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【産業医監修】「これだから若者は」じゃ進展せず【時事ニュース解説】

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2021年8月16日

最終更新日 2021年9月3日

「これだから若者は」じゃ進展せず パワハラと指導の境界線とは?

2021年8月16日付Yahoo!ニュース

「これだから若者は」じゃ進展せず オジサン社員と若者社員、心のスキマを埋めるには?

 

【ニュース概要】

  • 若者の働く意識は年々変化
  • 価値観の違いを受け入れた関わりが必要
  • 適切な指導であればパワハラ非該当

 

 

若者の働く意識とは

記事内で触れられている公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会が2019年度に公表した『働くことの意識調査』、目を通してみたところ興味深い内容だったのでご紹介します。

 

 

調査は新社会人研修村に参加した企業の新入社員を対象に実施、働く目的・働き方・仕事中心か(私)生活中心かなどなど、様々な角度から“働くことの意識”をリサーチしています。

 

働く目的として、『楽しい生活をしたい』、『経済的に豊かになる』は年々上昇しています。一方、『自分の能力を試す』は年々減少、『社会に役立つ』は最も低い割合を横ばいで推移しています。

 

 

2000年以降、『人並み以上』、『人並みで十分』の入れ替わりを繰り返していた働き方は、2013年より『人並みで十分』が上昇、2019年度調査では過去最高の開きを更新しています。

 

仕事中心か(私)生活中心かという質問については、両立が高い水準をキープ。両者を比較してみると、ここ数年(私)生活中心が増加を続けています。

 

また、『若いうちは進んで苦労をすべき』が『好んで苦労することはない』に圧倒的な差をつけていた2012年を最後に、前者は減少、後者は増加を続けており、2019年度調査で両者の差は過去最少となったそうです。

 

【参考】

平成31年度 新入社員「働くことの意識」調査結果|公益財団法人日本生産性本部

 

価値観の違いと法律を理解した指導

“オジサン社員と若者社員”(記事内の表現を拝借)。価値観は世相の影響を多分に受けるのでしょうから、世代ごとにズレが生じて当然ではありますよね。

 

「俺の時代はこうだった」や、「まったく最近の子は」といった言葉の根底にある世代間ギャップは、職場において永遠のテーマであることを理解した上で、価値観の違いを受け入れる必要があるのです。

記事引用

 

少子高齢化の影響により、労働人口の減少は避けられない未来です。あらゆる企業にとって、人材確保・人材定着がテーマとなる時代が必ずやってきます。『最近の若い者は…』といった世代間ギャップで完結させるのではなく、最近の若者の価値観をキャッチしたうえで、若者に選ばれる組織を構築していく必要があるわけです。

 

ちなみに『選ばれる組織』とは単に自由な職場というわけではないでしょう。事実、先の調査によれば、若者の昇進志向として、専門職<スペシャリスト>への昇進が最上位でした。専門職としてのスキルを身につけるためには適切な指導が必須ですよね。では適切な指導とは何でしょう。

 

これからの社会においては、世代間ギャップを理解した指導に加え、法律(パワハラ防止法)を理解した指導が必須となります。労働施策総合推進法法改正(パワハラ防止法)により大企業はすでにハラスメント対策が義務化されていますが、現在努力義務扱いである中小企業も2022年4月からは義務化扱いとなります。

 

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厚生労働省によれば、パワハラは次のように定義されています。

パワーハラスメントとは

  1. 優越的な関係を背景とした
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により
  3. 就業環境を害すること(身体的もしくは精神的な苦痛を与えること)

この3つすべてを満たすもの

引用:『パワーハラスメントの定義について』(厚生労働省)

 

若者のために行なった指導が価値観の違いから反発に…。

若者のキャリアを意識した指導がハラスメント扱いに…。

 

双方にとって不幸な結果にならないよう、そして何より若者に選ばれる魅力的な職場作りのために、各種情報をアップデートしていく必要があるんでしょうね。

 

 

【参考】

【2021年最新版】産業医執筆:ハラスメント対策まとめ【義務化≒罰則】

【産業医監修】データから考えるパワハラ防止法【義務と罰則】

【安心できる職場作り】ハラスメント対策の必要性・重要性|公認心理師執筆

 

【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

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