもつ働きについて説明しました。どのようにしてそれぞれのスイッチを育てていけば良いのでしょうか。ここからは、安心のタネを育てる手順を説明していきます。
まず一番初めに育てるべきは「背側迷走神経(バッグスイッチ)」です。なぜなら、心や身体に大きなストレスや悩みを抱えている場合、充実した一人の時間や心身をメンテナンスする時間が確保できていないと考えられるからです。他者と関わることで癒されたり安心を得ることもできますが、まずは自分一人で気を使わずに安心できることが大切です。
一人の空間で得られた安心により自分自身の状態が安定することを通じて、他人とつながることの負担が軽減します。心配や不安から他者とつながりを求めるのではなく、誰かと一緒に穏やかさや喜びを共有したくなるわけです。「今日は休めたな」、「ご飯が美味しいな」、「今日は不安や心配とうまく付き合えたな」と感じたら、バックスイッチがうまく働いている証拠です。バッグスイッチの働きを安定させたうえで腹側迷走神経(フロントスイッチ)を育てていくことで、副交感神経の土台がしっかりと構築されます。
背側迷走神経(バッグスイッチ)と腹側迷走神経(フロントスイッチ)の育て方をご紹介します。
まずは、背側迷走神経(バッグスイッチ)についてです。背側迷走神経(バッグスイッチ)は、主にお腹にあるため、優しく刺激することが効果的です。いくつか日常の中で行えるワークをご紹介します。
★腎臓の位置に手を当てる
腎臓は腰の上あたりの左右に一つずつあり、バックスイッチの通っている臓器の1つです。腎臓の働きがよくなるよう、腎臓の位置に手を当て、温かみを感じてみましょう。座ったり、立って行うことも効果的ですが、寝る前に横になって行うのがベストです。重力によって、腎臓が手のひらの上で休む形になり、効果を実感しやすくなります。
続いて、腹側迷走神経(フロントスイッチ)の育て方です。フロントスイッチの「つながりモード」は、高まった交感神経に対する最も効果的なブレーキになります。フロントスイッチを育てることで、他者と過ごす時間への苦手意識や緊張とも自然に付き合えるようになり、誰かと一緒にいることがくつろげるものに変わっていきます。いくつか日常で行えるワークをご紹介します。
★スキマ時間に「ふー」と息を吹く
呼吸は、吸う時に交感神経が、吐く時に副交感神経が刺激されます。気持ちを落ち着かせるためには「吐く息」が大切です。ちょっとした仕事の合間等に「ふー」と長く息を吐いてみましょう。長く息を吐くことで穏やかなブレーキが発動します。口から長く息を吐き、鼻から吸ったら、再び口から長く息を吐くを数回行えば、緊張感やイライラも収まってきます。
今回紹介したワークはほんの一部ですが、少しずつ自律神経のスイッチを育て、安心した生活領域を広げてみてはいかがでしょうか。
日常生活に取り入れることのできる”自律神経を育てるワーク”をご紹介しましたが、弊社では公認心理師・臨床心理士が開発した“自律訓練法をベースにしたオンラインリラクゼーションプログラム「ホットレ」”を提供しています。自律訓練法とは、活性化している交感神経を鎮めるために、”副交感神経にアプローチし、自律神経のバランスが取れた状態を自ら作り出す”心理療法のことです。
自律神経のバランスを整えたい!という方や、自分自身では自律神経のバランスを整えるのが難しいと感じている方は、ぜひ「ホットレ」に参加してみてください。
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参考文献
【執筆】 真田(公認心理師) 二回にわたってポージェス博士が発見した「ポリヴェーガル理論」を紹介しました。私自身、ポリヴェーガル理論を通じて、改めて自律神経の持つ役割を理解しましたし、新たに2つの副交感神経(背側迷走神経、腹側迷走神経)を学ぶことで安心の幅が広がったように感じています。
私は、自分の自律神経ともっとうまく付き合い、安心が広がる生活を意識していきたいと思っています。みなさんも、安心の幅を広げるために自律神経の働きを意識した生活を送ってみてはいかがでしょうか。 |