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【精神科医監修】自己理解を深める方法【ジョハリの窓】

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2023年6月9日

最終更新日 2024年8月2日

自己理解を深める方法、ジョハリの窓を精神科医監修で解説

 

「自分らしい働き方を目指して」「ありのままの自分で」

 

このような言葉を広告や何かの宣伝で目にした経験はありませんか?世の中には、「自分らしく」「ありのままの自分」というように、自分を掲げた言葉であふれています。

 

心理学の領域では、「自己(=自分)」にはいろんな側面があると考えられています。実際に、自己に関する多くの研究は、多様な自己の側面を明らかにしてきました。そのため、自己にまつわる概念は、多く存在しています。どのような概念が存在しているのか、以下に、いくつかの例を挙げて、一緒にみていきましょう~!

 

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自己理解を深める前に…まずは自己概念


『自分自身はどのような人間であるのかについて抱いている考え』を自己概念と呼びます(心理学事典,2012)。

 

【例】

「私は○○です」と表現することができる。

「私はとてもまじめな人間です」「私は人と関わることが苦手です」

 

みなさんは自分自身をどのように表現しますか??

 

人間は、社会的な生き物ですので、他者や周囲の環境といった外界との関わりの中で生きています。その関わりの中で蓄積された自分にまつわる多くのデータ(性格特性、思考の傾向、経験した出来事、身体感覚の記憶,etc…)が自己概念と言えます。

 

自己理解を深める前に…次は自己注目


『自分が自分に注意を向けている状態』を自己注目と呼びます(大木・小林・田積,2014)。

 

【例】

会社の会議にて、多くの人がいる中でプレゼンしなければいけないという状況

「発表中に噛んでしまいそうだな、手汗もかいてきちゃったし、なんだかいつもより緊張しているかもしれない・・・」

→(知らず知らずに自己注目していることがありますね💦)

 

自己注目には、そもそも普段から自己に注意を向けやすいタイプの人そうでない人のような個人差があると言われています。

【参考】

落ち込みの原因は自己注目にあり?理想と現実と原因帰属|対処法も解説

 

 

自己理解を深める前に…最後に自己開示


『ありのままの自分を他者に伝えること』を自己開示と呼びます。自己に関連する情報を相手に伝えるという行為が自己開示とされますが、特に伝達する内容が個人のプライベートなものになっていくほど、自己の開示する度合いが深くなっていくと言えます。

 

【例】

Aさん「昨日、どうしても見たいと思って録画してたアニメが録画されてなかったんだ」

Bさん「Aさん、アニメ観るんだね!」

 

ここまで「自己」にまつわる概念をご説明してきましたが、このように多様な自己を全て理解するということは、なかなか難しいと思います。

 

自己理解とは?


内閣府のユースアドバイザー養成プログラムでは、自己理解という言葉を以下のように説明しています。

 

『自己理解とは、いくつかの手段により自分の気質,性格,ある種のタイプ,価値観,考え方,態度・行動などを深く知り,それを自分自身が納得して受け止めている状態のことである。』

 

ここでいう自己理解とは、自分について知り納得し、そして受け止めるというプロセスを辿っています。自己理解と言っても何から始めたらいいのか分からない・・・という方は、まずは自分自身について知ることから始めてみると良いかもしれません。

 

そこで、ここからは自己理解を深める方法をご紹介していきたいと思います!

 

自己理解を深める方法『ジョハリの窓』


ジョハリの窓とは,Joseph luftとHarrington Inghamらによって考案された概念であり「対人関係における気づきの図解式モデル」と言われており、近年では自己理解を深めるためのツールとして用いられています。

 

ジョハリの窓の概念では,自分の中に「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」の4つの窓が存在するとされています。この4つの窓は,自分のことを自分が気づいているor気づいていない/他者が気づいているor気づいていないという基準で分けられています。

 

 

  1. 自分も他者も気づいている自分「開放の窓」 
  2. 自分は気づいていないが他者は気づいている自分「盲点の窓」
  3. 自分は知っているが他者は気づいていない自分「秘密の窓」
  4. 自分も他者も気づいていない自分「未知の窓」

 

ジョハリの窓の中で、重要になってくるのが、①「開放の窓」の領域が広がっていくということです。開放の窓が広がっていくことで、これまで気づけなかった自分を理解することにつながるとされています。この、開放の窓を広げるためのポイントとして、自己開示フィードバックの2つがあげられます。

 

自己開示とは・・・

→「秘密の窓」を開放していく(自分は知っているが他者は気づいていない自分のことを、他者に伝える)

 

【例】

初めて教えるけど、私、実はパクチーが苦手なんだ。

 

フィードバックとは・・・

→「盲点の窓」を開放していく(自分は気づいていないが他者は気づいている自分について、他者から伝えてもらう)

 

【例】

Bさん「Aさんて話をしてる時に、語尾のイントネーションが上がるよね」

 

このジョハリの窓を使って自己分析していく中で、「あれれ、全然自己理解できてなかったかも・・・」となってくる方もいらっしゃるかもしれません。

 

引用・参考文献


  • 内閣府 (2007) ユースアドバイザー養成プログラム
  • 無藤隆・森敏明・遠藤由美・玉瀬耕治(2019)心理学(新版)New Liberal Arts Selection, 株式会社有斐閣, 106-109.
  • 大木桃代・小林孝雄・田積徹(編著)  (2014) 日々の生活に役立つ心理学. 川島書店,376-381.
  • 大久保瞳・高井秀明・浦祐大・辻昇一 (2020) ジョハリの窓を用いた自己理解と個人のチームワーク能力との関係:A大学ハンドボール部女子を対象として.日本体育大学紀要, 49. 3027-3033.
  • 大山正・藤永保・吉田正照 (2012) 心理学小辞典, 株式会社有斐閣, 105-106.

 

【執筆】

田中

今回は「自己」にまつわるお話をご紹介しました。自己理解が深まっていくと、より適切な方法で自分を表現できるようになります。本ブログで紹介したツール以外にも、自己理解を深める方法は沢山あります。「なんだか気になるな~、もっともっと知りたいな~」と言う方は、ぜひ、ご自身でも調べてみてください!!

田中記事一覧

 

【監修】

本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長)

 

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