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タグ : chico(公認心理師・臨床心理士) , メンタルヘルス
2025年1月17日
目次
SNSや動画配信サイトなど様々なメディアにて、有名アスリートの練習方法や私生活に触れる機会が増えました。フィジカル面のトレーニングに加えて、メンタル面のトレーニングに取り組むアスリートを目にしたことはありませんか?ここ一番の舞台でベストパフォーマンスを発揮するアスリート。アスリートのパフォーマンスを支えているのはメンタルトレーニングかもしれません。
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国際メンタルトレーニング学会による「メンタルトレーニング」の定義は次の通りです。
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具体的には、自身の行動や思考、身体や心の状態を正確に把握し、課題を解決する練習を重ね、気持ちをコントロールする能力を高めていきます。こうしたトレーニングを通じて、最高のパフォーマンスが発揮できるようになります。
1957年のローマオリンピックにて、旧ソビエト連邦の選手へと初めて導入されたメンタルトレーニング。元々は、宇宙飛行士の自己コントロール法として開発されたものでした。スポーツ分野への導入以降、アスリートたちはメンタルトレーニングを取り入れるようになりました。
その起源からもわかるように、そもそもメンタルトレーニングの対象はアスリートに限りません。事実、現代では企業の経営者向けプログラムや子どもの教育プログラムなど、さまざまな領域において活用されています。
スポーツであれ、仕事であれ、学業であれ、成果を求められる場面において「うまくやりたい!」と感じることは自然なことです。日々の激しいトレーニングを乗り越えて迎えた大会や、入念な準備をしてきたプレゼン、長い受験勉強の日々を経た受験当日など、ベストパフォーマンスを発揮したいと思うあまり、緊張したり興奮したり、そんな経験ありませんか?
緊張・興奮そのものは、心身がファイトモードになっていることの証左ですから、極々自然な反応です。パフォーマンスを考えるうえで鍵となるのは、その程度です。緊張・興奮が強すぎれば、力んだり焦ったり、注意散漫になってしまいますし、逆に弱すぎると、ぼーっとしたり集中できなくなったり、何より気分が乗りません。
緊張や興奮が強すぎるわけでも弱すぎるわけもない絶妙な状態のことを『ゾーン』と呼びます。今いる状況にワクワクしていて夢中だけれども、一方で冷静に集中もできている、そんな状態をイメージしてください。メンタルトレーニングは、相応しいタイミングでゾーンに入れるようになることを目指すトレーニングなのです。
ここ一番の場面でゾーンに入ることができるようにするために、メンタルトレーニングは様々なアプローチを取ります。鍵となるのは『セルフコントロール』です。読者の皆さんにご活用いただきやすいよう日常生活にて実践しやすいアプローチを取り上げて具体的な方法と一緒にご紹介していきます。
セルフコントロールを身に着ける前に、まずはコントロール対象である自分自身をきちんと把握できるようにならなくてはなりません。例えば体温であれば体温計で可視化できますが、心の状態となるとそう簡単にいきません。心の状態をモニタリングする方法は、普段から練習しておく必要があります。
【やってみよう】 その日の出来事、そして体調と気分を、毎日記録してみましょう。一言でも1行でもOKですし、健康管理アプリを活用するのもOK。段々と自分のコンディションを把握するのが上手になり、そのコンディションが何に影響を受けているのか推測できるようになります(関連項目:臨床心理士執筆|自律神経を整える○○は本当に自律神経を整えるのか?)。 |
緊張や興奮など気持ちが高ぶった時や不安が強度な時、それらを軽減するトレーニングです。リラクゼーションができるようになると、ここ一番の場面に加えて、夜眠れないときなど様々なシチュエーションで活用できるようになります。何からトレーニングを始めるか迷ったら、まずはこれがおススメです(参考:【精神科医監修】アスリートとメンタルケア|リラクゼーションでパフォーマンスアップ!)。
【やってみよう】 鼻からゆっくりと空気を吸い込み、その倍くらいの時間をかけて、口からゆっくり息を吐き出すことを繰り返します。吸う時はお腹に空気を溜めるイメージ、吐く時は体の中の悪いものを全て出し切るイメージで行えると効果的です。 |
緊張や興奮が弱く、気分が乗らないときに、心拍や体温を上げるトレーニングです。試合前のスポーツ選手に見られるウォーミングアップ、大きな声を出す、身体の部位を軽くたたくなどの行動がこれにあたります。
【やってみよう】 音楽を聴くことも効果があるとされています。一般的に、アップテンポな音楽や高い音は、自律神経の交感神経系に働きかけ気分を高揚させてくれます。逆にゆったりと穏やかな音楽であればリラクゼーションになります。 |
ミスが続いている時や目の前のことに集中できなくなった時、ひとまず意識の向いている対象を切り替える必要があります。目を閉じて瞑想する、特定のものに視点を定めてみるなどの方法を通じて、過去の後悔や未来の不安ではなく、「今ここ」に意識を徐々に戻します。
【やってみよう】 軽く目を閉じ、自分がどのように呼吸しているのかに注意を向けます。何か考え事が浮かんで来たら、一旦それを「流す」ようにしてください。難しければ、葉っぱが川の水面に浮かびながら流れていくイメージをしてみましょう。 |
うまくいった過去の場面を1つ取り上げて思い出し、そのときの自分や周囲の状況について詳しく分析します。自分では気づかなかった成功要因を見つけ出し、今後の工夫として取り入れていくことが目的です。
【やってみよう】 そのときにとった行動と、頭に浮かんでいた考えの2つを思い出してみましょう。これらは感情や体の感覚と影響し合っていると言われています。よって、うまくいった日のコンディションを再現するなら、そのときの考えと行動を再現してみると効果的だと考えられます。 |
「ここぞ!」という日の自分を鮮明にイメージしながら、頭の中でシミュレーションを繰り返すトレーニングです。イメージがリアルであればあるほど効果的になります。
【やってみよう】 リラックスできる環境で目を軽く閉じて始めます。本番だけでなく、その前の準備時間、その後の結果が出るタイミングも含めて具体的に想像し、「上手くやっている自分」をイメージしてみましょう。最後は背伸びなど簡単なストレッチをして終わりにします。 |
引用・参考文献
【執筆】 chico(公認心理師・臨床心理士) メンタルトレーニングの代表的な方法をご紹介してまいりましたが、いかがだったでしょうか? 【やってみよう】のところは、皆さんが日常生活に取り入れやすいように、心理学のノウハウをもとに書いてみました。「一人でやるのは難しそう」「きちんとできるか不安」「三日坊主になりそう」という方は、心理学の専門知識があるカウンセラーと一緒に行うのも手だと思います。 アスリートのためだけではないメンタルトレーニング。お仕事や勉強のパフォーマンスを上げるために取り入れてみませんか? |