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タグ : chico(公認心理師・臨床心理士) , 産業精神保健
2024年9月6日
最終更新日 2024年9月6日
目次
2024年4月より障害のある方の法定雇用率が上がりました。法定雇用率の算定対象となる『障害』は、身体障害、知的障害、精神障害に分類されます。厚生労働省調査によれば、精神障害のある方の障害者雇用数は年々大幅に増加しています。
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【監修】 本山真 株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役 日本医師会認定産業医/精神保健指定医 医療法人ラック理事長/宮原メンタルクリニック院長 【執筆】 chico(公認心理師・臨床心理士) |
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「精神障害」とは、精神的な不調や脳の機能によって、日常生活や社会活動に支障を来している状態を言います。精神障害における”精神的な不調や脳の機能”とは、うつ病、双極性障害、統合失調症、発達障害などが対象となります。日常生活や社会活動に生じている支障が半年以上にわたって生じた場合、審査に基づき交付されるのが、精神障害者保健福祉手帳です。精神障害者保健福祉手帳は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)が根拠法となります。
精神障害者保健福祉手帳は、日常生活や社会活動がどの程度制限されているかに応じて3つの等級(1級から3級:1級が最も重い等級)に分類されます。精神障害のある方が障害者雇用枠で就職するためには、この精神障害者保健福祉手帳が必要になります。
【詳しくはこちら】
精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について(厚生労働省)
障害者雇用促進法により、一定数以上の従業員を持つ事業主は、従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上にしなければなりません。2024年4月より、民間企業の法定雇用率は2.5%に引き上げとなったため、40人以上の職場では1人以上の障害者を雇用します。精神障害のある方を雇用する場合、週20~30時間の短時間労働であっても法定雇用率の計算上1人とカウントされます。
【最新情報はこちら】
障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について(厚生労働省)
【詳しくはこちら】
2023年に実施された厚生労働省の調査(※1)によれば、雇用されている障害者数は20年連続、そして障害者の実雇用率は12年連続、過去最高を更新しています。特に精神障害者の雇用率は上昇しており、前年に比べて18.7%増加しています。精神障害者雇用が拡大しているトレンドを理解しやすい数値ですよね。精神障害のある方の雇用を検討している企業の持つ課題を解消することができれば、トレンドをもう一押しできるでしょう。
精神障害者雇用に際し、企業が感じる代表的な難しさ、課題が下記です(株式会社welbeの調査(※2))。
・安定した勤怠を保てるか不安
・適切な指導が分からない
・コミュニケーション面が不安
・採用時に適性や能力を十分把握できない
引用:企業は精神障害者・発達障害者を歓迎している?株式会社welbe
精神障害者雇用における課題を解決するためにはどうしたらよいのでしょうか。(障害者雇用に限らず)企業における人財にまつわる課題解決を推進するうえで念頭に置いていただきたいのが生活モデルという発想です。生活モデルにおいて課題や困りごとは個人と環境との相互作用によって生じていると考えます(困りごとの源泉の変遷|医学モデルと社会モデルの違い。BPSモデルそして生活モデルへ)。あらゆる課題解決のための戦略は”個人と環境とのミスマッチングを解消し、個人と環境とのマッチングを高める”というアプローチに集約されます。具体例を紹介しましょう。
個人が”得意としていること””苦手としていること”に着目して業務内容を調整します。試行錯誤やトライ&エラーが必要にはなりますが、個人に適した業務は、そうでない業務と比較し、高いパフォーマンスが期待できます。
業務内容の調整が困難だと感じるケースについては、業務の細分化に着目してみることをおすすめします。作業工程を分割する、分担するといったアプローチが結果として、職場全体の業務効率化につながることも多いものです。
メンタル不調は認知機能障害を伴いやすいことが知られています(【精神科医監修】認知機能とは?認知機能が関連する困りごと)。認知機能障害への配慮は、精神障害のある方と職場とのマッチングを高めるだけではなく、職場全体の業務クオリティを高め、延いては生産性を高めることにもつながり得ます。
例えば…
法定雇用率は法律上の義務です。障害者雇用を法律遵守として導入している企業が多いのではないでしょうか。障害者雇用をそのものを目的とするのではなく、障害者雇用を手段として導入する視点を持つことをおすすめします。
パーソル総合研究所の調査(※3)では、精神障害者雇用について「戦力化を求め育成を重視」する企業の方が、定着度や活躍度が高い傾向にありました。本人の強みを把握して育成できれば、戦力になる可能性が十分にあります。障害者もそうでない方も、従業員それぞれが能力を最大限に発揮することで、職場の生産性は上がっていきます。
特性と業務をマッチングさせる考え方やノウハウは、すべての社員に適用できます。障害のある方が安心して力を発揮できる職場は、障害のあるなし問わず全ての人が安心して力を発揮できる職場でもあります。組織の環境改善、業務の質向上につながることが期待できます。
障害者雇用とは謂わば多様性と包摂(ダイバーシティ&インクルージョン)です。障害者雇用を通じて、職場におけるダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを促進することは、女性、外国人、高齢者など多様な人材が活躍できる職場づくりにつながります。
引用・参考文献
※ネット記事は全て2024年4月1日参照