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タグ : かなた(公認心理師・臨床心理士) , 健康経営® , 産業精神保健
2025年3月7日
目次
人は生きていくうえで様々なライフイベントがあります。その中でも、病気の罹患・闘病は生活の送り方に少なからず影響を与えるため大きなトピックかと思います。今回は生活の中心となる仕事にスポットを当てて治療と仕事の両立について解説します。
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病気になると、生活や将来に対する不安が生まれます。病気になるまでは健康に自信があった方でも「仕事を続けられないのではないか?」と考え、突然退職してしまうケースがあります。こうした予期せぬ退職を「びっくり退職」と呼ぶこともあります。
びっくり退職による後悔を避けるためには、仕事に関する選択肢を事前に知っておくことが重要です。現在の社会では、情報を積極的に集めることが将来の安心につながります。自分の将来への投資だと思ってこちらのコラムをご参照ください。
病気になった際に考えられる選択肢は、以下の4つです。
仕事を継続する
休職する
転職する
選択肢の幅は病気の進行度や身体への影響によって変わりますが、近年は選択肢が広がっています。その背景には、以下の3つの要因があります。
過去には、大きな病気になると入院治療をする必要があり、回復するためには自ずと休職が必須となっていました。しかし、現在では外来治療にて対応できるケースが増えています。結果として治療をしつつ仕事も継続できるというわけです。
政府は「仕事と治療の両立支援ガイドライン」を作成し、職場と医療機関、治療者の三者がうまく連携を取れるような体制づくりや支援の充実化を促進しています。例えば、糖尿病、がん、心疾患、精神疾患などに関する両立支援の情報提供を行っています。
【参考】事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)
少子高齢化による働き手の減少によって、「長期的な就労」への需要が社会全体に高まっています。働き手が徐々に減少している現代社会において、培ってきたスキルや経験のある従業員が抜けてしまうのは職場にとって大きなデメリットになります。治療をしながら柔軟に働ける体制作り(時短勤務やリフレックス勤務等)に着手する企業・組織が増加しています(関連項目:精神科産業医監修|ワークライフインテグレーションとは何か?)。
病気による解雇の可否は「病気が業務に起因するかどうか」で異なります。
まずは所属している企業・組織の就業規則を確認してみましょう。多くの企業は休職制度を設けているため、まずは休職して体調を整えた上で、今後について検討することが一般的です。
病気になった際の仕事に関する決断は大きなものです。一人で抱え込まず、以下の人たちと相談しましょう。
相談をおすすめする理由は、”今後についての不安がある状態”や”病気になってしまったことへのショックが大きい状態”であると、平時であればしない選択をしてしまい、「もっと考えておけばよかった…」と後悔するケースが少なくないからです。メンタルヘルス領域において『不調時は重大な決断はしないこと』は鉄則です。加えて、周囲に相談することで、自分では気づかなかった新たな選択肢を発見できる可能性もありますよ。
病気ということを職場に伝えることで、過剰に気を遣われたり、気兼ねなく働くことができなくなったりするのではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。病気を職場に伝えることは義務ではありません。一方、伝えることで適切な配慮を受けられる可能性があります。
“職場に対して病気であることを伝えるかどうか”は、病状や職場環境を考慮して慎重に判断しましょう。
【執筆】 かなた(公認心理師・臨床心理士) 両立支援コーディネーターの資格を取りました! 育児や趣味など、いろいろなものと仕事を両立して生活することが当たり前の時代になってきています。治療もその「当たり前」の1つとして仲間入りして理解が進んだ世の中になればいいなと思っていますし、そんな社会づくりに貢献できればという思いをもって仕事に取り組む今日この頃です。
【監修】 本山真(精神科医師/精神保健指定医/日本医師会認定産業医/医療法人ラック理事長) 2002年東京大学医学部医学科卒業。2008年埼玉県さいたま市に宮原メンタルクリニック開院。2016年医療法人ラック設立、2018年には2院目となる綾瀬メンタルクリニックを開院。 |