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精神科医監修:ストレスはメンタル不調の原因なのか?

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2022年7月1日

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最終更新日 2022年7月28日

ストレスってメンタル不調の原因なの?精神科医監修ブログ

弊社は『メンタルヘルスをもっと身近に』をテーマに種々の情報を発信しています。メンタルヘルスに関する情報発信って、正しくあろうとすればするほど『○○をしないと△△になっちゃいますよ』、『●●にならないために▲▲をしましょう』といった不安商法的なアプローチになりがちなんですよね。

 

具体的にフレーズを当てはめれば…『ストレス解消をしないとメンタル不調になっちゃいますよ』、『メンタル不調にならないためにストレス解消をしましょう』という感じですね。

 

事例に携われば携わるほど、『あの時○○をしておけばもっと軽症で済んだのに』、『●●を取り入れておいたおかげで重症化を避けられた』という思いが蓄積されていくのも事実。自覚的な不安商法は以ての外ですが、“思いが溢れて不安商法”というケースはある程度存在するような気がします。

 

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ストレスはメンタル不調の原因?ストレッサーとメンタルヘルス

わかりやすく伝えようとする思いが、結果的に誤解を招いてしまうというケースも世に溢れている気がしますね。世間的に誤解されているケースの一つが『ストレスがメンタル不調の原因』モデルかと思います。この場合、ストレスは心理的なストレス(より厳密に言えば心理・社会的ストレッサー)を指すのが一般的です。

 

ストレッサーとはストレス反応の引き金となる刺激を指します。イライラや落ち込みといったメンタルの反応から、動悸や息切れ、頭痛や胃痛、腰痛といった身体反応まで、ストレス反応は多岐に渡ります。

関連項目:【ストレスってなに?】ストレスとの上手な付き合い方

 

つまり、例えば『何の病気でもないのに頭痛がする。思い当たる(心理・社会的)ストレッサーはないのに…』。そんなときには生活上に何らかのストレッサーが存在している可能性があるわけです。

 

そうです。ストレス反応の引き金となるストレッサーは心理・社会的ストレッサーだけではないんです。

 

  • 心理・社会的ストレッサー(人間関係、仕事、学校、家庭など)
  • 物理的ストレッサー(温度、騒音、人混みなど)
  • 化学的ストレッサー(薬物、アルコール、煙草、酸素欠乏など)
  • 生物的ストレッサー(ウイルス、花粉、細菌など)

 

世に広まっている『ストレスがメンタル不調の原因』モデルは、心理・社会的ストレッサーによってメンタル不調が出現する(場合によっては精神疾患を発症する)という直線的なモデルかと理解しています。

 

心理・社会的ストレッサーに加え、物理的・化学的なストレッサーが存在する。それだけで直線的で単純なものではなさそうだなと理解していただけるかと思います。実際、季節の変わり目など気温や気圧の変化で不調を自覚してらっしゃる方、少なくないと思います。

関連項目:【精神科医監修】天気がメンタルヘルスに影響するって知ってました?

 

暑さ、寒さで何だか調子がすぐれない。それは気のせいではなく、身体が気温をストレッサーとして知覚しストレス反応を発出しているのかもしれません。ストレッサーは都合よく(?)単一で存在してくれるわけではありませんから、“細菌性の風邪をひいている暑い日に上司から叱責される”といった複合的なストレッサーによるストレス反応だってあるわけです。単純化には限界がありますよね。

 

ストレッサーとストレス反応の関係

 

そもそも論として、『メンタル不調』が『ストレス反応』なのだとすれば、ストレッサーによってストレス反応が生じるのは当たり前だとも言えます(ストレッサー、ストレス反応とはそういう定義なので)。

【参考】

ストレスとは|こころの耳(厚生労働省)

 

ストレスはメンタル不調の原因?ストレスと精神疾患

では『メンタル不調』が『精神疾患』を指すとするのであればどうでしょう。『ストレッサーが精神疾患の原因』。何かそれっぽいですよね。意外かもしれませんが、DSM-5(アメリカ精神医学会発行の精神疾患診断基準)において、明確に心理・社会的ストレッサーを原因だとしている精神疾患は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、適応障害くらいのものなんです(これも定義の話なのでそもそも論ではありますが)。

【参考】

PTSD|こころの病気を知る(厚生労働省)

PTSD / 心的外傷後ストレス障害|e-ヘルスネット(厚生労働省)

 

この辺りは一卵性双生児研究を通じてストレス脆弱性モデルとして整理されています。まったく同じ遺伝子情報を持っていて、ほぼ同様の生活環境下(ストレッサー下)においても、2人とも精神疾患を発症するパーセンテージは50%、つまり広義のストレスがメンタル不調の直接的な原因とは言えない、というモデルです。

 

(鶏が先か、卵が先か理論のジレンマに陥る話ではありますが)多くの精神疾患はモノアミン仮説に基づき、薬物療法が支持されています。これはセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンといったモノアミンが不足ないし過剰であるため精神疾患が生じるというモデルです。お薬に反応する精神疾患もあればそうでない精神疾患もあったり、同じ精神疾患であっても薬物療法の効果が見られない事例もあったりで、モノアミン仮説をもってしてもすべての事例が説明できるわけではありません。また、モノアミンがなぜ不足するのか・または過剰放出されるのかについても、全ての事例を説明しきる仮説は存在しません。

 

結局ストレスはメンタル不調の原因なのか

とまあこのように正しく説明しようとすればするほど話は複雑になり、わかりづらくなるわけです…。とは言え簡略化したモデルに付記を加えまくるというのもナンセンスですよね。

 

そもそも論に立ち返りましょう。メンタルヘルスに関する説明をわかりやすくすることの目的って何でしょう。端的に言えば『メンタルヘルスに対する気持ちのうえでの障壁を取り除く』ってことだと思います。未知のものを複雑に説明されたら、心理的な距離って広がりますよね。わかりやすさって何といっても取っつきやすいですもんね。

 

 

(論がグルグルしますが)とは言え、わかりやすさゆえ誤解を生んだら本末転倒なわけです。誤解に基づいて障壁を取り除いたとしても、それは本来的な障壁を取り除くこととイコールではないですからね。

 

正しい情報発信とわかりやすさは共存しうると思います。具体的な方法論は手探りではありますが、あらゆるコンテンツにおいてチャレンジしていく所存です。どうぞ末永くお付き合いください。

 

【執筆】

久野(公認心理師・臨床心理士)

仕事の忙しさを理由に随分歯科医受診をさぼっておりました…。先日、歯の痛みをきっかけに久々に受診したところ長らくのケア不足が発覚。歯科医の先生に『痛みはきっと、自分のことをもっとケアしなさいっていうサインだったんでしょうね』とお話しいただきました。いや実にしっくりきました。これまでよりも歯磨きの時間や機会を増やすように心がけていますが、自分をケアするために費やしている時間と考えるとメンタルにも好影響があります。素敵な一言でした。

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【監修】

本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医)

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