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タグ : メンタルヘルス , 久野(公認心理師・臨床心理士) , 時事ニュース
2021年7月19日
最終更新日 2021年8月31日
2021年7月18日付Yahoo!ニュース
【ニュース概要】
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総務省が全自治体職員を対象に心の健康(メンタルヘルス)調査を実施する、というニュースです。47都道府県1741市区町村すべての自治体職員を対象にした心の健康調査は初とのこと。
1999年調査と2019年調査とを比較すると、この20年間でメンタル不調を理由に1か月以上休職した職員が5倍に増加しているそうです。記事内では、自治体職員の業務負担が増している要因を、①新型コロナ感染症や災害対応、②悪質なクレーマーの増加、③職員側のより専門的な知識の必要性、と推測しています。調査結果を踏まえ適切な対処策を講じていくという方針のようです。
十数年前、メンタルヘルスの普及啓発活動をお手伝いしていましたが、まずは『心にも健康・不調があるという事実を知ってもらうこと』がテーマだった時代と比較すると、これは大きな進展だと感じますね。
【参考】効果的な学校メンタルヘルスリテラシー教育プログラム立ち上げ方、進め方ツールキット
推測はあくまで推測であるため調査結果を待つのが妥当です。いかなる対策も思いつきで実施するのではなく、実態を正しく把握したうえで、実態に応じて対策案を考え実施していくことが大切ですよね。実態に応じて対策案を考えることが有効なのはメンタルヘルス対策も同様です。まずは実態を把握するために調査を行なう、これは非常に好ましい流れだと感じます。
一定の条件を満たす企業にて義務化されているストレスチェック。ストレスチェックはまさに心の健康調査の一種です。ストレスチェックでは個人の心の健康調査に加え、集団分析と呼ばれる組織・職場の分析を行ないます。高ストレス者が発生しやすい部署や要因を分析し、ラインでケアするという対処方法を導入したりします。
【参考】【医師監修】企業が取り組みたい職場メンタルヘルス対策
ニュース記事における心の健康調査も、調査結果は職場環境作りや業務内容に応じた対策作りに反映する方針とのこと。ストレスチェックよりも一歩踏み込んだ対策を想定しているんでしょうか?
自治体公務員と言っても、地域の特色や、人口の規模、担当部署など環境要因は様々。ビッグデータを活用し、環境要因に応じた画期的な対策が導入されるようであればこれは大きな一歩です。
組織規模や業種など自治体データと照合できる仕組みができれば、多くの企業が心の健康調査データや、データに基づく対策アイデアを援用することもできるかもしれません。これまで企業の努力やストレスチェック業者の分析に頼っていたストレスチェック制度。データの活用方法によっては、多くの企業がより魅力的な組織となるためのヒントを得られるかもしれませんね。
話題はやや逸れますが、健康について何らかの対策を講じる際、その効果を評価する段階において『望ましい行動』が設定されます。生活習慣病を例に取れば、運動量を増やす、食塩摂取量を調節する、飲酒・喫煙を控えるなどが該当します。
今回取り上げた調査も、いずれ心の健康づくりのための『職場環境作り』や『業務内容に応じた対策作り』に反映するということなので『望ましい行動』を設定する必要が出てくるのでしょう。
ちなみに『望ましい行動』が生起するために何が必要かご存知ですか?望ましい行動のためには、望ましい態度が必要であり、望ましい態度形成のためには、正しい知識の習得が必要なのです。
【参考】特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム|厚生労働省
メンタルヘルスに関する正しい知識を習得する。正しい知識の習得が望ましい態度形成に寄与するとなると、できる限り早期に学習機会が持てることが理想です。
2022年より高校の保健にて実に40年ぶりにメンタルヘルスが取り扱われることになりましたが、高校までに偏った知識をもとにした強固且つ偏った態度形成がなされていることはないだろうかとやや懸念しています。いずれ小学生・中学生へと対象の範囲が拡大されていくことを期待しています。
【参考】「心の病気」学習、高校の保健で約40年ぶり復活|日本経済新聞
【執筆】 久野(公認心理師・臨床心理士)
【監修】 本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医) |
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