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労基に相談しても大丈夫?|職場トラブルで悩むビジネスパーソンが知っておくべき全知識

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2026年1月30日

労基は本当に頼れる?残業・ハラスメント・メンタル不調で悩んだときの正しい相談先

「残業時間が多すぎる」「ハラスメントで苦しい」「有給休暇を取らせてもらえない」「休職を勧められたけど納得できない」など、 職場での問題に直面したときに、「ロウキに相談してみたら?」と助言されたことがありませんか? 社会人1年目だった私は、最初に「ロウキ」と聞いた時「誰それ?」と思ったのですが、ロウキというのは「労働基準監督署」の略称なんですね。

労働基準監督署と聞くと、「違法な働き方について相談できる場所」というイメージを皆様持っていらっしゃるのではないでしょうか 。 ただ、労基が労働問題について相談できる場所と分かりつつも、実際に相談を勧められると「労基に相談したら職場にバレるのでは」「本当に動いてくれるの?」と実際に相談するハードルの高さを感じませんか?

この記事では、労働基準監督署では何を相談できるのか、相談するとどのような支援を受けられるのか、さらに相談した内容で個人が特定されないかどうか、について解説したいと思います。

 

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労働基準監督署(労基)とは何をする公的機関なのか


労働基準監督署は、厚生労働省の機関であり、 働く人の命・健康・労働条件を守るための行政機関です。

「労基」「労基署」と呼ばれ、以下のような役割を担っています。

  • 労働基準法・労働安全衛生法などに基づき企業を監督
  • 違法な長時間労働や未払い残業の是正指導
  • 労災の認定や補償の対応

企業と労働者は本来であれば対等でなくてはならないのですが、どうしても企業側の立場が強くなってしまうケースが多いです。そのため労基は立場の弱い労働者が不当な扱いを受けた際の申告を受け付ける窓口として機能しています。各労働基準監督署によって多少の違いはありますが、主に監督課、安全衛生課、労災課、業務課の4つに分かれており、このうち監督課が労働者の相談を受け付けています。

 

労働基準監督署で相談できる職場トラブルの具体例


労働基準監督署では、以下のような職場トラブル全般に関する相談を無料で受け付けています。

  • 残業時間が多すぎる、休日が取れない
  • 残業代・賃金が支払われていない
  • 上司や同僚からのハラスメント(パワハラ・セクハラなど)
  • 不当解雇・雇止め
  • 長時間労働による体調不良・うつ症状
  • 安全配慮義務の違反(危険な職場環境)
  • 労働災害(労災)や通勤災害の発生

長時間労働やハラスメント、メンタル不調といった問題も、 「労働基準監督署の管轄内」に含まれていることを覚えておいてください。また、相談はすべて無料で、法律に詳しい職員が対応してくれる点が安心ですね。

 

労基に相談すると実際に何が起こるのか|支援内容と限界


労働基準監督署に相談にいったら、実際にどのような対応をとってくれるのでしょうか?一緒に見ていきましょう。

(1)会社への指導・是正勧告

違法な長時間労働や賃金未払い、ハラスメントが確認された場合、労基は企業に対し「是正勧告書」を発行し、改善を求めます。会社は、改善報告書を提出しなければなりません。

会社が指導に応じないなど悪質な場合には、送検や罰則対象となることもあります。

(2)労災申請の案内・受付

メンタル不調(うつ病・適応障害など)が業務に起因している場合、労基では労災補償制度の案内や申請受付も行っています。

医師の診断書があれば、療養補償・休業補償などを受けられる可能性があります。

(3)他の支援機関への紹介

相談内容によっては、あなたの状況に合わせ、より専門的なサポートを案内してくれます。例えば、次のような機関を紹介されることがあります。

  • 総合労働相談コーナー(労働局内)
  • 個別労働紛争のあっせん制度
  • 心の健康相談統一ダイヤル「0570-783-556」
  • 医療機関・産業医

 

労基に相談したら会社にバレる?匿名性と守秘義務の実際


ここからが気になる「労働基準監督署に相談したことって会社にバレるんじゃないの?」という部分です。

結論から言うと、労働基準監督署は相談者のプライバシーを徹底的に守ります。 例えば、名前を出さずに匿名での相談が可能だったり、相談内容を外部に漏らすことのないよう、守秘義務が徹底されます。また、相談した内容を持って調査や指導を行うかも相談者の希望に合わせて調整し、相談者の意図しない調査は行いません。仮に調査や指導を行う際にも、匿名を希望すれば会社に通報者を伝えることはありません。

しかし、ここまで聞いても「じゃあ安心だ」とも手放しでは言えないのが本音ではないでしょうか?

小規模事業所や個人が特定されやすい相談については、「調査が入った時点で相談者が推測されて会社での立場が難しくなってしまうのではないか」と思う方も多いと思います。ただ、そのような場合でも「定期監督を装って調査」するなど、個人を守る工夫がされていますし、労働基準監督署に相談したことを理由に不利益な扱いをすることは法律で禁止されています。

不安を拭いきれない部分はあるかもしれませんが、相談者の不利益にならないことを第一とした配慮がなされることは覚えておいていただければと思います。

 

労働基準監督署への相談の流れと事前準備


予約は不要で、最寄りの労働基準監督署へ直接行けばOKです。「相談に来ました」と窓口で伝えるだけで担当者が案内してくれます。初回は30〜60分ほどのヒアリングが行われます。また、相談の際には相談内容の証拠となるものを持っていくとスムーズに話が進みます。

例)

  • 労働契約書・雇用契約書
  • 給与明細、タイムカードや勤務表
  • 医師の診断書(メンタル不調がある場合)
  • メモ(上司の発言・職場での出来事など)

もちろん証拠がなくても相談は可能で、「こんなことを話してもいいのかな?」と思う必要はありません。

 

「個人の弱さ」ではなく「環境の問題」かもしれないという視点


労働基準監督署は、あなたの安全と健康を守るために存在する公的機関です。

労基署の職員の多くは、過労死やうつ病などの深刻な事例に真摯に向き合ってきた人たちです。法律の範囲内で、できる限りあなたの安全と健康を守るための行動をしてくれます。

もし労基の管轄外と言われた場合も、適切な相談先を紹介してくれます。

労働上に関するメンタル不調は個人の課題というよりは、会社全体、さらに言えば社会全体の課題である場合もあります(関連項目:困りごとの源泉の変遷|医学モデルと社会モデルの違い。BPSモデルそして生活モデルへ)。いくらセルフでメンタルケアしようと思っても限界がありますし、ご自身を追い詰めてしまうことにもなりかねません。

「頑張れる環境で頑張る」ことを目指すためにも、1人で抱え込まず内部への相談が難しければ労働基準監督署など外部の相談機関を頼ることも選択肢として持っておきましょう。

 

【解説】

田っちゃん(公認心理師・臨床心理士

田っちゃんコラム一覧

 

【監修】

本山真(代表取締役社長)

精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長

2002年東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部付属病院で研修。川越同仁会病院、不動ヶ丘病院の勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年には医療法人ラックを設立し綾瀬メンタルクリニックを開院。2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。

 

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