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精神科医監修|マリッジブルーの対処法|症状・特徴・解消法を知る

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2022年5月27日

最終更新日 2023年4月15日

症状と特徴を知ってマリッジブルーを対処解消!精神科医監修ブログ

 

6月と言えば日本では梅雨のジメジメしたイメージや、1年間で最も休みが少ない月だと言われるなど、あまり良い印象がありません。しかし、ヨーロッパでは古くから「6月に結婚する花嫁は幸せになれる」という言い伝えがあり、日本とは対照的にジューンブライドのきらびやかなイメージがある月なのです。

 

 

なぜそのような言い伝えが残っているのかについては諸説あり、真相も今となっては定かではありませんが、結婚や出産を守るとされていた女神Juno(ジュノ)が守護しているのが6月だから、昔のヨーロッパでは3月から5月が農作業の繁忙期でありその期間の結婚は禁止されていたため解禁になる6月に式を挙げるカップルが多かったから、日本とは違いヨーロッパは6月が1年で一番雨が少なく天候にも恵まれる季節だから、という3つの説が有力だと言われています。

 

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そもそもマリッジブルーとは?


さて、結婚といえば幸せな気分を連想しますが、実は結婚を控えた人たちが突然不安や憂うつな感覚を覚え、精神的な不調に陥る「マリッジブルー」があることはご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

「マリッジブルー」という言葉自体は和製英語で、結婚を意味する「マリッジ」と、気持ちの落ち込みを意味する「ブルー」を合わせた言葉です。今では結婚前の人のうち半数以上が経験しているというデータもあるほどの珍しくない状態であり、出現する症状も様々です。ここ数年はコロナウイルスの影響があり大々的な結婚式やパーティーを控える人も多いですが、変化に対するストレスは誰しも少なからずあるものです。

 

男性・女性それぞれにとってのマリッジブルーの原因


マリッジブルーは一般的に結婚準備の忙しさや新生活への不安などが原因になっていることが多く、男性も女性もなりうると言われています。原因の中でも男性に多いものとして経済的な不安、家庭をもつことで残業や接待がしづらくなり仕事に影響が出るのではないか、自由が制限されるのではないかという懸念、女性に多いものとして家事や育児との両立の難しさや姓が変わることへの不安などが考えられています。

 

 

マリッジブルーの症状~適応障害・うつ病との関係~


症状としては、結婚のことを考えると憂うつになる、強い不安を感じる、イライラするなどの精神的なものと、頭痛、理由なく気分が落ち込み知らず知らずのうちに涙が出る、食欲不振、眠れない、疲れやすい、胃が痛い、吐き気がするなどの身体的なものが現れます。

 

これらの症状は医学的に言われる「適応障害」や「うつ病」の症状と似ており、程度がひどかったり生活に支障を来したりする場合は注意が必要です。

 

「適応障害」とは、特定の状況や出来事がその人にとって非常につらく耐え難い感覚を生み、うまく対処することができない結果、不安感や気分の落ち込み、イライラなどの症状が現れて社会生活に支障を来している状態のこと、「うつ病」とは、1日中気分が落ち込んでいる、何をしていても楽しくないなどの精神症状と、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が出現し、日常生活に大きな支障を来している状態のことを言います。

関連項目:適応障害(厚生労働省|e-ヘルスネット)

 

マリッジブルーになりやすい人


マリッジブルーが適応障害やうつ病に似ていると考えると、マリッジブルーになりやすいタイプの人には共通の特徴がみられます。

 

たとえば…

  • 環境の変化によるストレスや不安を感じやすい人
  • これまでに進学、就職、引越しといった環境が変化する場面で強いストレスや不安を感じた経験がある人
  • 結婚とは幸せでなければならないなどという漠然としたイメージが頭の中にあるが、忙しさや不安からそのように思えない自分を責めてしまう人

などです。

 

マリッジブルーの対処方法


自分自身がどのような場面でストレスや不安を感じやすいのか、感じたときにはどのような心身の変化がみられるのかなどを客観的に捉えて知っておくことで、これらの状況に自分なりに対処して負担を軽減できるとも考えられています。

 

楽しいと思っていたはずの結婚準備や新生活がストレスの原因になってしまい、それをうまく発散できない状態が継続すると、イライラが強くなりパートナーをはじめとした周囲の人に攻撃的になってしまったり、気持ちだけが焦り落ち着かなくなってしまったりします。そのような状態に耐えられなくなり今後の結婚生活に難しさを感じた結果婚約解消に至ったというケースもあるほどです。

 

 

 

【精神科医本山の豆知識】重大な決断は避けましょう!うつ病と視野狭窄

今回は『マリッジブルー』をテーマに取り上げました。『結婚』と聞くと幸福なイメージが先行しがちですが、実はストレス値結構高いんですよね。ストレス値から考えれば、適応障害に至ったとしても不思議ではありません。

【参考】

夏目誠(2008)出来事のストレス評価 精神神経学雑誌,110,182-188.

 

さて、今回の豆知識にてご紹介するのは『視野狭窄』(しやきょうさく)。マリッジブルーの果て、婚約解消や離婚といった重大な決断をするときにはちょっと待ちましょう、というお話です。

 

元々視野狭窄とは、緑内障などでみられる視野が狭くなる症状です。ストレスがかかったりうつ病になったりすると、柔軟な物の見方・考え方ができなくなるという症状が出現するのですが、この症状を心理的な視野狭窄と呼びます。

 

『もう仕事を辞めるしかない』としか考えられず退職してしまったり、場合によっては自死を選択してしまったり…。『異動を申し出る』『休暇を取得する』など選択肢はたくさんあるはずなのに、あれこれ考えるのが困難になってしまうんですよね。

 

コンディションが回復した後には『あの時は思い詰め過ぎていた』と振り返る方がほとんどです。『メンタルが落ちているときには重大な決断はせず先延ばしにする』。大切なセオリーですよ。

【参考】

【精神科医監修】認知の歪み?10パターンの考え方の癖を解説!

 

 

マリッジブルーで病院に行く!?


あなたの不調がマリッジブルーによるものであればいわゆる病気ではなく一過性の症状なので、転居や結婚の準備、結婚式など結婚に関連する一連のイベントが終われば気分が落ち着くと言われています。マリッジブルーそのものに対する明確な治療法はありませんが、準備や式が終わったにもかかわらず症状が改善しない際は「適応障害」や「うつ病」を疑い、専門的な治療を受けた方が良い場合もあります。

 

 

画像引用:株式会社サポートメンタルヘルスInstagram

 

マリッジブルーの解消法


原因にもよりますが、マリッジブルーかもしれないと感じたときには、パートナーとよく話し合い不安や不信な点を解消する、お互いの価値観や考え方の違いを伝え合うなど、気持ちを言葉にすることで対処する方法や、変化のスピードについていくのが大変なのであれば式場選び、両家顔合わせ、新居への引越しなどの予定を見直し、自分たちが納得しついていけるスケジュールにし負担を減らす方法などが考えられます。先に結婚している親しい友人や信頼できる先輩などに相談するのも良いですね。

 

いずれにしても「結婚=幸せでなければならない」「結婚したら○○しなければいけない」という固定観念にとらわれすぎず、無理のない余裕をもったスケジュールで物事を進めていくことが大切です。

 

【解説】

ふ~みん(公認心理師)

ストレスって人それぞれ。本当に難しいですよね。神戸市こころの健康センターさんのストレスマウンテン、わかりやすくストレスを理解できますよ!

ふ~みん記事一覧

 

【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/産業医/医療法人ラック理事長)

2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。

 

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