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【公認心理師執筆】カウンセリングサービスの予防的な活用

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2020年7月25日

【投稿】2020-07-25

【更新】2020-10-05

カウンセリングのことを知って予防的に活用してみませんか?

以前のブログ記事では、大まかに4つの観点から予防的アプローチについてお話させていただきました。

今回は、予防的アプローチのツールとしてのカウンセリングの活用方法について、実際の活用例も交えてお話をさせていただきたいと思います。

<カウンセリングとは~カウンセリングの定義、方法・手法、料金~>

みなさんはカウンセリングに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

「お悩み相談」

「人には言えないような重い相談」

「自分の辛かった過去を根ほり葉ほり聞かれる」

「うさんくさい」…。

 

さて、カウンセリングでは一体何をするのでしょうか。

カウンセリングの定義としては、心理学辞典にて次のように紹介されています。

 

①適応上の問題を理解し、解決することができるように、他の人がその援助につとめるというような関係。

②自分一人では拮抗できない問題で悩まされている個人と、訓練と経験とによって、他人に個人的障害の解決が可能となるように援助できる資格をそなえた専門家との間の一対一の関係において生起する過程。

③二人の人の間の社会学習の相互作用。 その方法・目的は単純な忠告という極から強い長期の心理学的処置という他の極までひろがる。

出典:心理学辞典(有斐閣)

 

…さらによくわからなくなってきましたね。

 

“カウンセリング“と調べると、○○カウンセリングや○○カウンセラーなど、多岐にわたる結果が出てくると思います。

そうなんです、カウンセリングとは、具体的に「こういうものだ!」「こういうことを扱わねばならない!」といった明確な決まりはありません(学派によっては、カウンセリングの位置づけや基本的なシステム、方法、技法等は多少異なります。このあたりについては今後別の記事でまとめようと思っています)。

 

カウンセリングの綴り(スペル)はCounseling、助言・相談を意味するCounselの現在分詞です。

つまり、カウンセリングとは広義で言えば相談を指します。

 

カウンセリングを簡単にまとめてしまうと、”困ったことなどを、人に話してみる/相談してみる“ということになります。

日常生活における友人や家族への相談と異なる点としては、臨床心理士等の専門的な資格を有するカウンセラーに話す点、時間や料金等の規約が設けられている点です。

 

カウンセリングは年々裾野を広げており実に様々な機関で導入されています。

その方法・手法も様々で、

  • 実際に対面して実施
  • プレイセラピーと呼ばれる遊びを通じた実施
  • 電話・メール相談

近年は、インターネット、スカイプを活用したwebカウンセリング、遠隔カウンセリング、オンラインカウンセリングサービスも一般的になってきました。

SNSを活用したLINE相談もあるようです。

 

それではカウンセリングを実施するカウンセラーとはどういった存在なのでしょうか。

端的に言えば“カウンセリングを実施する人のことを総称してカウンセラー”と呼びます。

泳ぐ(swim)人をスイマー、教える(teach)人をティーチャーと呼ぶのと仕組みは同じですね。

 

世の中には、カウンセラーに関する多くの資格がありますが、現状カウンセリングを実施したりカウンセラーを名乗ったりするために必要な資格・免許に関する決まりはほぼありません。

*医療機関における保険診療には資格要件が定められているものもあります。

 

臨床心理士という資格はカウンセラーの資格として比較的ポピュラーな資格だと言えるかもしれません。

近年の動向としては、2017年に日本初の心に関する国家資格である公認心理師がスタートしました!

 

カウンセラーは、訓練・トレーニング段階において、カウンセラーの基本姿勢(基本的態度)を身につけます。

日本では、傾聴・共感的理解といったカールロジャーズ(ロジャース)によるカウンセリング理論を援用し基本姿勢とする考えが多いようです。

話を聞く人、と言うと技法やテクニックに関心が向きがちですが、そこは仏作って魂入れず。

実際にカウンセラーとして勤務しているカウンセラーの皆さんも日々自己点検をしているのではないでしょうか。

 

カウンセリングの料金としては、教育現場、行政機関であれば学校単位、行政単位での契約となるため、学生、住民の方の自己負担は発生しないことがほとんどです。

医療機関や開業カウンセリング機関では有料であることが多く、その場合は1回50分、数千円~1万円あたりが相場のようです。

 

