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タグ : ふ~みん(公認心理師) , ハラスメント対策 , 産業精神保健
2024年11月1日
最終更新日 2024年11月5日
2020年6月に施行された改正パワハラ防止法が2022年4月には中小企業でも義務化され、パワハラに限らず昨今ハラスメントは深刻な社会問題になっています。そもそもハラスメントとは、相手が嫌がることをして不快感を与える行為全般のことを指し、パワハラ(パワーハラスメント)、セクハラ(セクシャルハラスメント)、カスハラ(カスタマーハラスメント)、マタハラ(マタニティハラスメント)など、現代では様々な種類のものがあふれています(参考:メンタル産業医監修|ハラスメントとは何か?定義や種類、対策について解説)。
そんなハラスメント中で今回取り上げるのはモラハラです。
株式会社サポートメンタルヘルスは”働く人を応援するメンタルクリニック”を運営する医療法人が母体です。医療機関におけるメンタルヘルス対策のノウハウを以て、全国の中小企業をサポートいたします。 株式会社サポートメンタルヘルスでは、メンタルヘルス専門職による”中小企業のメンタルヘルス対策個別無料相談会”(web開催、日時は応相談)を実施しております。従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの経営者様、人事ご担当者様、まずはお問い合わせフォームよりお申し込みください。
【監修】 本山真 株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役 日本医師会認定産業医/精神保健指定医 医療法人ラック理事長/宮原メンタルクリニック院長 【執筆】 ふ~みん(公認心理師) |
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モラハラはモラルハラスメントの略で、言葉や態度で他者を不安にさせたり、精神的なダメージを与えたりする行為のことを言います。職場だけではなく家庭や学校でも起こりうる可能性のある、対人関係の中で起こるハラスメントです。厚生労働省によると「労働者の権利及び尊厳を侵害し身体的若しくは精神的健康を損なわしめ、又はその職業的将来を危うくさせるおそれのある、労働条件の毀損を目的とし、又はそのような結果をもたらす精神的ハラスメントの反復した行為」と定義されています。
言葉、態度、文書、メール等、種類を問わずいわゆる嫌がらせだと受け取れる行為がモラハラにあたります。
例えば、人格を否定するような発言(本人に対してバカ、アホと言う、周囲の職員に対してあんなやつと関わるなと言う等)、正当な理由なく担当を外す、会話や必要な連絡を無視する、仕事を与えず雑用を押し付けるなど、主に暴力を伴わない行為です。
このような言動は職場の雰囲気を悪くするだけでなく、対象者を精神的な不調に追い込み、休職や退職せざるを得ない状況に陥れることもあります。パワハラと違い立場上の関係性は問わないため、だれもが加害者、被害者になる可能性があるのがモラハラです。就業規則に懲戒処分の対象となる行為として規定されている場合もありますから、一度ご自身の職場の就業規則を確認しておくと良いかもしれません。
上述したように、モラハラは上司と部下など立場上の関係性を要件とはしないため、家庭や学校でも起こり得るとされています。職場の場合は同僚や従業員同士、先輩・後輩間でもハラスメントにあたる行為が認められれば、就業規則にのっとり処分の対象となるでしょう。一方でパワハラはその名の通り上下関係や力関係といった優越的な関係を背景として行われるもののことを指します(①)。しかし、背景だけが重要視されるわけではありません。その他に、②業務の適正な範囲を超えて行われること、③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること又は就業環境を害すること、①~③のすべての要素が満たされたとき、パワハラとして認定されるのです。
つまり、業務上必要な範囲の指導や指示については該当しないことと解釈されます。とは言えアドバイスや指導とモラハラの境界線は目に見えるものではないので、気付かれにくく自分ひとりで抱え込んでしまうケースが多いのが実情です。
家庭においても、夫婦はお互いに言いたいことを言いやすい場合が多いのでエスカレートし、否定的な言葉を浴びせ続けた結果、相手が精神疾患を発症し関係性がこじれてしまうといった事例も近年出てきているようです。
できることならモラハラとは無縁の環境で過ごしたいと誰もが思うことでしょう。無意識に加害者・被害者にならないために、日頃から自分の価値観や性格を把握しておくとちょっとした感情の揺れにも気付くことができます。また、他者の考えや視点を尊重する姿勢も大事です。自分と違う意見や視点に対して排除・攻撃しようとするのではなく受け入れる、また受け入れられなくても理解しようと心がけることで対人関係は円滑になります。
しかし、これらは自分自身に余裕がなければなかなかできませんし、相手に対する不信感や不安感がある場合もおそらく難しいと考えられます。自分の振る舞いや発言はどのような印象を与えたのか、相談できる人がいるのであれば客観的な意見を求めて振り返ってみるのも有効です。
自分が被害を受けていると認識するのが第一歩です。そのうえで、加害者との接触を避け距離をとる、1対1になる状況を作らず常に周囲の目があるところで会話ややり取りを行う等、できる対応から実践していきましょう。もちろん、職場に相談窓口があるのでしたらためらわずに利用することをおすすめします。しかし、職場が閉鎖的で相談できるような環境にないのであれば、労働基準監督署や弁護士も相談先になると覚えておくと役立つかもしれません。
自分自身の負担やダメージを考えるとなるべく事を荒立てずに解決したいのですが、不当解雇や賃金未払い、侮辱や名誉棄損などで法的責任を問えるケースもありますので、後々相談や法的措置を検討する状況になったときに備え、メモやメール、音声等証拠として残しておけるものを保存しておくこともお忘れなく。
職場や環境を変えることでつらさが軽減する可能性はありますが、うつ状態になり判断力や思考力が低下しているときに大きな決断をしたり先のことを深く考えずに行動したりするのは高いリスクが伴います。眠れない、ちょっとしたことで感情が乱れる、何もやる気になれないし食事もおいしく感じない等、いつもの自分と違う…と感じるときには心療内科・精神科を受診し、まずはご自身の状態を把握しましょう。そして、最適な選択ができるよう、現状と今後について医師に相談してみると良いアドバイスを得られるかもしれません。