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タグ : ぶち(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス
2026年1月23日

目次
皆さんは、仕事や学校から帰宅したあと、疲れた状態でスマホを開き、気づけばSNSや動画サイトのショート動画を見続けてしまった、という経験はありませんか。
短時間で楽しめるショート動画は、忙しい日常の中で手軽な息抜きになる一方、画面を閉じたあとに「なぜか疲れが残る」「むなしさを感じる」といった感覚を覚える方も少なくありません。
臨床現場や心理学研究の知見から見ると、こうした体験は意志の弱さや自己管理の問題ではなく、脳の働きと密接に関係していることが分かっています。
本コラムでは、ショート動画を見続けてしまう心理的・神経学的な理由を整理したうえで、脳と心の回復につながる代替的なリラックス方法について考えていきます。
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ショート動画は大抵1本10秒〜60秒程度で構成されており、短時間で「楽しい」「気持ちが良い」といった報酬を得ることができます。すると、脳の報酬系(ドーパミン系)が刺激され、「もっと見たい」という欲求が生じ、なかなかやめられなくなってしまいます。その結果、疲れているはずの脳を、さらに酷使している状態に陥ってしまうのです。
ショート動画を見ている間は、一時的な気分転換になっているように感じるかもしれません。しかし、心は少し休まっても、脳は十分に休息できていない状態が続いています。視覚・聴覚・感情が高速で刺激され続けることで、外部からの情報入力が途切れず、脳の情報処理は常にフル稼働の状態になります。
また、自律神経もオンの状態(交感神経優位)が続きやすく、回復に必要なリラックス状態に切り替わりにくくなります。その結果、「気晴らしのつもりだったのに回復した感じがしない」「朝起きても疲れが残っている」といった感覚につながりやすくなります。
さらに海外の研究では、ショート動画を見続けることで、展望記憶(将来の予定や、これから行う行動を覚えておく力)が阻害される可能性も示唆されています。
このように、見ている間は楽しく感じられても、脳や身体が十分に休まっているとは言えないのです。
では、ショート動画の代わりに、どのような過ごし方が心身の回復につながるのでしょうか。
ここでは、脳と心が「同時に」休まる方法を考えていきます。
簡単な料理、ぬりえ、粘土、編み物など、手を動かす活動が挙げられます。「考えなくてもできる作業」は、脳に余白を生み、休息を促します(関連項目:臨床心理士・公認心理師が試してみた|塗り絵で自律神経は整うのか?)。
波の音、雨音、風の音などは、脳波をα波に導きやすい音とされています。リラックスしたい時間に、静かな環境音をBGMとして流すだけでも効果が期待できます。
暗めの照明の中で、音のない時間を数分つくることで、視覚・聴覚への刺激が減り、脳が静けさを取り戻しやすくなります。
短い日記を書く、感情をメモする、呼吸に意識を向ける数分間などでも十分です。「何もしない時間」を意図的につくることが、脳の回復につながります。
【監修】 本山真(精神保健指定医/日本医師会認定産業医) 東京大学医学部卒業後、精神科病院、精神科クリニックにおける勤務を経て、2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニックを開院。メンタルヘルスサービスのアクセシビリティを改善するために2019年株式会社サポートメンタルヘルス設立。 【執筆】 ぶち(臨床心理士・公認心理師) 今回は、多くの人が経験しやすい「ショート動画を見続けてしまう状態」について、その背景と影響、代替となるリラックス方法をご紹介しました。 まず大切なのは、ショート動画を見て安心できているなら、それはその時点では必要な行為だったと捉えることです。 心が一時的に楽になることと、脳がしっかり回復することは似ているようで異なります。 「また見てしまった」と自分を責めるのではなく、「それだけ疲れていたのかもしれない」と気づいてあげること。 |