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精神科医監修|秘訣はオン・オフ!メンタルに良く効く休憩の過ごし方

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2022年5月13日

最終更新日 2022年7月16日

メンタルの安定に良く効く休憩の過ごし方を解説!

GWが終わり,日常生活が戻ってきましたね。すでにGWが恋しい反面,休みが長く続くと仕事モードに切り替えるのが大変だなと感じます。ちなみに土日祝が休日の場合,次の連休は2022年7/16(土),17(日),18(月)だそうです(待ち遠しいです…)。

 

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今回は臨床心理士・公認心理師である私盛光が“メンタルと休憩”について解説します。

 

皆さんは,仕事の時に休憩をどのようにとっていますか?

 

ご飯を食べる,職場の人とコミュニケーションをとる,スマホを触る,など様々かと思います。職種や仕事内容によっては,休憩をとりづらい,という方もいるかと思います。休憩中に電話がかかってきて対応したり,指示を受けて業務を行ったりする方もいるのではないでしょうか。

 

コロナ禍になり在宅ワークになった方も多いかと思います。あるアンケート調査では,「オンとオフの切り替えができない」と回答した人が73%,「ご飯をゆっくり食べる時間がない」と回答した人が40%という結果がでています。

【参考】

<調査>リモートワーク中は約6割の人がランチ休憩時間減少

 

そもそも休憩時間とは?

職場や人によって休憩時間って様々ですよね。

 

労働基準法によれば,労働者が休息のために労働から完全に解放されることを保証されている時間=休憩時間,だそうです。ちなみに,労働はしていなくても,電話,来客対応,上司からの指示があったときにすぐに取り掛かれる状態で待機している時間=手持時間といいます。

 

6時間を超える労働をした場合は,45分以上の休憩を取ること

8時間を超える労働をした場合は,1時間以上の休憩を取ること

労働者は休憩時間を自由に利用することができる

【引用】労働基準法|e―GOV

 

例えば9時-17時勤務の場合,少なくとも45分は仕事から完全に解放されている時間を取るように定められている,ということになります。

 

以上を踏まえて,皆さんの休憩時間,休憩の仕方はいかがでしょうか?

 

休憩とメンタルの関係~オン・オフが秘訣!~

では,なぜ休憩が必要なのでしょうか。

 

「え?だって休憩なしは疲れるから」と思った方,その通りです。スポーツや運動をする時,休憩なしでずっと動き続けたら体が疲れますよね。仕事も同じです。疲労した状態で仕事を続けても,パフォーマンスは下がる一方です。

 

ではなぜ疲れるのでしょうか。

 

それはオンとオフの切り替えがうまくいかないからです。先ほど挙げたアンケート調査でも出てきたワードですね。

 

ここで言う“オンとオフ”とは何なのかわかりますか?

 

それは,自律神経です。

 

自律神経とは…呼吸,血圧,消化など,体内の活動を調整している神経。自分の意思とは関係なく24時間働き続けています。

自律神経には2種類あり,体を活動モードにする「交感神経」,休息モードにする「副交感神経」があります。

「交感神経」…仕事や勉強の時,スポーツや試験などの勝負の時,交感神経が優位になって活動性を高める。=オンの状態

「副交感神経」…食事,睡眠,心身がリラックスしている時,副交感神経が優位になり,体を休めて回復させる。=オフの状態

 

状況に合わせて2つの神経のどちらかが優位になり身体の働きをコントロールしています。どちらも生きていくうえで欠かせないものです。

 

【引用】株式会社サポートメンタルヘルスInstagram

 

この2つの自律神経のバランス,すなわちオンとオフのバランスが崩れるとどうなるのでしょうか。

 

交感神経が優位な状態が続く=ずっと活動的な状態になります。体は休むことなく働き続け,疲労が蓄積されていきます。メンタル面でも,不調を感じやすくなります。保育士の休憩に関する論文では,休憩時間が15分以下の場合,情緒的消耗感をより強く感じるという研究結果があります。

【参考】

赤川陽子・木村直子(2019).保育士の職場ストレスに関する研究―休憩時間・持ち帰り仕事からの検討― 保育学研究,57,56―66.

