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タグ : ハラスメント対策 , フリーランス新法 , 産業精神保健
2024年9月16日
最終更新日 2024年9月17日
目次
2024年11月から施行されるフリーランス新法により、フリーランスに対するハラスメント対策が義務化となります。従前、フリーランスは、一般的な従業員と比較し、種々の環境整備が充分ではない傾向にありましたが、新法施行によって安心・安全な働き方が可能になるかもしれません。なお、フリーランスが安心・安全に働くためには、フリーランスを活用する企業側だけではなく、フリーランス自身が意識・知識をアップデートすることも欠かせません。本コラムでは、フリーランス新法の解説を通じて、フリーランスが直面しやすいハラスメント問題と予防策について具体的に解説します。
【フリーランスを活用している企業はこちら】フリーランス新法とハラスメント対策義務化|中小企業が知っておくべき重要ポイント
株式会社サポートメンタルヘルスは”働く人を応援するメンタルクリニック”を運営する医療法人が母体です。医療機関におけるメンタルヘルス対策のノウハウを以て、全国の中小企業をサポートいたします。 株式会社サポートメンタルヘルスでは、メンタルヘルス専門職による”中小企業のメンタルヘルス対策個別無料相談会”(web開催、日時は応相談)を実施しております。従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの経営者様、人事ご担当者様、まずはお問い合わせフォームよりお申し込みください。
【コラム監修】 本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医) 株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役 医療法人ラック理事長/宮原メンタルクリニック院長 |
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フリーランスは企業の従業員と異なり、法的保護の範囲が狭いと思われがちです。しかし、労働環境や取引先との関係で発生するハラスメントは、深刻なストレスや収入減に直結することがあります。では、具体的にどのような問題があるのでしょうか?
フリーランスは、企業の一般的な従業員と比較して、法的に守られている範囲が狭いと感じている方もいらっしゃるでしょう。法的に守られる範囲が狭いからと言って働くうえでの困りごとが少ないわけではなく、フリーランスもハラスメント被害を受ける可能性はゼロではありませんし、クライアント企業(業務委託元企業)との関係性によって生じる問題は大きなストレスにつながることもあります。曖昧な契約で業務がスタートするケースにおいては、特にそのリスクが高まります。
フリーランスに特有のハラスメントとして、以下のようなケースが想定できます。
クライアント企業が、納期短縮や仕様変更を一方的に要求してくるケースです。フリーランスにとっては当然大きな負担となりますし、成果物のクオリティに影響を与える場合もあるでしょう。
業務に対する報酬や成果物の納品条件が不透明なまま契約が進行し、後にトラブルに発展するケースです。契約書が存在しない場合や口約束のみで業務委託が進められる場合、(当然ではありますが)支払いトラブルは発生しやすくなります。
上記とは異なり、正規の手続きで契約を取り交わしているにもかかわらず、契約内容が無視されたり、支払いが遅れたり、最悪の場合、報酬が支払われないケースです。クライアント企業にとっては数ある業務委託の一つですが、フリーランスにとっては一つ一つの業務委託報酬がメインの収入源です。報酬の支払いが遅延すること、未払いになることは、フリーランスにとって生活に直結する問題であり、深刻な問題に発展することは想像に難くありません。
2024年11月施行のフリーランス新法によって、フリーランスが直面し得る上記ハラスメントやトラブルに対する対策が義務化されます。特筆すべきポイントは契約内容の明確化と報酬に関する透明性の確保です。新法の施行によって、クライアント企業によるフリーランスへの業務委託契約が、透明性を持つフェアな契約となることが期待されます。フリーランスにとっては安心・安全に働く環境が整備されるわけですね。
新法施行による具体的な変更例が下記となります。
不当な要求によるトラブルや曖昧な契約によって生じるトラブルを防ぐため、契約書を作成する段階にて、報酬や業務の条件(納期や成果物など)を明確にすることが義務化されます。
クライアント企業がフリーランスへの報酬支払いを遅延させる場合については、クライアント企業に罰則が適用されるリスクが高まります。
フリーランス新法は、ワークインテグレーション時代において鍵となるフリーランス(フリーランス新法の理解が中小企業成長の鍵ーワークライフインテグレーション推進ー)を保護するための重要な一歩であり、フリーランスへのハラスメント発生リスクを低減し、より安心・安全な取引関係が築けるようになります。
※なお、フリーランス新法においては、クライアント企業がフリーランスに不当な要求を行ったり、報酬の支払いを遅延させたり不当に未払い扱いすること、ハラスメント対策を講じない場合、罰則規定が用意されています。フリーランスを活用している企業は法律に準拠した対応が必要になります(参考:人事担当者必見!中小企業が押さえるべきフリーランス新法のポイントと義務要件)。
フリーランスとしてハラスメント被害を防ぐために重要なポイントは法律の知識を持つことです。フリーランス新法施行により企業にはハラスメント対策義務が発生しますので、従前と比較し、安心・安全な働き方が可能になるでしょう。とは言え、フリーランス自身が正しい法律の知識を持ち、のちのトラブルを避けるために対策を講じることの重要性は変わりません。新法施行によるメリットを最大限に享受するために、新法について学びましょう。
新法を活用してハラスメント被害を防止するためには、契約書に明確な条項を盛り込むことが最も重要です。契約書作成段階にて、報酬に関する取り決めや業務に関する取り決めを明記し、仮にハラスメントが発生した際、どのようなサポートが得られるか、についても事前に確認しておきましょう。
下記は契約書に落とし込むべき具体例です。
報酬額や報酬の支払い期限、仮に支払いの遅延が発生した場合におけるペナルティを明確にしておく。
業務委託期間中にハラスメントが発生した際の対処方法について、例えば相談窓口は誰/どこか、発生後の対応などについて契約書などへの明記を依頼する。
【参考】人事担当者必見!中小企業が押さえるべきフリーランス新法のポイントと義務要件
契約書作成段階にて種々のポイントについて整理し、明記しておくことは、フリーランスにおけるハラスメント対策の第一歩と言えますが、それだけでは不十分です。フリーランス自身が、日常的に導入できる具体的な対応策を講じることも重要だと言えるでしょう。
まず、契約書を取り交わす前に、契約書の内容をきちんと確認することが大前提です。報酬、業務内容(成果物)、納期などを明確にすることで、クライアント企業とのトラブルを防ぎやすくなります。特に、口約束で進める仕事は避け、必ず契約を取り交わしましょう。
次に、可能な限りコミュニケーションを記録に残すことが重要です。メールやメッセージでのやり取りは、後にトラブルが発生してしまった際、重要な証拠となります。業務の進捗報告や契約内容の確認なども書面で行い、記録を保管しておくと安心ですね。
万が一、クライアント企業によるハラスメントが発生した場合は、弁護士やハラスメント相談窓口といった専門家へと相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを早期に受ければ受けるほど、迅速かつ適切な対応が可能となります。
フリーランスとして働く人がハラスメント被害を予防するためには、クライアント企業との円滑なコミュニケーションが鍵となります。日頃からクライアント企業との関係を良好に保つことで、ハラスメントが発生するリスクは低減できるでしょう。
クライアント企業とのコミュニケーションにおいて意識するとよい具体的ポイントは下記の通りです。
業務の進行状況を定期的に報告し、クライアント企業とは進捗を共有しておきましょう。定期的なコミュニケーションは、やり取りが不足しているケースにおいて双生じがちな誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。
納期や業務の内容は随時確認する癖をつけましょう。クライアント企業との認識の齟齬を防ぎ、トラブルを予防することにつながるでしょう。