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気づくとスクロールしているのはなぜ?ショート動画が止まらない脳の仕組み

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2026年3月6日

無意識にスクロールしてしまう心理ーショート動画がやめられない脳の仕組みを解説

少し調べ物をしようと思ってスマホをみたら、いつの間にか動画が再生されている…。 やることが山積みだから今すぐにやめないといけないのに…と思いながら無意識にスワイプし続ける。 そんな経験ありませんか?(私は常にあります(泣))

しかもそのように葛藤しながらだらだらと見た動画の内容って記憶にも残っていないんですよね。 見ている途中はほのかに楽しさ、焦り、罪悪感が入り混じっていて、終わってみたら時間を浪費した後悔でげっそりする。 それが嫌で「次はやらないように」と対策を調べているうちに、また関係ない動画をタップしているんだから恐ろしいですよね。

現代人を悩ませるこの現象、ただ「意志が弱い」「依存体質」という言葉だけでは説明しきれません。 実は私たちの脳の報酬系ー神経伝達物質であるドーパミンーが深く関係しているのです。 今回はショート動画がやめられない心理について、心理学・神経科学の観点からわかりやすく整理していきます!

 

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なぜショート動画は「次へ次へ」と見てしまうのか


ショート動画がやめられない原因のひとつが、脳内で働くドーパミンです。

一般には「快楽物質」として知られていますが、神経科学の研究では、ドーパミンの本当の役割は「期待を高め、次の報酬を求める気持ちを強くすること」だと説明されています。つまり、ドーパミンは、「動画を見て楽しいから出る」というより、「次はもっと面白い動画があるはず」という期待を増幅させる物質なんです。ショート動画では、この期待が特に強く働きます。

私たちが反応しているのは動画そのものの面白さより、次の動画へ進みたくなる動きなので、スクロールする直前のタイミングでドーパミンが最も分泌されると考えられています。

 

プラットフォームが報酬系を刺激する仕組みーアルゴリズムと自動再生の影響


YouTube、Instagram、TikTok、Netflix などのプラットフォームは、まさにこの期待感を刺激するようにデザインされています。 プラットフォームに長く滞在してもらうために、次のコンテンツに期待を持たせる仕組みがさまざまなところに散りばめられているのです。

例えば、 動画を見ているときに「あなたへのおすすめ」という自分の興味関心に沿った関連動画が出てきませんか? さらに、動画が終わると自動でスクロールされ、終わるタイミングが掴めないような仕様になっていませんか? このような、推奨アルゴリズムや自動再生により、 「今の動画は予想より楽しかった/いまいちだった」「次の動画はもっと面白いかも」という期待と予測が常に繰り返され、常にドーパミンが刺激される状態が続きます。

最近の研究では、与えられる刺激が「予測できない(楽しいかもしれないし楽しくないかもしれない)」、「頻繁に訪れる」という条件が揃うと、薬物のような強い依存性を持つ可能性があると指摘されています。特にショート動画はその条件が揃っており、「次は当たるかもしれない」という依存性が強くなりやすいです。さらに、ショート動画を頻繁に視聴する人は、自己のコントロールに関係する脳領域に変化が生じることも報告されています。

こうして、脳は依存性の高い学習を繰り返し、コントロールを失うことで、動画から離れにくくなっていきます。

 

見終わった後に空虚感や後悔が残る理由


今までの話を聞くと、常にドーパミンが放出されて、楽しい気持ちでいられるんじゃないの?と思う人もいるかもしれません。しかし、実際には、動画を見ている途中や見終わった後に空虚感や後悔に襲われますよね。 それは、ドーパミンが「期待と現実の差」に敏感だからです。

「期待していたのに、思ったほど満足できない」などの期待のピークだけ上がって報酬が消えるという落差が、空虚感や不快感を生みます。そして、その空虚感や不快感が、「もっと面白い動画を見ればスッキリするかも」という新たな期待を生み、またスクロールを始めてしまうのです。

満足できないからやーめよ、となったらいいのですが、また動画に戻っていってしまうのが興味深いところですよね。

 

ショート動画とどう付き合うかー仕組みを知った上でできる現実的な工夫


いかがでしたか?ショート動画がやめられないのは、単なる”意志の弱さ”だけで説明できるものではなく、人間の脳の報酬回路とプラットフォームの報酬回路を刺激するデザインがかけ合わさって生じる現象だということが理解できたでしょうか?

ショート動画以外にも同じように依存性のあるコンテンツは世の中に溢れていると思いますが、特にスマホから離れられないのは、アクセスの手軽さのせいだと思います。

スマホが人間の生活と密着している以上、動画の視聴を制限するというのは難しいかもしれません。 ナイフが料理を楽にする道具にもなり、危険な凶器にもなるのと同じように、テクノロジーもまた中立的な存在です。

本来の価値を生かせるかどうかは、使う側の習慣、環境、ルールづくりに左右されるので、仕組みを理解して上手な付き合い方を見つけていきたいですね。

ちなみに、(私のような)報酬系刺激コンテンツとうまく付き合える気がしない人は、スマホの通知をオフにする、閲覧時間を制限する、アプリをアンインストールするなど、「報酬設計」からそもそも距離を置く方法がいいのかもしれません。

もし何かいい方法があるよという方は教えてください(泣)

 

参考文献


  • Schultz, W., Dayan, P., & Montague, P. R. (1997). A neural substrate of prediction and reward. Science, 275(5306), 1593–1599.
  • Schultz, W. (1998). Predictive reward signal of dopamine neurons. Journal of Neurophysiology, 80(1), 1–27.
  • Fiorillo, C. D., Tobler, P. N., & Schultz, W. (2003). Discrete coding of reward probability and uncertainty by dopamine neurons. Science, 299(5614), 1898–1902.
  • Nasser, H. M., Calu, D. J., Schoenbaum, G., & Sharpe, M. J. (2017). The Dopamine Prediction Error: Contributions to Associative Models of Reward Learning. Frontiers in Psychology, 8, 244.

 

【解説】

田っちゃん(公認心理師・臨床心理士

人間はホルモンの奴隷とはよくいったもので、常々人間はホルモンや神経伝達物質に振り回されるものだと痛感しています。

自分は大声を出してスマホをぶん投げると、動画から離れられることがあります。 本能に立ち向かうには狂気が必要なのかもしれません。やや不審者にはなりますがどうしても離れられない人はやってみてください。

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【監修】

本山真(代表取締役社長)

精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長

2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

 

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