「カウンセリングって何を話せばいいの?」

・・・・・・人によっては冒頭に挙げたようないわゆる「重い相談、大切な話」をカウンセリングで扱うこともあります。特に精神科・心療内科で働いていると、様々なケースに遭遇します。

 

<カウンセリングにおける代表的な相談内容例>

  • 性格について
  • 幼少期から続く困りごとについて
  • 職場環境について
  • 人間関係について
  • 夫婦関係について
  • モラハラ、セクハラ、パワハラなどハラスメントについて
  • 将来、将来の夢について
  • キャリアについて
  • うつっぽい
  • 眠れない/寝すぎてしまう
  • 食べられない/食べ過ぎてしまう
  • 勉強、仕事ができない

などなど

 

なお、上記は相談例であり、相談例のような話しかしてはいけない、「深刻な話しかしてはいけない」といった決まりは一切ありません。

あくまでも弊社の方針、考え方ではありますが、むしろもっと気軽に、例えば仕事終わりのマッサージのように日々のメンテナンスとして、フランクにカウンセリングをご利用して頂きたいと思っていますし、何より、ご利用される方のご希望・ニーズに応じたカウンセリングを行うことを目指しています。

 

些細なことでも構いません。

当然、冒頭に挙げたようなお困りごとでも構いません。

 

<予防的なアプローチとしてのカウンセリング>

困り事や悩みには、確かに大小があるものかもしれません。

しかし、積羽船を沈むとは言ったもので、些細だと感じている困り事や悩みでも、積もり積もって大きな問題へと発展するのです。

以前のブログ記事でも述べたように、産業領域でのメンタルヘルスケアでは予防が要です。

「小さな問題」のうちに対処し、「大きな問題」への発展を食い止めるための予防的アプローチのツールとして、カウンセリングをご活用いただければと思います。

実際に働く人々がカウンセリングをどのように活用しているのか、架空事例を通じてイメージしてみてください。

 

【Aさんのケース:スムーズな入職を目指したカウンセリング】

Aさんは業務量の多さ、業務に対するプレッシャーにより、毎日気持ちが落ち込み、ついに出社できなくなってしまいました。

心療内科を受診したところ、休養が必要と診断されたため、これを機に退職することを決意しました。

退職後、自宅療養、定期的な通院・服薬により、気持ちの落ち込みは改善していきました。

「主治医からもまた働き始めて大丈夫と言われたし、そろそろ仕事を始めようかな。」

Aさんは通院をしながら、転職活動をし、無事就職先が決まりました。

初出勤の日が近づくにつれて、「また前の職場の時のように精神的に参ってしまったらどうしよう」というAさんの不安はどんどん大きくなっていきます。

診察の際に主治医に相談したところ、カウンセリングを勧められたため、カウンセリングを受けてみることにしました。

カウンセリングでは、「前の職場の時と同じことを繰り返したくない」ということをお話されていたので、まずは前の職場での出来事、どのような点で負担やプレッシャーを感じていたのかを一緒に整理していきました。

一緒に整理をしていくうちに、Aさんは「あの時もっと他の人に業務を回してもよかったかもしれない」「自分一人で抱え込みすぎていた」「もっと上司に相談すればよかった」等、当時は思いつかなかった選択肢が思い浮かぶようになりました。

次第に「次の職場で同じ様なことが起こったら、こうしよう」「こういう時は、こうするといいかな」といった解決策も思い浮かぶようになり、次の職場への不安も解消されていきました。

入職後もしばらくカウンセリングを続けていましたが、「上司に相談してみました」「抱え込まないようになりました」と順調に過ごされていたようなので、一旦カウンセリングは終了となりました。

 

解説

このように、“うまくいかなかったときのこと”を振り返ることが、解決策の選択肢を増やすことに繋がることもあります。

もちろん、自分一人で振り返ることができればよいのですが、まじめで一生懸命な方ほど「自分の努力不足だ」「能力が足りていないからだ」とご自身を責めてしまう傾向があります。

