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タグ : ぶち(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス
2024年2月9日
最終更新日 2024年8月2日
みなさん、規則正しい生活できてますか?忙しい生活の中でも食事はしっかりと摂れているでしょうか。特に若い人は食べることへの関心が下がっていると言われています。
このブログを読んでくださっている方の中にも、朝食を取らなかったりお昼を軽食で済ませたりしている方はいらっしゃいませんか?お仕事で忙しくて食事の時間が満足に取れないことや、食事より睡眠時間を優先したいなど、食事を摂れない理由は様々だと思います。また、時間的に余裕があっても、一人だと食欲がわかなかったり、食事が面倒に感じたりする方はいらっしゃいませんか?
食事には栄養をとるだけでなく人とのコミュニケーションを取る機能があるんです。そこで今回は誰かと一緒に食事をとること”共食”についてお話ししようと思います。
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皆さんは食育などで用いられる「共食」「孤食」という言葉をご存知でしょうか。小学校のころに聞いたという方もいらっしゃるかもしれませんが、共食は家族や友人などと一緒に食事をとること、孤食は家族が異なる時間にそれぞれで食事を摂る、または一人暮らしの人が一人で食事を摂ることを言います。
一緒に暮らす家族との生活リズムが異なっていたり、そもそも一人暮らしをしていたりすると、誰かと食事を摂るにはその相手に連絡をして予定を立てなければならず面倒に感じることもあるかもしれません。そのため孤食にメリットを感じる方もいらっしゃると思います。
予定を合わせる面倒さ以外に筆者が思いつくことだと、食べにくいものを食べる時に相手を気にしなくて良いとか、食べるペースを気にしなくていいとかですかね…。やはり相手がいることなので、自分のことだけを考えてはいられず面倒だと感じることもあるかもしれませんね。
一方で、お仕事が忙しかったり日々の生活に追われていたりすると、食べたいものがあっても休日に出かける気になれないことありませんか?そんな時に出かける意欲をわかせてくれるのが、一緒に食べる相手なのかもしれません。
誰かと一緒に食事をとる【共食】には様々な機能・メリットがあります。
まずは、誰かと一緒に食事すると食べ物がよりおいしく感じると言われています。坂井・松井(2010)の研究では、お菓子を実験室の中で一人で食べるよりも実験室の外で誰かと一緒に食べる方がおいしさが上昇すると示されています。食べる環境の影響も受けることが示唆されていますが、誰かと食べることで味の感想などを共有でき、おいしさも感じ取りやすくなるなるのではないかと思います。おいしく食事を摂れるようになれば、食事自体に楽しみも生まれるので億劫になることは減るのではないでしょうか。
次に、誰かと一緒に食事をするとその相手とのコミュニケーションが生まれます。例えば職場で同僚と食事をしているとき、業務時間内の会議で意見を出し合うときとは異なり、お互いに意見を言いやすくなりませんか?(仕事の会話ばかりしているわけではないと思いますが…)
藤原(2023)の研究では、問題の解決案について話し合う際に共食をしたグループは、共食せずに話し合ったグループと比べて「応答」が増えてより新しく面白い案が生まれたという結果が得られています。ちなみに共食せずに話し合ったグループでは「アイディアの提示」が増えたそうです。このように、お仕事の場合は仲間と食事を摂ることでよりコミュニケーションも促進されるようです。
そして、家族や友人との共食では、日常的な出来事の話をしたり何か相談したり、食べるだけではないコミュニケーションの機能がありますよね。しかし、コロナ禍では誰かと食事を摂ることはもちろん、会うことすら難しくなっていました。
そんな中、海和(2023)の研究では、孤食、共食、オンラインで誰かと食事の3つの場面で食事の満足度やおいしさを比較したところ、共食、オンラインで誰かと食事、孤食の順に得点が下がっていくことが示されました。また、鎌田ら(2023)の研究でも同様に孤食、対面での共食、オンラインでの共食で比較し、対面の場合はネガティブな気分が改善したこと、オンラインの場合は落込み状態が軽減したことが示されています。
これらの研究からも分かるように、友人などと一緒に食事をすると、食べ物自体のおいしさも上がり、気分もポジティブになっていきます。そして家族との食事は、特に子どもにとって規則正しい食生活を送る習慣を身に付け、必要な栄養をバランスよく摂るために大切だと言われています。
参考文献
【解説】 ぶち(公認心理師) 最近はコロナによる共食の規制が緩和され、以前ほど気にせず誰かと食事を摂りやすい状況になりましたが、コロナと関係なく孤食をしている方もまだまだいらっしゃると思います。 一人で食べる方が気楽という方、あるいはそういう気分の時はあると思いますが、食事を摂るのが億劫に感じたり、食べ物がおいしいと感じない…といったときには誰かと一緒に食事してみてください。
【監修】 本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長) 2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。 |