 

休憩をしっかりとれないことが病気や休職に繋がることもあります。一見大げさなように見えますが,日々の蓄積は決して侮れません。

関連項目:自律神経失調症|厚生労働省e―ヘルスネット

自律神経のバランスが乱れることであらわれる症状を自律神経失調症と呼びます。

 

メンタル専門家おすすめ!上手な休憩の過ごし方

それでは,どのような休憩がよいのでしょうか。ポイントは先ほどの話の通り,オンとオフの切り替えです。オフ,すなわち副交感神経が優位になるような方法をいくつかご紹介します。

 

〇散歩

散歩は手軽にリフレッシュできる方法として人気なようです。

関連項目:【産業医時事ニュース解説】500人に聞く、在宅ワーク中のリフレッシュ方法ランキング

 

職場を離れて外の空気を吸いながら歩くことで,集中モードであるオンからリラックスモードであるオフに切り替えやすくなります。デスクワークなど,あまり体を動かさない職種の方にとっては,散歩をして体を動かすことで血行の促進が期待できます。

関連項目:【精神科医監修】散歩でメンタルケア!ストレス発散効果は?【ライフハック心理学#2】

 

臨床心理士の休日【散歩編】25㎞のスマホのスクリーンタイム

ZERO 1 ch|株式会社サポートメンタルヘルス公式YouTubeチャンネル

 

〇ストレッチ

散歩など外出が難しい場合でも取り組みやすい方法の一つがストレッチです。ゆっくり身体を伸ばすことで副交感神経が刺激され,リラックス効果が期待できます。“気持ちいい”と感じる程度の強さで行うことがポイントです。

 

手軽な方法なので,休憩中だけでなく仕事の合間でもこまめにオフに切り替えることができるとよいと思います。

【参考】

心とストレッチの意外な関係|こころの耳 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト

 

〇仮眠

毎日十分な睡眠時間を取れることが理想ですが,なかなかそうもいかないこともあるでしょう。一時的な寝不足や午後の眠気を軽減する方法として,仮眠は有効な方法だとされています。

 

時間は5~20分ほどがよいとされており,ほどよく仮眠を取ることで,頭がすっきりしその後の仕事の効率の改善に繋がります。逆に仮眠する時間が長すぎると,倦怠感,眠気,やる気の低下などに繋がるそうなので,ほどほどに。

 

〇自律訓練法

メンタル専門家として特におすすめしたいのが自律訓練法(じりつくんれんほう)。これは副交感神経にアプローチしてオフ状態を作り出す心理療法の一種です。心理療法と聞くと構えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、禁忌(きんき)と呼ばれる避けるべき条件を除けば安全性が確立されているアプローチなのでご安心を!

【参考】

自律訓練法とは|公認心理師がリラックス法を解説!

 

自律訓練法ベースのリラクゼーション法『ホットレ』をYouTubeにて解説しています!休憩時間にどうぞ!

【臨床心理士によるリラクゼーション】ホットレってなに?編

【臨床心理士によるリラクゼーション】ホットレやってみよう編

ZERO 1 ch【株式会社サポートメンタルヘルス公式ch】

 

メンタルに良く効く休憩の過ごし方まとめ

今回はメンタルに良く効く“上手な休憩の過ごし方”について解説しました。

 

今回ご紹介した休憩の過ごし方,働く環境や生活環境によってできることは様々だと思います。「自分の働き方だと〇〇ならできそうかな?」とお考えになるきっかけになれば幸いです。

 

ぜひ積極的にオンとオフの切り替えを行ってみてください!

 

【執筆】

盛光(公認心理師・臨床心理士)

思えば,お昼ご飯を取りながらスタッフ同士色々おしゃべりするのが一番気持ちのオンオフに効いていたかもしれません。コロナの収束が待ち遠しいです。

 

【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

 

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