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【医師監修】人事担当者が知っておきたい企業のメンタルヘルス対策

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2020年5月26日

更新:2020-07-25

<企業のメンタルヘルス対策と人事担当者の関係>

企業の生産性を向上・発展を考える際、人事担当の皆様は日々頭を抱えているのではないでしょうか。

「採用してもすぐ辞めてしまう」
「従業員の入れかわりが激しく、十分な人材育成に至らない」
「人手不足で業務が回らない、一人当たりの業務量が増えてしまう」

人事担当の方々を悩ませる問題の一つに、“人材定着”というテーマがあります。

人材定着は、メンタルヘルスの問題と密接な関係があります。

メンタルヘルスケアという観点から、会社のマネジメントを考えてみませんか?

 

<厚生労働省の統計データからひも解く企業のメンタルヘルス対策>

厚生労働省の統計データによると、

約20%の事業所(従業員が50名以上)で『メンタルヘルスの不調による休職者が2名以上いる』と回答している

そうです。

また、

約10%の事業所で、『メンタルヘルスの不調による退職者が2名以上いる』と回答

しています。

このように、メンタルヘルスの不調は、休職・退職率の増加を招く要因の一つだと言えます。

メンタルヘルスの不調は、防ぎようのない事象では決してなく、休職・退職を招く他の要因と比べ、事前に発見し予防しやすい要因です。

したがって、休職者、退職者の軽減を考える際、従業員のメンタルヘルスケアへの取り組みは非常に現実的かつ有用と考えられます。

メンタルヘルスケアを通じて人材定着を促すことで、人材の育成や、生産性の向上が可能となり、結果的に企業の発展にも繋がるわけです。

 

<厚生労働省のメンタルヘルスケア対策>

長くなりましたが、ここからはメンタルヘルスケアの大まかな枠組みについてお話をしていこうと思います。メンタルヘルスケアと聞くとみなさんは何を想像しますか?

メンタルヘルスケアとは、“メンタルヘルスに不調をきたしてからのケア”だけを指すものではありません。

企業におけるメンタルヘルスケアでは、どちらかというと“不調をきたすことを未然に防ぐ”“不調をきたさないような環境づくりをする”といった予防的アプローチに重点を置きます。

したがって、いま現在メンタルヘルス不調の従業員がいなくとも、メンタルヘルスケアを行う余地は十分にあるということです。

厚生労働省はメンタルヘルス指針をまとめています。

厚生労働省ホームページ

これは精神科や心療内科といった専門機関が直接行うのではなく、事業者が中心となって行う“予防的な取り組み”です。

メンタルヘルスケアにおける予防は大きく次の3段階に分かれます。

一次予防
メンタルヘルス不調者を未然に防ぐことを目指します。具体的には、ストレスチェックの実施、研修等がここに当てはまります。

二次予防
メンタルヘルス不調者の早期発見、早期対応を目指します。適切な相談・医療体制の整備等がここに当てはまります。

三次予防
メンタルヘルス不調となった従業員へのケア、再発予防により、問題の拡大を最小限にとどめることを目指します。復職支援等もここに含まれます。

また、継続的かつ計画的に行っていく必要があるメンタルヘルスケアとして、厚生労働省は次に記す“メンタルヘルスの4つのケア”を提唱しています。

【4つのケア】

①セルフケア
労働者自身がストレスやメンタルヘルスについて正しく理解し、自身のストレス状態に気付き、従業員自身が行う対処です。

②ラインによるケア
職場環境や部下の状態について事前に把握し、労働者からの相談を受けやすい環境を整えるなど、職場の管理監督者が主に行う対処です。

③事業場内産業保健スタッフによるケア
事業場内の産業医等産業保健スタッフが中心となり行われるメンタルヘルスケアです。

④事業場外資源によるケア
事業場以外の専門機関や専門家からのメンタルヘルスケアです。

 

“メンタルヘルスケア”とだけ聞くと、専門機関への受診や相談を想像されるかもしれませんが、上述のように企業内で行うことができるメンタルヘルスケアもたくさんあります。

むしろ予防的観点からすると、より従業員の身近な存在である企業内のメンタルヘルスケアが効力をもつと考えます。

<中小企業における具体的なメンタルヘルス対応の流れ>

では、メンタルヘルスケアの取り組みについて、具体的に触れていきましょう。

メンタルヘルスケアを推進するにあたっては、第一に、“正しい情報・知識”を管理担当者のみではなく、社員一人一人が獲得していく必要があります。

セルフケアはもちろんのこと、ラインによるケアにおいても“知ること”は必要不可欠です。

自身や部下・同僚の異変をいち早く察知し、適切な対応ができるよう、研修などを通してメンタルヘルスへの理解を深めることが有用でしょう。
上記のような個々人に対するアプローチに加え、組織=職場環境そのものへのアプローチも必要です。

ストレスチェックの施行により、職場環境における課題を明らかにし、その課題の改善を推進していくこともメンタルヘルスケアの一つです。

例えば職場内の相談・医療体制の整備(ラインによるケア)や、労務不能社員への対応、復職支援もこれに含まれます。

もちろんこれらのことを全て企業の管理担当の方が担うことは現実的に難しいでしょう。

産業医などの事業場内資源や、事業場外資源を有効に活用し、効率よくメンタルヘルスケアに取り組むことをお勧めします。

<ストレスチェック制度について>

企業のメンタルヘルスケアの一つとして、ストレスチェックというものがあります。

「そういえばなんかアンケートみたいなのを書いたな」
「聞いたことはあるけど、よく知らないな」

様々な方がいらっしゃるでしょう。

ストレスチェック制度とは、平成26年の労働安全衛生法の改訂により導入された制度であり、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する一次予防を目的としたものです。

現状労働者数が50人以上の企業には実施が義務付けられており、50人未満の企業では努力義務とされています。

具体的な内容としては、医師、保健師またはストレスチェック実施者研修修了者によって、労働者の心理的な負担の程度、ストレス状態を把握するための検査を実施します。

その検査結果に基づき、必要に応じて医師による面接指導を実施することが事業者に義務付けられています。

もちろん、ストレスチェックを受けた方に不利益が生じることはありませんが、医師との面談により、場合によっては就業上の配慮などが行なわれることもあります。

このように、ストレスチェックはメンタルヘルス不調をきたしている労働者をいち早く発見し、早期対応に繋ぐという働きがあります。

また、ストレスチェックの結果は労働者に直接通知されるため、労働者自身が自覚していなかった負担や不調に気づくきっかけとなります。

このようにセルフケアを促すという点でも、ストレスチェックの導入は多いに役立つでしょう。

 

ストレスチェック実施のメリットはこれだけではありません。

ストレスチェックの結果を集計・分析することで、職場環境の特性や、課題、改善点などが把握できます。

今ある資源をもとに、よりよい職場環境を構築していく手立てとして、ストレスチェックに基づいた職場環境・状況の分析は有用です。

 

株式会社サポートメンタルヘルスでは、ストレスチェックの実施、実施後の結果の集計・分析、関連する研修の開催など、御社のメンタルヘルスケアをワンストップでサポートいたします。

 

記事監修:本山真(精神科医師・医療法人ラック理事長)

執筆:akiko(公認心理師・臨床心理士)

 

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