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タグ : chico(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス
2024年2月2日
最終更新日 2024年4月8日
目次
皆さんの周りに「自分に厳しい人」はいますか?少なくとも一人は思い当たるかもしれません。いつも現状に満足せず、自身に鞭打って理想を目指し続ける人は、良い成果を出しやすく賞賛も受けやすくなります。「頑張り屋さん」「努力家」「完璧主義者」などと呼ばれているかもしれませんね。
でも時々、頑張りすぎている姿を見て心配にはなりませんか?そして、今このブログを読んでいるあなた自身も、実は「自分に厳しい人」ではありませんか?今回は、皆さんの周りにいる「自分に厳しい人」、そして自分に厳しいあなたへ、セルフ・コンパッションをご紹介します。
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このセルフ・コンパッション、実は今、心理学の分野で研究が進んでおり、街の本屋さんでも、一般の方に向けた関連本を見つけられるようになりました。セルフ・コンパッションは、簡潔に言うと、自分自身を思いやる態度のことです。3つの要素から構成されています。
セルフ・コンパッションの要素①マインドフルネス
今この瞬間に自分がどんなことを経験しているのか気づくことです。セルフ・コンパッションは、自分が今、どんな辛さや苦しさを感じているのか捉え、それらにしっかり向き合うところから始まります。
セルフ・コンパッションの要素②共通の人間性
欠点の無い人間などいないと思い出すことです。どんなスーパースターであっても、失敗したりミスをしたりします。困難は自分ひとりに起きているのではありません。他の人も同じように苦しんでいるので、孤独に感じる必要はないと考えます。
セルフ・コンパッションの要素③自分への優しさ
人には絶対に言えないような心無い批判的な言葉を、自分自身に対しては使ってしまうことがあります。大切な人が悩んだり苦しんだりしているとき「優しく接しよう」と思うのと同じように、自分自身にも優しく接してあげます。
とある研究(※)をもとに、セルフ・コンパッションが高い人の特徴を挙げてみると次のようになります。
一方でセルフ・コンパッションが低い人には、次のような特徴があります。
さて、ここまで読んできて、「セルフ・コンパッションなんて、自分を甘やかすことと同じじゃないか!」と思った方がいらっしゃるかもしれません。セルフ・コンパッションと甘やかしは根本的に異なります。
自分を甘やかすとき、人は目先の快楽だけを考えて、欲しいものを自分自身に与えてしまいます。甘やかしは何の問題解決にもならないものです。一方セルフ・コンパッションでは、長期的に物事を考えて、今の自分に本当に必要なもの(優しさやいたわり)を与えます。甘やかそうとしている自分がいたら、時に言い聞かせる。これもセルフ・コンパッションでは重要です。結果として、問題に面と向かって取り組むことができ、自分の理想に近づくことができるのです。
また、「セルフ・コンパッションってマインドフルネスとは違うの?」と気になる方がいらっしゃるかもしれません。
マインドフルネスは、セルフ・コンパッションの基礎にあたります。自分の今の苦しさを”あるがまま”に捉えて(マインドフルネス)から、その苦しさを和らげようとする(セルフ・コンパッション)わけです。このときにマインドフルネスができていないと、”あるがまま”捉え続けることができず、苦しさに耐えきれなくなってしまうことがあります。結局、失敗やミスが自分の中でどんどん誇張されて「自分に厳しすぎる人」に戻ってしまうのです。
【参考】
先ほどもお伝えした通り、セルフ・コンパッションは注目度が高く、研究論文だけでなく、書籍やネット記事も多く登場するようになりました。では、なぜ今注目を集めているのでしょうか。
メリット①メンタル不調の改善が期待される
厚生労働省の最新の調査(令和4年労働安全衛生調査(実態調査))によると、仕事や職業生活においてストレスを感じている労働者は82.2%。「自分に厳しい」が美徳とされてきた日本の現状です。
そんななか複数の研究によってセルフ・コンパッションが高い人は抑うつ感、不安、ストレスなどが軽いことが示されています。つまり「自分に厳しい」から「自分に優しい」にシフトしていけると、メンタル不調者の少ない職場に近づくことが期待できます。
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メリット②パフォーマンスアップに繋がるから
「メンタルの不調は無いよ」という方であっても、もう少し心身ともに健康的に働けたら、120%の実力を発揮できそうだと思いませんか?
昨今の研究により、セルフ・コンパッションが高まると、
といったことが分かっています。
一見「自分に厳しい」ほうが、成果は上がっていきそうですが、セルフ・コンパッションには上記のような効果が見込めるため、長期的に見れば「自分に優しい」方がパフォーマンスは高まると言えます。
では、どのようにしたらセルフ・コンパッションを高められるのでしょうか。今回は、忙しい人も「自分に厳しい人」も、今すぐできる方法をご紹介します。その他の方法は、様々な本や記事でも紹介されていますので、ぜひご自分に合ったやり方を見つけてみてください。
方法①スージングタッチ
「スージング」とは落ち着かせたりなだめたりすることです。自分に優しくすることに抵抗を感じる方も、形から入るようなつもりで、次のような動作をしてみてください。
手の重さや、手のひらの温度、お腹や胸の温度を感じながら行うのがポイントです。ちなみに…わざわざセルフ・コンパッションの時間を作る必要はありません。腕組みをするついでに、ハンドクリームを塗るついでに、顔を洗うついでに、などと、普段の生活習慣に少しずつ取り入れていくことをおススメします。
方法②オリジナルフレーズ
「自分に厳しくなっているな」と気づいたとき、すぐに使えるフレーズを1つ準備しておきます。ポイントは、皆さんにとって大切な人、例えば家族、パートナー、親友を思い出してみることです。その人が落ち込んでいたら、なんと声をかけますか?そのセリフをそのまま自分のために使います。例えば…
オリジナルフレーズができたら、ノートやメモ帳に書いておいて、いつでも見られるようにしておくと良いかもしれません。必要なタイミングで見て、心の中で唱えてみましょう。
引用・参考文献
【解説】 chico(公認心理師) 今回は自分自身を思いやる態度「セルフ・コンパッション」をご紹介しました。セルフ・コンパッションには、陰と陽があると言われています。陰は「優しさ」、陽は「強さ」の側面と捉えて頂いたらいいと思います。自分に優しいだけがセルフ・コンパッションではなく、そこには強さがあることをご理解いただけたら幸いです。
【監修】 本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長) 2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。 |