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タグ : ぶち(公認心理師・臨床心理士) , メンタル不調・精神疾患解説
2024年12月27日
皆さんは何か嫌なことがあったとき、とても気になることがあって頭から離れないときなど、胸がモヤモヤしたり息苦しく感じたりしたことはありませんか?息苦しさを感じているとき、自分の身体に何が起きているのか、どのような仕組みで息苦しくなるのか、病気と関係があるのかについて今回は考えていこうと思います。
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不安なことや落ち込むことあったとき、いわゆるストレスを感じたときは、胸がモヤモヤしたり、呼吸がしづらくなったりすることがあります。ストレスに関連した息苦しさについては、いくつかの原因が考えられます。
まずは筋肉の緊張が挙げられます。ストレスを感じているとき(不安なことや落ち込むことがあったとき、何かを心配しているとき)には、無意識に身体が強ばっていることがあります。これはストレス環境下におけるホルモンと自律神経系統の働きによります。身体が強ばるということは、筋肉が固まり、呼吸もしづらくなります。呼吸が乱れると脈が速くなり、さらに呼吸が浅く速くなります。筋肉の緊張に伴って息苦しさが生じるケースです。
【参考】精神科医監修|ストレスは肩こりの原因なのか?ー肩こり対策、ストレス解消法ー
人の身体はストレスがかかると交感神経が働くようになります。交感神経が優位な状態では、身体が緊張し、心拍が速くなり、血圧が上がります。すると呼吸も速くなるため①と同様に息苦しく感じたり、ドキドキしたりするのです。ストレスがかかり続けると、この状態が長く続き、副交感神経(リラックスモード)への切り替えが上手くいかなくなってしまいます。自律神経が交感神経優位になっているため息苦しさが生じるケースです。
落ちこんでいるときに自分がどんな姿勢かを考えることはあまりないですが、大抵の場合少し猫背になっていることが多いのではないかと思います。猫背になると、身体の前側の筋肉や、肺を動かす筋肉が縮んだ状態になります。すると、息を吸うための筋肉と吐くための筋肉のバランスが崩れ、息が吸いづらくなるそうです。ネガティブな気持ちのときに胸を張るのは中々難しいかもしれませんが、少し姿勢を正すだけで息苦しさが改善されるかもしれません。
一方で、パニック状態の時は過呼吸、過換気と言われる状態に陥ることがあります(【ぞわぞわ…】精神科医監修パニック障害対策ブログ【そわそわ…】)。過呼吸の際は、呼吸が浅く速くなり、息を吐くことができなくなる状態なので、息を吸いやすくするよりも吐きやすい姿勢を取ることが大切になります。過呼吸状態になったときは、腕を机などに固定し、少し前かがみな姿勢になると呼吸がしやすくなることも多いようです(参考:精神科医監修|過呼吸の対処法として何が効果的なのかー過呼吸の症状と原因も解説ー)。
不安障害、パニック障害などで生じる過呼吸は不安感の影響が大きいですが、体の病気(身体疾患)によって息苦しさを感じることもあります。例えば、松田(2023)では呼吸器疾患による呼吸困難感がある患者について、不安感があるとより喘息のコントロールが困難になることを示しています。他にも、抑うつ気分のある患者は肺機能が低かったり、反対に喘息患者がうつ病になりやすかったり、パニック症が併発しているとより呼吸困難感が強くなったりするそうです。また、橋本ら(2023)ではがん患者の呼吸困難感について、身体の状態や症状による影響のほかに、症状や将来などに対する不安感や心配も影響していることが示されています。
身体疾患がある場合には、身体疾患そのものの症状に加えて、疾患に対する不安や将来についての心配も生じるため、より息苦しさを感じやすくなるようです(こちらもどうぞ:精神科医監修|体の病気とメンタルヘルスー心と体はつながっているー)。
参考文献
【監修】 本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医) 東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。 【執筆】 ぶち(臨床心理士・公認心理師) 今回は日常で感じる息苦しさをテーマに、主に不安やストレスなどが原因となるもの、身体疾患が原因となるものという観点で整理しました。ストレス由来の息苦しさであれば、①筋肉の緊張が原因であればストレッチ、②自律神経の乱れが原因であれば自律訓練法、③姿勢が原因であれば少し姿勢を正す、といったアプローチを試してみてください。 ちなみに、自分ではストレスが原因だと思っていても、実は身体に原因がある場合もあります。また、長期間ストレスにさらされ、常に息苦しさを感じていることで身体に異常をきたすこともあるかもしれません。まずは不安やストレスの原因から離れることが大切ですが、息苦しさが日常生活に支障をきたすレベルなのであれば、まずは呼吸器・循環器科等への受診、場合によっては精神科への受診を検討しましょう。 |