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なぜ私はこんなに物にぶつかるのか? 正体は空間認知・注意・身体感覚だった?

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2026年3月27日

「よく物にぶつかる」のは不注意だけじゃないー空間認知・運動協調・注意機能の観点から整理する

みなさんは、机の角に足をぶつけたり、コードに引っかかってころびそうになったりしますか?私は…日常茶飯事です。毎日部屋のどこかしたらにぶつかり(体当たりしてますね)、気づいたら手足に青痣(あざ)が出来ているなんてこと、ざらにあります。一番被害を被っているのは私の小指だと思います。ご愁傷様です…。

若いころは傷を作ってなんぼみたいなところもあった(?)ので、全然気にしていませんでしたが、加齢とともに傷の治りは遅くなり、今後は青痣どころではすまないこともあるかもしれない、と思ってきました。

今回は自身の体をいたわりたいという気持ちと、「なんでこんなにぶつかるんや!」という疑問を晴らしたい気持ちが消化できるブログとなっています。もし私と同じような経験をしている方がいらっしゃいましたら、原因が判明するヒントになるかもしれません!

 

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そもそも、なぜ人は物にぶつかるのか?―「昔から」か「最近増えたか」で原因は変わる


そもそもですが、ものにぶつかってしまうのはなんでなのでしょうか?ぶつかってしまうのが昔からなのか、そうではないかによっても原因は変わってきます。昔からの場合は、先天的・発達的な要因が関係している可能性が高いです。

考えられる要因としては、以下があります。

空間認知や視覚認知の苦手さ

空間認知とは、「3次元空間において自己と空間の相対的位置関係を把握すること」と定義されています。つまり、物の位置や距離感を把握する力のことです。視空間認知機能は、「見たものの全体像を把握する機能」です。物体の大きさや形、方向、距離などを、視覚情報から判断する力のことです(こちらもどうぞ:【精神科医監修】認知機能とは?認知機能が関連する困りごと)。

これらの力が弱いと、通れると思ったけどぶつかる、曲がるときに体が通りきっていない、などの状況が生まれます。また、美術や地図が苦手、球技などのタイミングを合わせる動作が難しい傾向があります。

軽度な運動協調性の問題

運動協調性とは、複数の筋肉や関節を連携させて、スムーズで正確な動作を行う能力のことを指します。簡潔に言うと、手先の不器用さや動作のぎこちなさでしょうか。食事や着替え、スポーツなどもこの運動協調性が不可欠であり、日常生活の動作すべてに関わっていると言っていいほどです。運動協調性が低いと、転びやすい、物を落としやすい、はさみや縄跳び、箸の扱いが苦手です。

自己の身体の位置感覚(ボディイメージ)がつかみにくい

“自分の体と周囲との距離”と、“距離を内側から感じる力(=固有感覚)”にずれがあると、ぶつかりやすくなります。この感覚が弱い場合、体の一部が家具に触れても気付かない、動作時に体の移動距離を正確に把握できない、椅子に十分に座れない、床との距離を適切に認識できないなどの傾向が見られます。

注意機能の影響

注意のコントロールや感覚の鋭さにばらつきがあると、周囲に気づくのが遅れることがあります。注意が内面や先のことに向いていると、壁の角など目の前の情報に気づきにくくなります。

感覚統合が苦手

感覚統合とは、視覚、聴覚、固有感覚、バランスなどを脳で統合して行動を調整する能力のことです。感覚統合にズレがあると、体の動きが周囲にうまくヒットしない、バランスを崩しやすい、音や光に敏感または鈍感になります。

 

感覚統合の苦手さと脳の連携― ADHD・DCDとの関連も含めて


ちなみに、上記であげた注意と運動は脳の実行機能・自己調勢力に関係しているので、一緒に扱われることが多いです。注意や集中力は、脳の前頭葉という部分が中心につかさどっています。運動の滑らかさや調節は小脳や運動野などが関与しています。これらの脳の領域は連携して動いているので、どちらかがずれると、もう一方もずれることがあります。つまり、不注意や多動傾向がある人は、体の動かし方にもぎこちなさがあることが少なくない。実際に、ADHD(注意欠陥多動性障害)とDCD(運動協調性障害)は30-50%の合併率があります。また、運動調節に問題があることでミスが増え、不注意と間違えられることもあります。

 

今日からできる対策― 環境調整・注意の向け方・体の感覚を整える工夫


上記では、壁や物にぶつかってしまう原因についてご説明しました。直近で私がぶつかった場面を思い出してみると、何か考えながら移動していて、目の前にテレビ台があることを全く意識せずぶつかっていました。原因を洗い出してみると、注意がほかのところに向いていて、目の前の物に向けられていないなと改めて認識することができました‥‥!かといって注意の苦手さだけでなく、そのほかの苦手さも含めてすぐ解消するのは難しいですよね…では、どのように対策すべきでしょうか?

ありきたりですが、まずは環境調整をするといいかもしれません。物をぶつかりにくい配置にする、通路をシンプルにして通りやすくするなどです。また、ながら○○は注意がそれがちなタイプにはおすすめできません。なるべく考え事をせず、目の前に意識を向けることが大切です。

 

マインドフルネスとボディスキャンという選択肢― 注意と身体感覚を“つなぎ直す”方法


識してもできない!という方は、練習をしましょう。意識の統一や体の感覚を整える方法に、マインドフルネスがあります。

マインドフルネスの中でもボディスキャンは、注意がそれがちな方にも比較的簡単に取り組むことができます。簡単にご説明すると、ベッドであおむけになり、頭から足先まで順番に意識を向けていきます。その中で各部位に意識をむけていき、感覚をそのまま観察します(マインドフルネスについてはこちらもどうぞ:【精神科医監修】マインドフルネスとは②仕組みとやり方)。

 

【執筆】

かなた(公認心理師・臨床心理士)

今回はなぜ物にぶつかりやすいのか?についていろいろと原因をご紹介しました。

今回調べるにあたって、意識的にぶつかった場面や回数を洗い出してみたのですが、数値化することで改めてちゃんと周りを見て行動しよう、と反省しました。また、苦手さを悲観するのではなく、対策に目を向けること、苦手さの中に強みを見つけることも大事だと思いました!ぶつかるのは痛いですが、1日の中でいろいろ考えて、没頭できるのって、飽きなくていいなとも思いました♪

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

 

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