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【医師監修】企業が取り組みたい職場メンタルヘルス対策

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2020年5月18日

最終更新日 2024年2月10日

企業の魅力を高めるためのメンタルヘルス対策

 

株式会社サポートメンタルヘルスは”働く人を応援するメンタルクリニック”を運営する医療法人が母体です。精神科医、産業医、精神保健福祉士、公認心理師・臨床心理士といった専門職がチームとなり、御社のメンタルヘルス対策、組織構築をワンストップでサポートいたします。メンタルヘルス対策導入をお考えであればお気軽にお問い合わせください。

 

株式会社サポートメンタルヘルスでは、メンタルヘルス専門職による”中小企業のメンタルヘルス対策個別無料相談会”(web開催、日時は応相談)を実施しております。従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの経営者様、人事ご担当者様、まずはお問い合わせフォームよりお申し込みください。

 

 

▶メンタルヘルス対策コラム

▶中小企業向けコラム

 

【監修】

本山真(株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役)

医師/日本医師会認定産業医/精神保健指定医

医療法人ラック理事長/宮原メンタルクリニック院長

2002年東京大学医学部医学科卒業後、川越同仁会病院、不動ヶ丘病院で勤務。2008年に埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。”働く人を応援する”ため、日々診療活動に取り組んでいる。

 

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魅力的な企業作りとしてのメンタルヘルス対策


人手不足が叫ばれる昨今、既存の従業員に末永く活き活きと勤務してもらいつつ、新しい人材を確保していくことが、企業のパフォーマンス向上の鍵となります。いち早く時流を察知した企業は、すでに多様な勤務形態や福利厚生の導入に着手しています。とは言え、独自の工夫をどこまで取り入れられるかは、企業の体力に依存するうえ、導入コストに見合った成果が得られるかどうか不透明な部分もあり、なかなか導入に踏み切れない企業も多いのではないでしょうか。

 

“人材定着、人材確保に関して何らかの工夫を取り入れることの重要性は理解しているものの、何をしたらよいのか考えているうちに時間だけが過ぎてしまっている”。そんなお悩みをお持ちでしたら、メンタルヘルス対策に着目してみることをおすすめします。

 

企業がメンタルヘルス対策に適正なコストをかける根拠となるデータを紹介しましょう。令和4年の厚生労働省調査によれば、メンタルヘルス不調によって連続1か月休職した労働者がいたと回答した事業所は10.6%、退職した労働者がいたと回答した事業所は5.9%にのぼります。令和3年労働安全衛生調査(実態調査)においては、メンタルヘルス不調による休職者8.8%、退職者4.1%であったため、休職者、退職者ともに増加の傾向にあります。

 

メンタルヘルス不調による休職者、退職者について詳細を分析してみると、事業所規模、業種によって数値にばらつきが見られる結果となっています。事業所規模が100を超えると、少なくとも2つに1つの事業所(52.0%)がメンタルヘルス不調による休職・退職を経験していることになります。業種別としては、情報通信業が最も多く、次いで電気・ガス・熱供給・水道業、学術研究・専門・技術サービス業が続きます。

【参考】

 

従業員が活き活きと働く魅力的な企業作りのために、メンタルヘルス対策がいかに重要かイメージしやすいデータでしょう。同調査によれば、現状メンタルヘルス対策を導入している事業所は事業所全体で6割程度、10人~29人の事業所においては55.7%であり、他社との差別化を図るために導入を検討いただきたいと考えます。

【参考】

 

厚生労働省のメンタルヘルスケア対策


それでは企業は具体的にどのようなメンタルヘルス対策に取り組むべきなのでしょうか。厚生労働省は、メンタルヘルス指針(労働者の心の健康の保持増進のための指針)を“メンタルヘルスケア対策”としてまとめています。メンタルヘルスケア対策は、事業者が中心となって心の健康づくりを目的に行なわれる種々の取り組みを指し、一次予防~三次予防を円滑に行なうことが必要だとされます。

 

  • 一次予防:メンタルヘルス不調を未然に防止する
  • 二次予防:メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行う
  • 三次予防:メンタルヘルス不調となった労働者の職場復帰の支援等を行う

 

それぞれの予防活動において、労働者が自身のストレス状態に気づき適切な対処を行なう“セルフケア”、上司・管理職が部下の不調や問題にいち早く気づき職場環境・業務内容の見直しを行なう“ラインケア”、事業場内産業保健スタッフや事業場外資源といった専門職による支援といった多角的、包括的なアプローチが推奨されています。

【参考】職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~(厚生労働省)

 

つまり、メンタルヘルス不調が起きづらい工夫メンタルヘルス不調に早期に気づく工夫メンタルヘルス不調から回復しやすい工夫を職場に取り入れて、環境の改善を推進していくことがメンタルヘルスケア対策だと言えます。こういった工夫が取り入れられている企業が魅力的な組織であることは自明の理です。

 

 

ストレスチェック制度について


メンタルヘルス対策を推進するにあたり、2015年12月に労働安全衛生法が改定され、ストレスチェックが義務づけられました(労働者数50人以上の事業場は義務、50人未満の事業場は努力義務)。ストレスチェックとは、メンタルヘルス不調の一次予防(未然防止)を目的に、事業場に選定された医師、保健師またはストレスチェック実施者研修修了者によって実施される定期的な調査を指します。いわゆる健康診断のメンタルヘルス版だと理解していただくとイメージしやすいかもしれません。

【参考】

 

調査自体は従業員を対象に行われるため、セルフケア(従業員のストレスへの気づきとその対処)が目的だと認識されがちですが、セルフケアに加え、集団分析と呼ばれるメンタルヘルス不調を未然防止しやすい職場環境の作り方を目的としたアドバイスにも活用されます。調査にあたっては、厚生労働省が推奨している調査票(職業性ストレス簡易調査票)が広く利用されています。

 

“義務だからストレスチェックを取り入れているが意義や効果を実感しづらい”、“ストレスチェック実施自体が形骸化している”。導入コスト、実施コストを充分に回収できていない事例については、“魅力的な組織構築を目的とした現状分析”という視点を取り入れることをおすすめしています。メンタルヘルス対策という切り口で抽出された組織の課題を、1年を通じてPDCAサイクルで解決していくという活用ができれば、導入のコストに見合った成果が得られる可能性は高まります。

 

【執筆】

久野(公認心理師・臨床心理士)

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