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タグ : chico(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス対策 , 健康経営® , 産業精神保健
2024年3月1日
最終更新日 2024年8月2日
目次
今やどのような企業にとっても、従業員のメンタルヘルス対策は無関係な話ではなくなりました。しかし「どうしてもやらないとダメ?」「何から始めたらいいのか分からない…」という担当者の方も多いのではないでしょうか。今回は、企業のメンタルヘルス対策について、キホンのキから解説していきます。
株式会社サポートメンタルヘルスは”働く人を応援するメンタルクリニック”を運営する医療法人が母体です。医療機関におけるメンタルヘルス対策のノウハウを以て、全国の中小企業をサポートいたします。 株式会社サポートメンタルヘルスでは、メンタルヘルス専門職による”中小企業のメンタルヘルス対策個別無料相談会”(web開催、日時は応相談)を実施しております。従業員のメンタルヘルス対策にお悩みの経営者様、人事ご担当者様、まずはお問い合わせフォームよりお申し込みください。
【監修】 本山真 株式会社サポートメンタルヘルス代表取締役 日本医師会認定産業医/精神保健指定医 医療法人ラック理事長/宮原メンタルクリニック院長 【執筆】 chico(公認心理師) |
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企業におけるメンタルヘルス対策とは、「全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助をすること、およびそのような活動が円滑に実践されるような仕組みを作り、実践すること(※1)」です。
引用:厚生労働省こころの耳 https://kokoro.mhlw.go.jp/(※1)
注目して頂きたいのは「全ての働く人」が対象であること。精神的な症状があり休職している人だけでなく、出勤していても高いストレス状態にある人や、健康的に働いている人まで、メンタルヘルス対策は全ての従業員に求められます。
結論から述べると、企業はメンタルヘルスケアに取り組まないといけません。
労働契約法によって「安全配慮義務」というものが定められています。
これは「従業員を業務に従事させるにあたって、過度の疲労や心理的負担をかけて社員の心身健康を損なうことがないように注意する義務(※1)」のこと。
引用:厚生労働省こころの耳 https://kokoro.mhlw.go.jp/(※1)
この安全配慮義務は、事業主に課されているものではあるのですが、部長・課長などの管理監督者は、その実行責任を負っています。なぜなら管理監督者には、従業員に対して指揮・命令するための権限が委譲されているからです。
また労働安全衛生法では、職場環境や労働条件を改善することで、労働者の安全と“健康”を確保することが定められています。ここで言う“健康”は、体の健康だけでなく心の健康も含みます。この法律によって、50人以上の職場では「ストレスチェック」が義務付けられました。
【参考】
労働者のメンタルヘルスが、実際どの程度の規模の問題かご存知でしょうか。最新の厚生労働省の調査(※2)によれば、仕事や職業生活でストレスを感じている労働者は82.2%。精神障害による労災の請求件数は、2022年度に2683件となり、年々増加しています。
・労働者の休職や離職の防止
精神的不調による休職では、休職期間が長期化することも多いため、影響が深刻化しやすい傾向にあります。また休職者の通院費や入院費を負担しなければならない場合があるため、メンタルヘルス対策は医療費の削減にも繋がります。
・生産性の低下防止
精神的に不調な状態では、集中力やモチベーションの低下が発生します。すると、ミスが増えたり、普段なら数時間でできていた仕事が一日かかるようになったり、重要な決定ができなくなったりします。
・リスクマネジメント
メンタルヘルスの問題では、企業責任が問われるケースがあります。職場での出来事によって従業員が精神障害を患った場合、従業員のメンタル不調よって生じたミスが、事故や顧客とのトラブルに発展した場合など。労災請求や民事訴訟に繋がるリスクが潜在しています。
メンタルヘルスケアは危機管理の観点で喫緊の課題ですが、見方を変えてみれば、この問題に積極的に取り組むことで得られるリターンが大きくなっているとも言えます。
・採用力の向上
充実した福利厚生をアピールする企業が増えていることからも分かるように、就職・転職市場において「働きやすさ」は重要なポイント。メンタルヘルス対策への積極性は、優秀な人材の獲得に繋がります。
・ホワイト企業や健康経営®優良法人の認定に繋がる
一般財団法人日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)による「ホワイト企業」認定や、経済産業省による「健康経営®優良法人」の認定は、企業のブランドイメージ向上に繋がります。どちらの認定要件にも、メンタルヘルス対策は重要項目となっています。
・生産性の向上
不調者だけでなく従業員全体にメンタルヘルスケアを行ったり、職場改善や組織開発を試みたりすることで、職業生活の質を高め、集中力やモチベーションを向上させることができます。能力を最大限発揮して活躍してくれるかもしれません。
・50人以上の職場の場合
「産業医」と「衛生管理者」を選任しなければなりません。どちらも資格が必要です。
【参考】
・10人以上50人未満の職場の場合
「安全衛生推進者又は衛生推進者」を選任しなければなりませんが、こちらは資格が無くても問題ありません。
【参考】
厚生労働省ホームページ「安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。」
企業におけるメンタルヘルスケアは、「誰が主体となって行うか」によって4つに分類できます。
1.労働者自身が行う「セルフケア」
企業は労働者個人がセルフケアできるようにサポートする必要があります。メンタルヘルスの正しい知識や、ストレスへの対処法などを身につけてもらえるよう、情報提供や研修を行います。
2.管理監督者が行う「ラインケア」
従業員と接する機会が多いのは、事業主や人事担当者よりも、その職場にいる管理監督者いわゆる「部長課長クラス」の人。管理監督者が、労働者からの相談対応や、職場環境の改善ができると高い効果が期待できます。
3.事業場内産業保健スタッフ等によるケア
産業医、保健師、衛生管理者、人事労務管理者、メンタルヘルスに関する担当者など、心身の健康や労働環境に関わるスタッフによる取り組みのこと。セルフケアやラインケアが効果的に実施されるようにし、事業場外資源との連携も行います。
4.事業場外資源によるケア
外部の機関や専門家による取り組みのこと。メンタルヘルス不調者の相談対応だけでなく、「不調者にどう対応したらいいか」といった管理職や人事担当者の相談対応、さらにはメンタルヘルスに関する研修の実施、ストレスチェックの実施・分析など、様々なサービスを提供しています。
・メンタルヘルスに関する情報の提供
会社側がメンタルヘルス対策に乗り出しても、従業員がその重要性を理解していないと効果は見込めません。外部機関に依頼して研修を実施してみるのも手です。また、従業員に認知されていない取り組みはないでしょうか?「会社に相談窓口があるのを知らなかった」という声も聞かれます。こうした既存の取り組みを改めて周知することも重要です。
・ストレスチェックの強化
年1回のストレスチェックがすでに導入されている企業は多いかと思いますが、どれくらい活用できていますか?実施後にしっかり分析することで、従業員個人や職場全体が抱える問題が浮き彫りとなり、早期の対策に繋げることができます。半年に1回と実施頻度を上げるのも方法の1つ。実施から分析、さらにはフォローまで外部委託することも可能です。
もちろん、担当者の方がご自身で社内のメンタルヘルスケアを実行していってもいいのですが、なかなかハードルが高いと思います。また企業の実態に合った対策を考えていくには、社外からの客観的な視点も重要です。外部の専門家のサポートを活用することをおすすめします。無償で支援を受けられる公的機関もありますし、健康保険組合や民間の支援機関のサービスも充実していますので検討してみてください。
参考・引用文献