2026年9月11日
初回カウンセリングをご希望の方はこちら
オンラインカウンセリングログイン
資料ダウンロード
タグ : メンタルヘルス , 田っちゃん@無職生活を経て転職しました!(公認心理師・臨床心理士)
2026年9月18日

目次
皆さんは自分が何を感じているのかわからなくなることはありませんか?
例えば、仕事でミスをした時や誰かにきつい言葉を言われた時、あるいは漠然とした心配や不安を感じているときなど、「モヤモヤする」「なんかしんどい」「疲れた」と感じることはあっても、その感情がどのようなものなのかを深く考える機会は意外と少ないものです。
しかし、その「モヤモヤ」の中には、「悔しさ」、「はずかしさ」、「不安」、「寂しさ」、「焦り」、「怒り」など、いくつもの感情が隠れていることがあります。
心理学では、このように自分が感じている感情に具体的な名前をつけることを「感情ラベリング(Affect Labeling)」と呼びます。
この感情ラベリングは、自分の感情を理解し、感情との向き合い方を助ける可能性があることが示唆されており、心理学や脳科学の分野で研究が進められています。
今回は、感情ラベリングとは何か、そして感情ラベリングをより効果的に行うための考え方である「感情粒度」についてもあわせてご紹介します。
公認心理師・臨床心理士によるブログ解説を毎週生配信しています!
上記でもお伝えしたように感情ラベリングとは「自分が感じている感情に言葉として名前をつけること」です。
例えば…「モヤモヤするだけで終わらせるのではなく、
など、できるだけ自分の気持ちに近い具体的な言葉に置き換えてみます。
ここで大切なのは、「正しい感情」を探すことではなく、「私は今、何を感じているのだろう」と、自分の内面に目を向け、言葉にしようと試みることです。
感情ラベリングは感情調整を助ける可能性が示唆されています。
代表する研究として知られているのが、2007年にMatthew D. Liebermanらが行った実験です。
この研究では、参加者は怒りや恐怖などの表情写真を見ながら、
に取り組みました。
その結果、感情に名前をつける課題では、
することが報告されました。
さらに、その後感情ラベリングに関するさまざまな研究が行われていますが、自分の感情に言葉で名前を付けるという行為そのものが、感情を整理し、感情との向き合い方を助ける可能性があることが示唆されています。
感情ラベリングで「感情に名前をつけることが大切」という話をしましたが、自分の感情に名前をつける際にぜひ意識していただきたいのが、「感情を細かく整理して名前をつけてみる」ことです。
これは感情粒度という研究が元になっています。
感情粒度とは「感情をどれだけ細かく区別して認識できるか」という能力を指します。
例えば仕事で注意を受けた時、
Aさんは「悲しかった」で終わり、
一方Bさんは、
というように、自分の感情を細かく整理できます。
この場合、Bさんは感情粒度が高い、ということになります。
心理学者のLisa Feldman Barrettらの研究では、感情粒度が高い人ほど、自分の感情を柔軟に調整しやすい傾向が報告されています。もちろん、感情を細かく表現すれば必ず気持ちが楽になる、と言い切れるわけではないのですが、自分の感情をより具体的に区別して認識することには感情の整理に役立つ可能性が示されています。
ここからは筆者自身の考えも含まれますが…
なぜ感情粒度が高い人ほど感情を柔軟に調整しやすいのかについては、私自身は、感情を細かく整理することで「自分が何に困っているのか」が見えやすくなることもその理由の一つではないか、と考えています。
例えば、仕事で注意を受けた時、
「最悪だった」だけでは何に対してどんな辛さを感じているのか分かりません。
しかし、
などと細かく整理ができると、
「頑張りが認められなくて悔しかったんだ、自分の中では頑張りを認めてあげよう」
「人からどう見られていたかが気になったんだ、周りの人はどう思っていたのか聞いてみようかな」
「原因が複数あるのに自分だけ注意されたのが納得いかなかったんだ、どんな原因があったんだろう、次はその原因を潰していこう」
など、自分が何に困っているのかが明確になることで、問題に合った対処法を考えやすくなるといったことがあります。
これは感情ラベリングそのものの効果として実証されているわけではありませんが、感情を細かく整理することそのものが問題を解像度高く捉えるきっかけになるのではないかと考えています。
せっかくなので、一緒に感情のラベリングを試してみましょう!
まず、「今日あった出来事を一つ思い出してください。」
例えば…
などなど、どんなことでも大丈夫です。
次に、その時どんな感情になったか考えてみましょう。
最初は「モヤモヤ」「イライラ」でも十分です。
そこから、
など、より自分の感覚に近い言葉を探してみましょう。
さらに、感情粒度の考え方を参考に、
というように、少しだけ詳しく感情を表現してみます。
大切なのは「正しい答え」を見つけることではありません。自分は今、何を感じているのだろうと自分の心に少しだけ丁寧に目を向けることです。
上記のワークをやっていると「そもそも自分が何を感じているのかわからない」と思う方も少なくありません。
そんな時は、いきなり感情を考えるのではなく、
という手順を踏むと自分の感情を見つけやすいです。
感情一覧表とは、さまざまな感情がまとめられている表です(「感情 一覧」で検索すると色々と参考になるものがでてきます!)。
どうでしょうか?
「自分は本当はこう思っていたんだ」とか
「本当はこのことにモヤモヤを感じていたんだ」
という新しい気づきが生まれるかもしれません。
※感情に目を向けることが辛い場合は、無理してやる必要はありません。自分がやりたい、やれる、と思った時にやってみてくださいね。
参考文献
【解説】 田っちゃん(公認心理師・臨床心理士) 今回は感情調整の一助となる可能性を秘めている、感情ラベリングについてお伝えしました。 ここからは私の個人的な考えとなります。 私たちは忙しい毎日の中で、自分の感情に蓋をしたまま過ごしてしまうことがあります。「本当は何が辛いのか」「自分はどうしたいのか」が分からなくなり、気づかないうちに感情に振り回されてしまうこともあるのではないでしょうか。 そのような状況の中で自分の感情に名前をつけ、自分が何を感じているのかを丁寧に考えていくことは、「自分が何に困っているのか」「今の自分にはどんな対処法が必要なのか」を考えやすくし、感情の舵を取れる感覚を養っていけるということに大きな意味があるのではないかと考えています。 感情はなくすものでも、我慢するものでもなく、うまく付き合っていくものです。 自分の気持ちに少しずつ気づきながら、上手に感情と向き合っていけるといいですね。
【監修】 本山真(代表取締役社長) 精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長 2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。 |