うまくいかなかったときのことを、第三者であるカウンセラーと一緒に、改めて客観的に振り返ってみることで、当時は見えなかったことがたくさん見えてくることがあります。

Aさんの場合、転職後のサポートという形でのご利用でしたが、初めて社会人になる新卒の方々にも応用できるケースなのではないでしょうか。

また、転職に限らず、復職のパッケージとしてカウンセリングをご利用される方、導入されている企業もあります。

 

下記Bさんのケースは復職のパッケージとしての活用例です。

【Bさんのケース:復職後の再発防止を目指したカウンセリング】

Bさんは朝身体が重く起き上がれない、意欲がわかないといった状態が続き、しばらくの間休職をしていました。

症状が改善してきたので、産業医に復職したい旨を相談したところ、復職の前段階としてどうして不調に陥ったのか、どうしたら事前に不調を防ぐことができるのかを自分なりに振り返るようにと言われました。

Bさんは元々自身の疲労度や体調の変化に気が付きにくいタイプであったため、自分一人では振り返ることが難しいと思い、カウンセリングを利用しました。

カウンセリングでは、先程のAさんのケース同様にまずは当時のことを一緒に整理してみました。

Bさんの場合、繁忙期の業務量がとにかく多かったことがきっかけで、その後体調を崩してしまったようです。

Bさんは「業務は今まで通りこなしていきたいけど、本格的に体調を崩す前の段階で休養を取れるようになりたい」「自分の不調に気づけるようになりたい」とお話されていました。

そこで、不調に陥る前のBさんの心身の状態について一緒に振り返ってみました。

そうすると「やたらとハイテンションだった」「徹夜が続いても眠さや疲労を感じなかった」「早口になっているとよく指摘された」…etc.という“不調のサイン”がわかってきました。

Bさんは「もし不調のサインがでてきたら、有休を使ったりして意識的に休もう」という、予防策に至りました。

その後も、やはり業務が忙しい時もあるようですが、うまく休養をとり、不調の再発防止に繋がっているようです。

 

解説

Bさんの場合、一度体調を崩した経験から“不調のサイン“を見つけていきましたが、通常の生活の中でも”不調のサイン“を見つけることは十分可能です。

不調の再発防止だけではなく、そもそも不調を生じさせないためのツールとして、予防的にカウンセリングをご利用いただくことも可能です。

 

【Cさんのケース:コミュニケーションの練習としてのカウンセリング】

Cさんは人と話すことに苦手意識があります。プライベートでもあまり人と話すほうではないため、人と話すこと自体があまり得意ではないようです。

職場では、上司からの指示通りに動いたつもりでも、『そういうことじゃない』と怒られてしまいます。

上司に聞きたいことがあっても、どのように話しかけたらよいのかわからず、結局聞けなかった…ということも多々あります。

業務上のミスも増え、上司からの叱責も増え、「このままではいけない」と思い、カウンセリングを受けてみることにしました。

カウンセリングでは、「仕事でうまくコミュニケーションをとれるようになりたい」とCさんはお話されていました。

そこで、今までに実際に対応に困った時の例を用いて、どのように応答したらよいだろうかと一緒に考えました。

また、報・連・相の際にどのような文言を使うと、上司に伝わりやすいかなども考えました。

それ以外でも、その日にあった出来事や、趣味の話など、何気ない会話の機会としてもカウンセリングを利用していました。

Cさんは徐々に、人と話すことに慣れはじめ、コミュニケーションに対する苦手意識も軽減していきました。

わからないことがあった時は上司に確認することもできるようになり、以前よりも仕事のミスや上司からの叱責も減るようになりました。

 

解説

Cさんのように「もっとうまく~~できるようになりたい」「よりよく働きたい」「自分の本来の力を仕事で発揮したい」という想いをもってカウンセリングをご利用される方もいらっしゃいます。

カウンセリングは不調からの回復や、不調の予防のツールとしてだけではなく、“自分の目標を叶えるためのツール”としてもご利用いただくことができます。

 

<最後に>

このようにカウンセリングの活用例は人によって様々です。

その人の置かれている状況、ニーズによってカウンセリングをどのように活用していくのかは変わっていきます。

今回は3名のケースをご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

「悩みを話さなきゃいけない」「自分はまだそこまで困っていないから利用できない」等、あまり構えすぎず、「ちょっと話してみようかな」と気軽にご利用いただければと思います。

 

執筆者:akiko(公認心理師・臨床心理士)

 

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