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タグ : メンタルヘルス , 産業精神保健 , 田中(公認心理師・臨床心理士)
2023年8月18日
最終更新日 2024年8月2日
目次
「バーンアウト」という言葉、皆さんご存じですか?燃え尽き症候群なんて呼ばれたりもすることもあります。耳にしたことはあるけれど、どんなものかよくわからないなあ・・・という方もいらっしゃるでしょう!ということで、今回はこの「バーンアウト」についてご解説していきます♪
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「バーンアウト」という状態は、ヒューマンサービスの需要が社会的に高まったことにより、現場で働くサービス従事者がストレスを訴えるようになったことから認められるようになりました。
【バーンアウトの由来】 心理学者のフロイデンバーガーは介護施設に勤務していた際に、同僚が精神的・身体的不調を訴え、1年もするとあたかも燃え尽きたかのように仕事への意欲やエネルギーを失っていく姿を目撃した。 彼はそのような同僚の様子を表現するために、 ドラッグ常用者のような状態を表す「バーンアウト(burn out)」を用いた。 参照:入江(2017) |
近年では、特に教師や介護施設職員、看護師といった対人援助職における「バーンアウト」が着目されていますね!
「バーンアウト」を測定する尺度である、Maslach Burnout Inventory(MBI)では、「バーンアウト」を、①情緒的消耗感(emotional exhaustion)、②脱人格化(depersonalization)③個人的達成感(personal accomplishment)の低下といった3つの症状から定義しています。
①情緒的消耗感(emotional exhaustion)
心が疲れ果ててしまい、精神的に消耗してしまった状態。
例)もうこれ以上、頑張れない・・・。気持ちも身体も立ち上がれない・・・。何もしたくない・・・。
②脱人格化(depersonalization)
人間関係が煩わしくなり、人に対して、その人らしさを無視して機械的に対応してしまう状態。
例)人と関わるのが面倒になった。以前は他者への思いやりを持てていたが、今は持つことが出来なくなってしまった。
③個人的達成感(personal accomplishment)の低下
仕事に喜びを感じることが出来ず、やりがいや価値を見出せない状態。
例)仕事にやりがいを感じられない。達成感もない。無力な気持ちになる。
★これらの症状をイメージしてみると、某有名漫画の某有名な一場面、『燃えたよ、燃え尽きた・・真っ白にな・・・』のような状態だと言えるかもしれません・・・。
さて、3つの症状に代表される「バーンアウト」ですが、発症のメカニズムとして大きく2つの要因が関わっていると考えられています。(参照:久保,2007)
例えば・・・・
教員や介護士、看護師といった対人援助に携わる方々の中には、『他者に貢献できる仕事がしたい』という思いを持ち、職業を志した方もいるでしょう。しかし、対人援助職は、人を相手にする仕事のため、目に見える成果や功績を出すことが難しく、達成感を得られにくいとされています。対人援助職に限らず、毎日多くの仕事に追われるような環境で働きながら、成果を出したいけれど思うようにいかない状態が続き、心身ともに疲労が蓄積してきてしまった場合、「気づけば、バーンアウト状態になっていた…」という事になる可能性があると言えます。
※感情労働とは・・・?(参照:山本・岡島,2019) Hochschild (1983)により提唱された概念で、「肉体労働」「知的労働」に次ぐ「第三の労働」とされる。 自己の感情を、職業や労働場面に応じて管理することが必要となる、現代社会を象徴する労働形態のことです! |
これまで、「バーンアウト」の症状や発症に関わる要因について取り上げてきました。「バーンアウト」は、ストレスの結果生じる症状として捉えられることが多く精神疾患ではありません。
✓ 「うつ病」は「精神障害の診断と統計マニュアル」(Diagnostic and Statistical Manual Disorders, DSM)第5版や「疾病および関連保健問題の国際統計分類」(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problem, ICD)第10版にて診断基準が定められた精神疾患。 ✓ 「バーンアウト」は、疾病の国際的な診断基準が定められていない=精神疾患ではない。 |
一方で、いくつかの研究において、「バーンアウト」は他の精神疾患との区別が曖昧であることが指摘されています。例えば、「バーンアウト」に似た精神疾患として良く取り上げられるのがうつ病です。うつ病は、特に「バーンアウト」の症状である情緒的消耗感と強く関連しているとされています。また、「バーンアウト」からうつ病になる場合もあれば、うつ病から「バーンアウト」に至る場合もあることが指摘されています(入江,2017)。
このように、他の精神疾患の症状との重なりが指摘されており、概念が曖昧であるために、まだまだ研究の余地があるとされている「バーンアウト」ですが、その背景には仕事が関連していることが多いとされています。
★バーンアウトは、まだまだ多くの研究が成されているので、これからも新たな知見が募っていくと思われます!情報も更新されていくでしょう!!
さて、この「バーンアウト」を予防するためにはどのようなことが出来るのでしょうか?
以下にいくつかの予防策をご提示いたします!北田(2017),佐野(2014)より引用・参照。
★みなさんも自分でもできそうだな~というものがあるかどうか、是非チェックしてみてください!!
引用・参考文献
【執筆】 田中 「バーンアウト」は精神疾患ではありませんが、心身の疲労・疲弊の蓄積により生じる状態であり、後に精神疾患へと繋がっていく可能性も否定できません。「もしかしたら、バーンアウトしてるかもしれない・・・。」と、自分の不調に気づいた際には、すぐに休息を取り、セルフケアをしましょう。また、不調が悪化してきた場合は、一人で抱え込まず、なるべく早くに医療機関を受診することをお勧めします!
【監修】 本山真(日本医師会認定産業医|精神保健指定医|医療法人ラック理事長|宮原メンタルクリニック院長) |