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精神科医監修|完璧主義をやめたい…デメリットだけではなくメリットと和らげ方も知ろう

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2023年6月23日

最終更新日 2024年8月2日

完璧主義をやめたいあなた!デメリットだけではなくメリットと和らげ方も知っておきましょう!

何をするにも完璧を求めてしまう、失敗やミスが許せない、皆さんの中にも「自分は完璧主義」と思っている方は多いのではないでしょうか。

 

良い成果を出すことはできるけど、実は準備にエネルギーを使いすぎて疲弊していたり、周りの人から「しっかり者」と認められやすいけれど、内心、完璧主義な自分に嫌気がさしていたり。あるいは、自分が完璧主義であることで、周囲の人から「厳しい人」と思われていないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれません。

 

「完璧主義、やっぱりやめたい!」そんな方に向けて、今回は完璧主義についてお話します。

 

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完璧主義の3タイプ


心理学では一般的に、「達成状況や評価場面において、自己あるいは周囲に対して完全を求める考え方や振る舞いの傾向」を「完全主義」と呼んでいます。そして一口に「完全主義」と言っても様々なタイプがあることが分かっています。例えば、次のような分け方だと、皆さんはどのタイプでしょうか?複数のタイプに当てはまるという方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

タイプ1 自分で自分に完璧を求める「自己志向的完全主義」

  • 何かに取り組むときには、それが完璧になるまで気が済まない
  • 成功するには、人一倍努力しなければならないと思う
  • どんなときも、自分が持っている能力の全てを発揮するべきだと思う
  • 常に、高い目標を設定するようにしている

 

タイプ2 他者に完璧を求める「他者志向的完全主義」

  • 簡単に物事を諦める人を見ると、つい批判してしまう
  • 仕事を頼んだ時には、完璧にこなしてほしいと思っている
  • 周囲の人が失敗しているのを見ると、我慢ならない
  • 一生懸命取り組まない人を見るとイライラしてしまう

 

タイプ3 周囲から完璧を求められていると感じる「社会規定的完全主義」

  • 他人の期待に応えることは難しいと思う
  • 失敗したら、周りの人は自分に対してイライラすると思う
  • ミスをしたら、人としての評価が落ちると思う
  • 完璧でない仕事は、ダメな仕事だと評価されると思う

 

いかがでしたか?「自分は完璧主義だ」ではなく、「自分は〇〇から〇〇に完璧を求めるタイプだ」と言えるだけでも、自己理解が進んでいきそうですね。また、特にタイプ1とタイプ3は、メンタルヘルスに悪影響が出やすいとされています。

 

完璧主義のメリット


「完璧主義、やっぱりやめたい!」と思っている方は、おそらくメリットもデメリットも重々お分かりかと思いますが、まずはメリットを整理し、なぜ完璧主義をやめられないのか、改めて考えてみましょう。

 

メリット1 常に高みを目指し、努力することができる

「誰よりも良いものを」、「前回より良いものを」、と理想を目指して頑張ることは、全員ができることではありません。完璧主義の人は、常に最高のレベルに向かって努力することができます。

 

メリット2 高いクオリティの結果を出すことができる

完璧主義の人は確実に作業を進めていくため、ミスや失敗が少ない傾向にあります。抜けの無い結果を出せることは、当然、完璧主義の人のメリットに挙げられるでしょう。

 

メリット3 周囲からの信頼が厚くなる

努力できる人、仕事や勉強の質が高い人は、周囲から高い評価を得ることができます。完璧主義の人は、「努力の人」「頼もしい人」などと認められ、信頼感が高まりやすいでしょう。

 

完璧主義のデメリット


次にデメリットを見ていきます。なぜ「完璧主義、やっぱりやめたい!」と思うのでしょうか。

 

デメリット1 ミスや失敗を過度に恐れてしまう

「ミスがないように」「失敗しないように」と仕事や勉強を進めていると、作業スピードが落ちてしまったり、不安な気持ちが常に付きまとったりすることになってしまいます。

 

デメリット2 結果を失敗か成功かの二択でしか捉えられない

完璧主義の人は、物事の捉え方が極端になる傾向にあります。1つでもミスがあれば「失敗」と捉えてしまい、どんどん自分に厳しくなり、ますます完璧主義が強くなっていきます。

 

デメリット3 自己嫌悪に陥りやすい

「周囲の人には褒められたけれど、自分にとっては満足のいく結果ではなかった」そんな経験はありませんか?完璧主義の人は理想が高いからこそ、簡単には自分に満足できず、完璧でない自分を責めたり、自分に嫌悪感を持ったりすることが増えていきます。

 

ネガティブな感情や自己評価の低さだけでなく、うつ病、強迫性障害、摂食障害をはじめとする精神疾患とも関連すると言われるなど、完璧主義の人のメンタルヘルス問題に関する心理学の研究があります。

 

 

完璧主義の和らげ方


デメリットがあるとはいえ、完璧主義をやめるのって難しいですよね。「やめるか、やめないか」で考えていることが、そもそも完璧主義の方の特徴かもしれません。そこで、完璧主義を和らげる方法や、完璧主義のデメリットに苦しむ時間を減らす方法をいくつか考えてみました。

 

方法1 客観的に自分を見てみる

完璧主義の人は、「思わず」頑張りすぎてしまうところがあると思います。頑張っている時、一度立ち止まり、自分で自分に質問してみるのはどうでしょうか。

  • 「現実的でない目標を立てていないだろうか?」
  • 「ミスにばかり気をとられて、できていたところを見落としていないだろうか?」

理想に向かって突っ走っていることに、まずは気づくところから始めてみましょう。

 

方法2 どんな自分も褒めてみる

先ほどお伝えした通り、完璧主義の人は自己嫌悪に陥りやすくなります。そこで、まずは自分を褒める練習を始めてみるのはどうでしょうか。

  • 「この部分はできなかったけど、それ以外は全部できているなんて、えらい!」
  • 「いつもより少し手抜きにはなったけど、時間通りに終わったなんて、すごい!」

自分自身に優しさや思いやりを向けることを、心理学では「セルフコンパッション」と呼びます。昨今注目が集まっている考え方です。

 

方法3 完璧でない自分をイメージしてみる

失敗は、そこまで避けるべきものでしょうか?完璧でなかったとしたら、どんなことが起こるでしょうか?意外にも、信頼関係は崩れないかもしれません。人に頼ってみることで、結果的にチームワークが促進されることもあるでしょう。欠けているところがある人の方が、人間味があって魅力的、と思う人も少なくないと思います。

 

方法4 完璧を求める目的を考えてみる

何のために完璧を求めているのでしょうか?自己満足感を得ることや、周囲から高い評価を得ることは、ご自身が本当に求めていることでしょうか?心理療法では、価値観を明確にしていく作業をすることがあります。「自分はどんな人間でありたいか」「何に価値を置いているか」を改めて認識することで、完璧を目指す作業と、力を抜いて行う作業を分けることができるようになるかもしれません。

 

参考文献


  • 大谷 保和 (2010) . 自己に向けられた完全主義の心理学 風間書房
  • Hewitt, P. L., & Flett, G. L. (1991). Perfectionism in the self and social contexts. Journal of Personality and Social Psychology, 60(3), 456-470.

 

【解説】

chico

今回は完璧主義についてお話してきましたがいかがでしたか?

完璧主義をやめることに必死になるより、デメリットを緩和し、メリットを上手に活かす工夫をする方が、作業効率が上がり、結果的には理想的な結果を得られることに繋がるかもしれません。ぜひ、少しずつ完璧の呪縛を緩めていってみてください!

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

 

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