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タグ : メンタルヘルス , 久野(公認心理師・臨床心理士)
2023年4月7日
最終更新日 2023年9月1日
『ストレスに強い』と聞いて皆さんはどんなイメージをお持ちになりますか?
―ストレス解消を上手にできる
―ストレス状況下にて適切な対処を選択できる
―ストレスでダメージを受けても何度でも立ち上がることができる
いずれもストレス耐性を研究する領域にてストレスへの強さとして取り扱われる考え方であり現実的な視点だと言えます。
非常に過酷でストレスフルな状況においても活き活きとしている人。(自分がそうなりたいのかどうかは置いておいて)『あの人ストレスに強いよなあ』と感じますよね。今回のテーマは字義通りストレスに強い性格特性である『ハーディネス』。ストレスへの直接的な防御力が高い性格特性として知られています。
ハーディネスとは何か?ハーディネスを高めるにはどうしたらよいか?気になるポイントについて解説します。
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ハーディネスはストレスフルな状況においても健康な状態を維持している人に共通する性格特性として研究され始めました。ハーディネスは端的に『ストレスに対する圧倒的な防御力』だと言えます。ストレス状況下において問題解決に取り組む対処方略を積極的に選択することが明らかになっているハーディネス。『攻撃は最大の防御』を地で行くタイプだと言えるかもしれません。
※ちなみに、ハーディネスは性格特性として取り扱われているため、ハーディネス傾向が高い/傾向が低いといった使い方をします
ハーディネスはコミットメント(Commitment)、コントロール(Control)、チャレンジ(Challenge)の3要素で構成されることが確認されています。
なお、(調査結果としては一致していませんが)3要素の内どれか一つだけが高い状態というのはむしろ脆い状態であり、ハーディネスが防御力を存分に発揮するためには、3要素全て高い水準である必要があります。ハーディネスを構成する3要素全てが高い傾向にある人は、ストレス状況において所謂ポジティブシンキングを行なう、ストレス因そのものへとアプローチをかけるといった対処方法を多く採用しており、ストレス反応軽減の可能性があるようです。
いかがでしょう?
過酷な状況下でも健康を維持している人に共通する特性をまとめた概念ですから当然と言えば当然ですが、非常にマッチョな印象を持つのは私だけでしょうか…。
ストレスに対し圧倒的な防御力を誇るハーディネス。高める方法があるのか気になる方もいらっしゃるでしょう。
あるんです!
ハーディネスを構成する3要素については、基本的には幼少期より継続する親子関係の中で発達していくものだとされます。成人期におけるコミットメント、コントロール、チャレンジにつながる経験を、育児の中で養育者がいかに提供するかという視点で整理されています。
ハーディネスを高めたいと考えてらっしゃる方はがっくりしてしまうかもしれません…。ご安心ください。ハーディネスは成人になってからも変容可能だと考えられています。例えばコミットメントは、人生において重要なネガティブな出来事を克服することで高められるようです。逆境を乗り越えると強くなる。少年漫画の主人公の世界観ですね。
ちなみに、ハーディネスそのものを高める方法として、”状況の再構築”、”フォーカシング”、”補強的自己改善”といった3つのアプローチを用いるトレーニングが提唱された歴史もあります。その後、上記アプローチはハーディートレーニング(Hardie Training)として体系化されているようですが、その効果について統計的手続きを踏まえて評価している調査は未だないようです。メンタルを鍛えることを目的とした直接的なアプローチだと言えるかもしれません。
最近の傾向には疎くなってしまいましたが、昔は少年漫画雑誌それぞれにキャラクターがありました。努力・気合・根性がベースとなった雑誌もあれば、苦境をコミカルに表現する雑誌もありましたし、泥臭さを感じさせない軽やかな雑誌もありました(あくまで私見です)。
それぞれの雑誌を象徴する価値観に対し、どの雑誌を好んで購読するかは我々ユーザーに委ねられていました。ストレス対処についても同様、ストレス状況下においていかに振る舞いたいかについて優劣や是非はありません。ご自身の価値観に基づいてアプローチを選択すれば良いと思うのです。
―ストレス対処には○○しかない
―ストレス対処には○○こそ効果的
ストレス状況をいかに乗り越えていくかという切迫した状況にある人に対して、決して優しい選択肢ではありません。
今回ご紹介した『ハーディネス』に魅せられる方多いかもしれませんが、決して『ストレスに強い』という評価を一義的に捉えることのないようにご注意ください。絶望的な苦境を圧倒的なアイデアで凌ぐキャラクターや、しなやかにかわすキャラクター、楽観的にギャグに落とし込むキャラクター、マッチョにパワーで押し切るキャラクター。それぞれが魅力的なキャラクターであったと思います。ストレスへの構えも人それぞれで良いんです。
【参考】
参考文献
【監修】 本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長) |