ブログ

相談できないのがしんどいあなたへ|頼れない心理と苦しさを軽くする方法

タグ : ,

2025年12月26日

相談できないことでしんどくなる理由と、少しラクになるための心理学的ヒント

皆さんは、「誰かに相談したいのに、どう話せばいいかわからない」「思い切って話しても、うまく話せず余計につらくなる」というような経験をしたことはありませんか?「相談できない」「頼れない」という悩みは、決して珍しいものありません。

今回のコラムでは、相談が苦手な方の考え方や、どう考えると少し楽になれるのか、考えていこうと思います。

 

株式会社サポートメンタルヘルス公式LINE ID

メンタルヘルス情報配信中!友だち登録どうぞ!

 

「相談する」ことは難しい…


相談するのが難しい要因については以下のようなものが考えられます。

自己開示のハードル

心理学では、自分の気持ちや考えを他人に打ち明けることを「自己開示」といいます。自己開示は、人と親しくなるため、自分を知ってもらうためにある程度必要なものですが、失敗したときの恥ずかしさや、受け入れてもらえないのではないかという不安も伴います。

何かを相談するということは、「自分はここで詰まった」「これが難しいと感じている」というように、少なからず自分の弱みのようなものを相手に開示することになります。したがって、自分のポジティブな面を話すより、抵抗感が生まれやすいのでしょう。

援助要請の難しさ

「援助要請行動」(援助希求行動)とは、困ったときに誰かに助けを求めることを示します。心理学では大切なストレス対処法の一つとされています。

しかし、誰かに頼ってみたときに、思っていた反応が返ってこなかった経験が蓄積すると「どうせ言っても無駄」「また傷つくくらいなら頼らない」と考えやすくなり、次第に誰にも頼れなくなってしまいます。

なお、アメリカ人学生と日本の学生を比較した研究では、日本人学生はつらくても人に助けを求めることが苦手な傾向があるようです。周囲との協調性を重視するほど、自分が役に立っていないと感じやすくなり、援助要請を避ける傾向が強まってしまうのです。

 

相談してもモヤモヤはなぜ残るのか…


何かつらいことがあった時、自分だけでは解決できないことがあった時、勇気を出して誰かに相談してみたのにモヤモヤが残ることってありますよね。その理由は以下のようなことが考えられます。

話を整理できていない

相談したいことがあっても、自分自身が混乱したまま話していると、相手もどう答えていいか分からなくなってしまいます。

相手との相性が合わない

「あれがつらかったんだ~」と話した時、良かれと思ってアドバイスをしてくれる人もいますよね。それで助かる時もあれば、”ただ話を聞いてほしい!”と思っている時には「それは欲しい答えじゃない…」と感じてしまうかも。これは、相手との相性というより”相手とのタイミング”が近いかもしれません(関連項目:臨床心理士執筆【アドバイスの本質に迫る】言葉が届く瞬間とその裏側)。

 

相談しやすくするためにはどうすれば…


すぐに話し上手、伝え上手になるのは中々難しいことです。まずは自分の話し方の癖や、自分が欲していることを理解し、安心できる方法を見つけてみましょう。

話す前に頭を整理する

メモに一言で「何が一番困っているか」を書いたり、どうして困ったのか、話したいことを話す前に整理しておくと説明しやすくなるかもしれません。

相談する相手を選ぶ

例えば具体的なアドバイスが欲しい時には、相談したいことに詳しい人に相談した方が明確な答えが得られやすいです。逆に、話をただ聞いてほしい時は、聞き上手な人に相談するとこちらの気持ちを受け止めてくれるかもしれません。

相手との関係性にもよりますが、相談する時に「今日はアドバイスじゃなくて、気持ちを聞いてほしいんだよね」と最初に言うだけでも、自分の話の受け取られ方が変わり、相手の対応も変わってきます。

専門家に相談する

元々人に相談することが苦手だったり、周囲には中々相談できない悩みがある場合は、専門機関で話を聞いてもらうという手段もあります。お金がかかる方法ではありますが、話を聞く専門家であれば「安心して話せる場」を提供してくれます。周囲に相談できず、他の発散方法もなく、悩みやストレスが溜まり続けている場合は、活用してみても良いかもしれません(参考:現役心理職が解説|心の資格【公認心理師・臨床心理士】を紹介)。

 

参考文献


  • 大平祐布・茅野理恵(2024)日米の大学生における援助要請行動の差異―文化的自己感に焦点を当てて― 信州心理臨床紀要(23)
  • 松井三枝(1985)自己開示と精神健康の関係 金沢大学臨床心理学研究室紀要(42)12

 

【監修】

本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

執筆】

ぶち(臨床心理士・公認心理師)

相談しないことでストレスが慢性化すると、不眠や体調不良、抑うつ気分などにつながる場合もあります。いっぱいいっぱいになる前に、悩みやモヤモヤを少しずつ外に出すことが心と体を守る第一歩になります。

「相談してもどうせ上手くいかない…」と諦めるのではなく、まずは「どうすれば少し楽に頼れるか」を考えてみてはいかがでしょうか。

ぶちコラム一覧

 

関連記事